国際法に則りサキュバスはアウト!アウトです!!
「嫌なんですけど……」
『なんでー!? セーレちゃんと対応違いすぎるんですけどー!?』
急にわけわからんこと言い出したオノスケリスを一刀両断。
なんでも何も、セーレとは比べ物にならないレベルで契約する理由がないだろ。
こいつの考えは分かる。要はセーレ同様、俺と契約することで形だけでも庇護下に入りたいんだろう。
現世娯楽を楽しみたいって言ってたのが、粛清の可能性に気づいて悩んでたみたいだしな。
そんな理由でなぜ俺が面倒見てやらなきゃならないんだ、身内じゃないんだぞ。
これにはセーレはおろか、アガレスまで唖然としてオノスケリスを見ている。マジかこいつ……みたいな目をしているね。
『オノスケリス、お前は……悪魔として情けなくないのか……』
『悪魔として対価を示すことさえなく代償を求めるのですか? ……ベルゼブブ様は一体どんな教育を』
『ちょっ!? ご、誤解なんですけど! 対価ならあるよ、えーと私サキュバスだしさ! そりゃもう毎日毎夜夢の中でドロドログッチョグチョなんですけど!! 18禁なんですけど!』
「未成年なんですけど!?」
唐突に危険なことを言い出すのはやめろ、俺は15歳だ!
っていうかこいつサキュバスなのかよ、初めて見たけどちんちくりんも良いところじゃないか。もっとこう、ゲームとかだと妖艶でギリギリなお姉さんって感じだったんだけど。
眼の前にいるこいつは見た目14歳くらいで金髪の、まあ可愛い系の少女の姿。小生意気な口元はどこかアニメチックというか、栗みてえな口しやがって、的な形をしている。
意外さはあるがそれだけだ。そもそも俺が未成年な以上、そんなもん対価として認めるわけがないだろうに。
「《鎖法》……殺すか。未成年を誑かす輩は国際秩序的にアウトだ」
「《鎌術》。だな。しかもよりによって誰に向かって舐めた口利いてんだこのガキ」
『ぴぃいぃぃぃっ!? なになに急に怖いんですけどー!?』
「ヴァールさん!? シャーリヒッタ!?」
「えぇ……?」
あかん。一連のやり取りを聞いてヴァールとシャーリヒッタがキレた。特にいたいけで純真無垢な15歳少年に完全アウトな世界を見せようとしたのがトドメだったみたいだ。
鎖を顕現するWSO統括理事に、鎌を取り出す処刑執行人。いずれも次の瞬間にはオノスケリスを即座に仕留めてしまえる実力者だ。それゆえ少女悪魔も生きた心地がしないんだろう、うずくまってプルプル震えてピィピィ鳴いている。
まったく……どうも毒気を抜かれる悪魔だな、こいつは。
呆れる思いで俺は、仕方なし助け舟を出す。こんなことでヴァールやシャーリヒッタの手を煩わせるわけにはいかんしな、さすがに。
「まあ待て、二人とも。暴力沙汰は止めてくれ、オノスケリスも一応ながら、俺達の質疑にはきっちり応えてくれたわけだし」
「む……しかし、それではどうする? あからさまに倫理的に問題のある状況を引き起こそうとする意思を見せた者など、悪魔であるとか以前の問題として放置はできんが」
「餅は餅屋、概念存在は概念存在に……織田のところに預かっといてもらうとかどうかなってさ。あそこならオノスケリスくらいなら引き取れるかもだし、委員会の粛清も恐れる必要も少ない」
俺としてはオノスケリスを引き取る意志はない。そこまで手厚く保護してやる理由もなければ、ヴァールも言うように倫理的に問題のある事態を引き起こしかねない危険性を露呈させた以上、そんな危ういやつ近くに置いてられるかって話でもあるし。
ただ、質疑にはきちんと答えてくれたこともありなかなか無碍にもしたくない。話を聞く限り現世で娯楽を楽しむための、身の安全さえ確保できれば良いわけだろうし。
となればちょうどいい預け先は提供できるかも知れない。織田のところだ。
北欧神話の勢力に一時だけでも匿ってもらえれば、委員会も手出しはし辛いだろう。織田側としても、明確に委員会に与していた悪魔からはいろいろ聞きたいかもだし。
もちろん向こうの都合次第だけど、提案するくらいはしてみても良いかもね。
「織田側が引き取れなさそうなら悪いけど、しばらく現世に来るなと言うしかなくなる……粛清とやらをむざむざ受けるよりは良いだろ。なあオノスケリス」
『うっ……お、織田ってたしか、現世で動き回ってるどこかの神話圏の……』
『やはりつながっていたか。ますます詰みだな、委員会は。なおのこと今このタイミングで離脱できることを感謝すべきか』
『おそらくはどこぞかの高位神。であればもしも保護されるならば、なるほど粛清という点では回避できましょう。悪い話ではないのでは? オノスケリス。贅沢はいけません』
『ちゃっかり契約するセーレちゃんに言われたくないんですけど!?』
織田……オーディンが現世に降りていろいろしているってことは、概念領域で大ダンジョン時代を見守っている神々や悪魔には知られているところだけど、実際に現世に来て動いている委員会側のモノ達はやはり知らないみたいだ。
妖怪達がまったく知らなかったしな。それもあり、アガレスなんかは怪我の功名とばかりに見るからに安堵の息を吐いている。
一方でそういう、得体の知れない概念存在の下に送られそうってことでオノスケリスは不安と恐怖に顔を染めているな。
ただ、セーレからの忠告もあって少し考えた後、覚悟を決めた様子で俺を見た。
腹を括ったか。
『お、お願いします! わ、私をその、織田? という概念存在の下で保護してもらえるように都合してほしいんですけど! なんでもしますから! なんでもしますから!!』
「お、おう……まあ、織田側が駄目って言ったら無理ではあるからな? それは分かっといてくれよ」
『ありがとうございます! マジ助かるんですけど、まだ助かってないんですけど!!』
「どう転んでも委員会からは離れるのだ、現世に留まらなければどうあれ助かると思うのだがな……」
深々と頭を下げるオノスケリスに、困惑してヴァールがつぶやく。
うん、理解に苦しむだろうな……現世の娯楽目当てにここまで頼み込んでくる悪魔がいるなんて、俺も予想してなかったよ。
えー、今日水曜日でした
木曜日と勘違いしてコミカライズ版の宣伝告知をこのあとがきでしてましたが水曜日でした
更新は明日になります、紛らわしい真似をしてすみませんでした
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