やっぱり御堂大歓喜じゃないか(真顔)
「────かくかくしかじかりろりらりー。というわけでして、実はアレクサンドラはとても迷惑なことをしでかしちゃってたんですねー」
「………………………………」
「………………………………」
何も説明しなくともそのうち自力で真実に到達しちゃいそうなS級探査者の愛知さんと、アレクサンドラにまつわる話につきさすがに説明しとかないとなあーって個人的に思っていたダンジョン聖教七代目聖女のシャルロットさんと。
今回の事件を通してそれなりに関わりがあるお二人にも、この世の真実について説明しておくべきだと思った俺ちゃん。
とはいえ、さすがにロナルドさんにまではなかなか話すのは躊躇われる内容だ。そもそも知る必要の有無で言えば無い側の方ではあるからね。完全にゲスト的に参戦してくださった方だし。
そのため、俺とシャルロットさんと愛知さん、あとエリスさんに神谷さん、香苗さんの六人は別室へと移動した。
その上で防音結界を張った上でこうしていろいろ、打ち明けたわけなんだけども……案の定というべきか、すっかり理解が追いつかない様子で固まってしまっている。
いきなり世界の真実を語られてしまい、その情報量に混乱しちゃってるみたいだね。二人とも、どうにか声を絞り出すのが精一杯のようだった。
「し、信じられないというべきなんだろうけれど……信じるしかないほどに、山形さんの話には真実味があるのは私にもわかる。何より、周囲に集まった錚々たるメンバーがみんな真剣なんだ、茶化す気にもなれない」
「元より幾度も奇跡を起こしている方の言うこと、疑うべくもありませんが一応ですが確認させていただきます。初代様、五代目様。今の話については、すでにご存知で?」
「もちろん! いやーエリスさんも初めて聞いた時はそりゃもう驚いたよ。でもまあ、公平さんの超常性が何より真実を物語ってたしねー」
「初代様に少し先んじる形で私も聞かされました。疑わしく思ったのは七代目様と同様ですが……統括理事ならびにマリアベール先輩までもが認めていらっしゃいましたからね。疑う余地はありませんでした」
さすがに俺からの説明だけじゃ到底、信じるに値しない話だもんで周囲の面々や縁者の方にも確認して、真実相当性を見出していく愛知さんとシャルロットさん。
正直こんな荒唐無稽な話、いきなり信じろってほうがどうかしてるからね……こういう時に社会的地位とそれに伴う権威を備えたヴァールやらマリーさんがいてくださるのはありがたいなって思うよ。
周囲の方々からの追認もあり、お二人もどうにか俺の正体、世界の真実について粗方ご理解いただいたみたいだった。
難しい顔をして、愛知さんが深刻な様子で尋ねてくる。
「驚くべき話だし、まだ理解が追いついていないところも多々あるけど……一つだけ聞かせてほしい。今回の当事者であるシャルロットはまだしも、公安との絡みで参加しただけの私にまでそんな重大なことを話してくれたのは、どうして?」
「あなたの場合、今ここで話さずとも遅かれ早かれ真実に到達すると思ったからです、愛知さん。これまでのいくつかの口振りから察するに、あなたはすでに創造神クラスとも付き合いがある。さすがに彼らはシステム領域について知ってますからね」
「御方々から話を聞かされるのも、今ここで君から説明を受けるのもそう大差ないというわけか……たしかに私が拝謁した方も匂わせめいたことは言っていたよ。あまり、面白くはなさそうなニュアンスでだったけど」
「やっぱり……」
予想通り、すでに自力で真実の断片にまで近づきつつあった愛知さんに内心、心底から驚かされる。
普通創造神にまで辿り着くなんてこと、現世の存在どころかそこらの概念存在でもまず不可能なものをこの人はすでに達成していたんだ。改めてS級探査者クラスの召喚スキル保持者のすさまじさを思い知るよ。
それと同時に、この人が接触した創造神のシステム領域への塩対応も納得するんだけどね。
やっぱり創造神からしてみれば目の上のたんこぶなんだよなあ、私達。本来自分達や最高神が受け持っていた役割を、あろうことかシステムそのものが自由意志を持って自律し、自ら果たしはじめたんだものな。
真実を知らないだろう最高神はともかく、始原の四体から直接派生した存在である分システム領域についても理解している創造神クラスともなるとそりゃ、面白くはない話だ。
今度ネムレス、ノナメ、ムメ、ゴンベの四体にそのへん詳しく話を聞いとこうかな? あいつらだけはその性質上、システム領域と創造神どちらにも顔が利く唯一無二の概念存在だし。
内心でいろいろ予定を組み立てていると、シャルロットさんもおずおずと挙手をして質問してきた。なーにかなー?
「ええと、それでは山形さん。あなたと、あなたの対となるその、ワールドプロセッサ? という方がこの世に大ダンジョン時代をもたらした大本の存在である、という理解でよろしいですか?」
「んー……まあ、責任の所在を問われればそうなります。俺こと因果律管理機構コマンドプロンプトと、世界維持機構ワールドプロセッサ。この二つの存在が結局、システム領域の元締めであるのは間違いありませんから」
ものすごくざっくりした問いかけだけど、重要なところなのできっちり答える。どんな事情や経緯があれ、突き詰めて言えばこの世界にダンジョンとモンスター、ステータスといった大ダンジョン時代の諸要素を持ち込んだのはシステム領域だ。
畢竟、そのトップであるワールドプロセッサとコマンドプロンプトの二柱こそが、この時代の根本原因であると言ってしまえるだろう。そうせざるを得ない元凶が、また別にいたとしても。
非難、批判されるかな? だとしたらそれは心して受け止めるべきことであり、受け入れるべきものだ。
静かに告発される可能性にまで思いを馳せていると、シャルロットさんはあくまでクールな表情を崩さずに深くうなずき、そして両手を組んで祈るように跪き始めた。
…………なんで?
「そうなのですね……つまりは、あなた方こそがダンジョン聖教の崇めるべき神、であるということですか。得心しました」
「……………………えぇ……?」
「!! そう、そうなのですよシャルロット・モリガナ!!」
突然の神認定。いきなりすぎるからなんで? としか言いようがないんだけれど、それ以上に俺は咄嗟に隣の人を見た。
そうだね、伝道師さんだね。即座に顔を煌めかせてシャルロットさんに近寄り、その手を強く握ってそうだよその通りだよと高らかに叫んでいた。
分かりきった反応だけど怖ぁ……
えらいことになる気がするぞ、これは!
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攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど
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一巻
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二巻
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