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アンドヴァリ「先手で一網打尽にします」山形「あ、じゃあそれ無効で^^」

 敵の群れを抜けた、後の道をひたすら駆け抜ける。相変わらずの迷路であっち行ったりこっち行ったりってな具合だけれど、目指す地点はすでに割れている。

 今も俺には感じられる、強い圧力──プレーローマ・アンドヴァリの存在。ウーロゴスを得たことでヒトを捨て、けれど概念存在にまでは至れなかった永遠の半端者の権能が、進む先にたしかにあることを掴み取っていたんだ。


 道中には誰も何もいない。能力者や悪魔憑きはおろか、スレイブモンスターの一つたりともだ。

 思えばここに至るまでに相当数、戦力が投入されていたからな地上でもここでも。それ以前にも今日までに毎日毎日構成員がとっ捕まえられて来たことを考えると、いよいよ敵兵力も打ち止めが来たと考えていいのかもしれない。

 走りながらもヴァールに話しかける。

 

「ここまで来れば敵もいないな。さっきセーデルグレンさん達が相手にしていた連中、あれが本隊……最後の手勢だったか」

「そのようだ。だがプレーローマ・アンドヴァリの側仕えも当然ながら何人かはいるだろう。瀬川聡太も目にしていないからな」

「ってことは敵は大ボスと中ボス? くらいなものってわけですね、はっはっはー! 油断はしませんが正直ちょっと安心しました、シンプルに敵が多いのって嫌ですから!」

「ましてやこの狭い迷宮内だしな。さっきの群れも割とぎゅうぎゅう詰めだったし、いまいち配置が適当でおざなりなんだよなァあのバカ聖女」

 

 同じ見解を抱いている彼女だけど、瀬川の存在に触れてあともう数人はプレーローマ・アンドヴァリの側に残っている可能性を言及する。

 たしかに、地上でのサークル残党の一団にも瀬川の姿は見えなかった。まさかこの期に及んで離脱しているとも考えにくいし、こうなるとこの先で俺達を待ち受けているのだろう。

 

 それを受けて葵さんとシャーリヒッタもまた、どこかホッとした様子でやりとりしている。

 今いるこの迷宮は、この人数で移動できる程度には広い通路を有しているが……それでもさっきみたくモンスターと能力者の群れが来るとなると対応には苦慮するだろうからね。


 このへん、セーデルグレンさん達がおかしかったんだよね実際。いくら敵で能力者だからって、あんな躊躇なく兵器ぶっ放せるのはかなりぶっ飛んでいると見ざるを得ない。

 トップランナーってすごい。と、素直に褒めにくい心境をも抱えつつ内心にて思いつつなおも駆け抜ける。


 気配がどんどんと近づいてきていた。入り組んだ道だけど、いよいよ見えるか、火野アレクサンドラ。

 ────そう思った矢先だった。不意に権能が用いられる感覚を察知して、俺は即座に立ち止まり叫んだ。

 

「《この迷宮内で権能は使用できないから、あらゆる権能の発動は無効化される》ッ!!」

「ッ!? 公平さん、まさか!?」

「はい! プレーローマ・アンドヴァリの、スキル封印と戦意喪失の権能──ウーロゴスを悪用したものの発動を今、封じ込めました!!」

 

 即座に因果操作を敢行したことは、おそらくベストな判断だったろう。

 迷宮全土に行き渡る改変された因果が、適用されそうになっていた権能──《水と豊穣、調和よ来たれ》だったか。アレを完全に封殺していた。

 

 ウーロゴスを取り込むことによって得た、水の女神ミュトスの調和と豊穣を司る力を、私利私欲のために著しく歪めたモノ。

 すなわちスキル封印と敵の戦意を根こそぎ刈り取る能力。さらには奪い取ったそれらを己のエネルギーに変えて、戦闘力だけならば最高神にも近しい次元にまで引き上げる一石二鳥の権能だ。

 

 加えてついでとばかり、《聖女》称号に対する信仰心を持つ者を強制的に洗脳して操る権能も警戒して一気に封印する。

 要はこの迷宮にいる限り、一切の権能を使用不可にしたのだ。俺自身の他の権能さえ含めてな。それが最善だと判断しての行動だった。

 仲間達へと告げる。

 

「プレーローマ・アンドヴァリの持つ権能はこれで無効化しました! 反動で俺のほうも通常の戦闘でしかお役に立てませんが、これなら!!」

「私達が何者のインチキにも邪魔されず、全力であいつらをやっつけられるってわけね! 最高よ公平、素敵だわっ!!」

「アレほどの力を持った存在の権能を、一律で封印するのか……! ラファエルさんが一目置くだけはある。本当に何者なのか気になって仕方がないな、山形さん」

「は、ははは……ち、近くなってきました、いよいよ! プレーローマ・アンドヴァリですっ!!」

 

 あらゆる干渉を恐れることなく、これでフルパワーでの戦闘が可能になったと喜び勇むアンジェさんとは裏腹に愛知さんの視線が怖い。

 好意的というか、感謝的なものはもちろん混じってるんだけどそれ以上の疑念と好奇心を強く感じる視線なんだよね怖ぁ……ナニモノなのかマジで疑われてる。

 

 まあここまで好き放題やってたらさもありなんや、仕方ないんだけどね。

 こちらからは何一つ明かす気はないし、悶々とさせてしまうかもしれないけどどうか気にしないでいただけるとありがたいよ。

 

 内心で祈るように、矛先をプレーローマ・アンドヴァリへと向ける。気づけば真っ直ぐな一本道が長く続いており、この先から非常に強い力が放たれているね。

 さあ、ラスボス戦って感じだ。ゲームならこのへんにセーブポイントとかありそうなもんだが現実にはもちろんそんなものはない。

 一発勝負、きっちり白黒つけようじゃないか……!!

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― 新着の感想 ―
 日本にあるダンジョンなのにセーブポイントも回復の泉も勇者が付けていた伝説装備も置いてないなんてそれでも貴様は邪神か!ファミコンから学び直せ!(次いで被ダメージ時に山形の装備が破損していく仕様にしろ!…
最近の山形に肉体的なダメージを一番与えている山形の権能が封じられた!これで勝つる! でも封印解除も任意で出来る……おのれ山形!(あれ?)
2025/01/17 12:29 こ◯平でーす
しかし、いまの状況はあるアレクサンドラという意味チーターが自分の好き勝手して無双しようとしたら開発がシステム上完全にそれを無効化してきて逃げられない状態にもされた上に、どこぞのゲームよろしくチート使っ…
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