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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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やまがたはしずかにめいそうをはじめた…

 称号 正しき心はあなたの胸に

 解説 すべて、思うがままに。山形公平として信念を貫きなさい

 効果 瞑想時、精神異常完全回復

 

 

 最後に表示された称号は、ドラゴン戦後、倒れて病院に担ぎ込まれた俺が目を覚ましてすぐに得たものだった。

 マリーさんの、俺を良いように操ろうとするなという一喝を受け、システムさんが謝罪と共に授けてきたものでもある。

 だからだろうかな。効果がメンタルケア的な感じなのは。

 

 ちなみに解説は実際のところ、『信念を貫く姿こそ、新たな時代のアドミニストレータ』と続くのだけど……今回はわざと省いて香苗さんに伝えてある。

 この辺のことを聞かれると、芋づる式にあれこれ喋っちゃう可能性もあったし、それはリーベ的にもちょっとという感じだったので、それに準じた形だ。

 

「瞑想、ですか……戦闘時にはとてもじゃありませんが、発動できなさそうですね」

「達人の域ともなればあるいは、ってところかねえ? 戦いつつも精神を鎮め内に篭もる。あるいは瞑想しながら体は無意識に動き敵を討つ。そんな危なっかしい真似、する意味さえ薄いけどねえ」

「いやいや、そもそも戦いの途中に瞑想なんてしたいとも思いませんよ。そんな余裕ないです、俺には」

 

 戦闘中の使用なんて、そもそも想定すらしていないことだ。たしかにマリーさんの言うような、達人ならばそんなことさえ可能かもしれないけれど……俺には無理だし、できたとしてする気もない。

 というかもう、そこまでいくと求道者の域に入っている感じがする。探査者というか、突き詰めると仙人的な何かになりそう。

 

「そしてこの、精神異常完全回復というのもまた、曖昧な話ですね。何をもって正常とするのか。異常とは何なのか」

「……あー、システムさん曰くなんですけど。いわゆるパニックとか、混乱? あと、精神高揚とか逆に抑鬱状態も含まれるそうです。何でも、平時の状態をニュートラルと仮定してそこに戻す効果だとか」

 

 その辺の正常異常については、前にリーベに聞いていたことだったりする。なにせ心の形は千差万別、正常も異常も、人それぞれだろうとは思うからね。

 そこで返ってきたのがこんな答えだった。つまりは正常でない状態を異常と捉えているのだという。ざっくりすぎる!

 

 これがもし、たとえば正常でなくなった時点で強制発動とかだったりしたら、もう目も当てられない。喜びとか悲しみとか、怒りとか楽しさとかを強制リセットだなんてこんなに怖い話はない。

 何より味気なさがすごそうだ。

 

「ふむ。異常を回復する、というよりは平常に戻す、が正しいのかもしれないね。日常生活での使用が主になるだろうが、冷静さがほしい時には重宝しそうな気はするねえ、ファファファ」

 

 マリーさんが笑う。まあ、たしかに、戦闘時でもなければ便利な力だと思う。

 たとえば、そうだな……テストの時。山勘が外れて全然勉強してない範囲がメインで出題されていた時。この能力があれば少なくともパニックにはならないんだろう。深呼吸がてら、心が平静に保たれるわけだ。

 

『その場合、冷静になっても状況は変わらないわけなので、絶望には変わりないですけどねー。どちらかと言えば山勘に頼ろうとしたタイミングで使用して、冷静に思い留まることをオススメしますー』

 

 リーベの冷静なる指摘。例え話だよ! でもそうだね、当てずっぽうは良くない。

 脳裏に過る、過去様々な苦い経験を踏まえてしみじみしていると、香苗さんはふと、呟いた。

 

「瞑想、というのをどういう形で行うかにもよりますが。開始から何秒程度でその効果が発動するのか、少し気になりますね」

「あ、そうですね。たとえ日常生活といっても、咄嗟に5分も10分も瞑想して感情をリセットする、というのはちょっと……現実味はないですね」

 

 その言葉に、俺もふむと考える。

 たしかにそうだ。目を瞑って深呼吸したらはい発動! となれば良いかもだけど、瞑想ってもうちょい深いとこまで意識を沈めるイメージがある。

 試してみたいところだけどあいにく、今そこまで感情に波立っている自覚はない。リラックスしている。

 

 どうしたもんかな……と悩んでいると。

 急に、望月さんが俺の腕に抱きついてきた!

 

「えい」

「うおあぁっ!? え、な、何を!?」

「ものは試しですから。こうすると、少しは動揺してくださるでしょう? もちろんこんなこと、公平様にだけですよ?」

 

 するけど! するけどもだ!

 あなたちょっと、無防備すぎん!? 俺だって一応、男の子なんですけど!?

 

「ファファファ! 目に見えて狼狽しとるねえ、ほら、瞑想瞑想」

「ストップウォッチならここに。さあどうぞ公平くん。あ、ちなみに後でそれやりますね。羨ましいです」

「ふふ、どうぞどうぞ」

「怖ぁ……」

 

 何この人たち、なんでこれを当たり前の流れとして捉えていらっしゃるの? わけがわからないよ。

 ちなみに瞑想は、そもそも動揺しすぎてできませんでした。腕に当たる感覚が柔らかくて暖かかったからね。しょうがないね!

次回から新エピソードです

また、明日からしばらく一日2回投稿になります


この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間3位、週間2位、月間1位、四半期2位

総合月間9位

それぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方、よろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
[良い点] そんな状況で瞑想できるなら、そもそも精神異常に陥らない説(_’ [一言] 瞑想すると落ち着くのに、落ち着かないと瞑想できないというウロボロス理論(_ー
[一言] 美人なお姉さんの双子山の感触を受けながらの瞑想なんて常人には無理だよね。
[一言] パニック時に瞑想できるんだったら、そもそもパニックになってないやんってなるよな。
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