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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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脚しか使わないけど星界拳

 見事な技を披露し、星界拳の力の一端をまざまざと見せつけたリンちゃん。

 運動するためというのは本当だったようで、さっさと店に入って青椒肉絲と回鍋肉を食べている。いや、だから!

 

「み、見事な技だったけどさあ、リンちゃん。本当に食べ切れるの?」

「よゆー、よゆー。星界拳、威力もあるけど動きも激しい。カロリー、消費しまくり」

「たしかに、蹴り技主体でアクロバティックでしたが……」

 

 香苗さんも、もう食べ物の類を視界にも入れたくないようで、明後日の方を向いている。ちなみに彼女も彼女で、真っ昼間から紹興酒なんか呑んでいた。

 そうした俺たちのドン引きにも、天使の微笑みで返すカンフー美少女。あっという間に大皿二つを平らげて、そこでようやく人心地付けたようだった。

 

「ふう。満腹、かな。ご馳走さま、でした」

「何kg食ったの、怖ぁ……」

 

 ご満悦そのもの、といった表情のリンちゃんはかわいいけれど、そこに至るまでの食事量を思うと背筋が凍る。

 下手しなくても5kgくらい食べてるだろこれ、怖ぁ……何より、見た目にまったく変化のないところが一番怖い。

 羨ましい限りですね、と小さく香苗さんが呟いたのを聞き拾ってしまったのは、スルーした方が良いんだろうね。

 

「それにしても、すごい技だったなあ……あれって、必殺技的な?」

「必殺……かは、相手による、けど。地覇で習得する、技だよ。星界八卦脚、日本語の、ゲームっぽく叫んでみた」

「そ、そう……」

 

 技名叫ぶのは趣味なんだね。道理でなんでか、日本語で叫ぶなあ、って思ってたんだよ。

 さておき、あの技の動きは見事だった。速いし重いし、何より体捌きがスマートの極みだ。動作からできる限りの無駄を取り除いていることが分かる。

 あれを食らったら、なるほどそこらのモンスターじゃひとたまりもないだろう。一応、称号効果でそれなりに理解とラーニングはできたけど……リンちゃんの積み重ねた境地には到底達し得ないのは確実だ。

 

 何より、俺の場合は蹴り技だと裸足でもなければ素手制限に引っかかるからなぁ。威力はあろうが、熟練には永遠に至らない技を積極的に取り入れるわけにもいかない。

 裸足で戦う? ダンジョン内でってのはちょっと、非現実的かな……

 

「我が星界拳、流派そのものが蹴り技主体。始祖カーン、元々別の拳法を学んでた。中でも蹴り、得意だったから」

「その流れを汲み、星界拳も脚技メインになったわけですね」

「はい。星界拳は、その脚一つで地を砕く。これ、うちのモットーです」

「モットーと来たかぁ」

 

 100人以上の星界拳士みんな、本当にリンちゃんみたいな感じなんだろうか、怖ぁ……さっきの星界八卦脚だって、最後の一撃で結構大地に穴、開いてたもの。帰り際に責任持って元に戻したけど。

 

 そんなこんなで、中華街でご飯やら満喫した俺たち。

 もう気付けば夕暮れ前なもんだから、そろそろ戻るかとホテルに戻った。電車でさほど時間がかからないところってのは、気安くて良いね。

 ホテルの、俺の部屋に集まって俺たち三人は、明日の会談についての打ち合わせを、軽くながら行った。

 

「ええと、明日の10時にWSO日本支部の二階、談話室で行う、と。こちらは俺と香苗さん、そちらからは」

「ソフィア統括理事、と……烏丸日本支部局長補、と、私、シェン・フェイリン。そう、聞いてます」

「三人か。こっちは二人だし、まあ、釣り合いは取れてるかな」

 

 リンちゃんの言葉に若干、心を落ち着ける。

 何せ向こうは国際組織のお偉いさんだ、なんかその、すごい厳つい人たちで囲まれでもしたら堪ったもんじゃないし。

 ほぼほぼ数の上では同じなら、変なプレッシャーとかも感じることはないだろうしそこは、安心だね。

 

「話の内容は……俺に対して協力できることがあるってことと、もう一つ」

「アドミニストレータ……とかいうものについてのことですかね? 何せその辺、私は知らないものでして」

『ミッチー拗ねてますねぇ〜』

 

 お前が下手に口止めさせてるからだろ!

 相変わらず、アドミニストレータについて話が及ぶと若干、膨れっ面を見せる香苗さん。こう言うと本人に悪いんだけど、すげえかわいい。

 パッと見、クールな美人がこういう、幼い感じを見せてくるのすごい好きだわ。狂信者ムーヴ? あれはただ怖いだけですね……

 

 まあそれはそれとして、プンスカ香苗さんに俺は、ちょっとだけ踏み込んだ話をした。

 

「実のところ、話したくても話せなかったんですよ……俺としてもいまいち全貌が分からない話ですし、何より、かなり大変な事態みたいなので口止めされてるんです」

「口止め……システムさんに、ですか?」

「正確にはその代理人から、ですね。そいつについても今はちょっと。何ていうか目立ちたがりで、自分が矢面に立ってからじゃないと説明したくないタイプの、めんどくせーやつなんですよ」

「は、はあ」

『めんどくせーやつって何ですかそれー! ひどい、ひどいですよ公平さんー!』

 

 未だに自覚がないなら言ってやろう。

 リーベ、お前システムさんと並んで中々に面倒くさいよ。

 脳内でぎゃーぎゃー騒いで抗議する、とってもめんどくさい精霊知能様に俺は言ってやった。

明けましておめでとうございます

今年もよろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「怖ぁ・・・」がしつこい 何でもかんでも怖がり過ぎ [一言] まだ読み進めてる途中ですがこの先どうなるのか気になる小説で楽しく読ませてもらってます 頑張って下さい
[一言] リーベちゃん。 昔々に居たとされるソフィアさんと面識があるって事は〇〇〇歳はあるんだろうけどさ。 顕現したら10代前半の外見になってそうな「ぶーぶー!」っぷり(。。
[一言] レベル300になったらわかる、というぐらいは伝えておいてもいいんジャマイカ
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