"契約者に優しい悪魔なので"←これさえ言っとけば何しても良いと思ってる系悪魔
ウラノスコーポによるAMW計画の真相と代替わりによる変遷。委員会を利用しつつ世界を護ろうとしたマーク・ブドレドはしかして息子のエドウィンに裏切られた。
人々を、委員会の魔の手から少しでも助けるためのAMWが……今では委員会傘下のサークルに渡り、人々を脅かすべく用いられている。
これが本当だとしたら惨い話だ。
ウラノスへの捜査はまだ始まったばかり。悪魔達の言が本当かどうかの裏付けは今後行われるんだろうけど、どう転んでも愉快な話にはならなさそうで辟易するよ。
『AMWは藤近、海方、そして瀬川が使っている。このうち藤近と瀬川は能力者ではないが、構成員にスキルブーストジェネレータに適合した者がいるため、その者にエネルギー充填を担わせて運用している』
「何? 待て、おかしいぞ。たしかAMWは使用者の発動するスキルをリアルタイムで増幅するもののはずだ。充填式などというものもあるのか?」
『試作機のマキシムとミレニアムだけですね、そのタイプは。計画における正式なAMWはすべて充填式ですよ、早瀬葵の持つフーロイータもそのタイプのはずです』
「葵さんのことまで把握してるのか……」
ウラノスからAMWを譲り受けるレベルで仲良くやってるんならそりゃ、他のAMW使用者についても知っていておかしくはない。
だから当たり前のように葵さんを引き合いに出す悪魔達なんだが、それはさておきフーロイータについて思い返す。
葵さんはアレを使う際、自前の《雷魔導》を使用して増幅させていたけど予めジェネレータに充填しておいて他者に使わせるってこともできるのか?
フーロイータと葵さんは不可分というか、早瀬葵といえばフーロイータ、フーロイータといえば早瀬葵ってくらいにニコイチで考えちゃってたから思いもしなかった。そういう使い方もできるように設計されてるんだな。
ただ葵さん以外にフーロイータを使いこなす人がいないから、これまで露呈していなかっただけってわけか。
一方で二丁の拳銃型AMW、マキシムとミレニアムについては仔細を知るヴァールが額に手をやり、呻いていた。
「早とちりしていたな……ロナルド・エミールや早瀬葵がその場で使用したスキルを増幅させているから思いもしなかったが、そういう使い方もできるのか」
「ていうか瀬川もAMW使いなのよね? あいつこれまでそんなもん一度も持ち出してなかったと思うけどええと、西洋剣のノイエヴァルキリーに大きな鋏のルートディバイダー、だっけ?」
『はい。聡太はルートディバイダーを用いています。ですがあれは大きすぎて目立ってしまい、拠点制圧や襲撃行動には向かないため半ば温存されている状況ですね』
「バカでかい鋏なんざ、担いでたら嫌でも目立つもんなァ……」
唸るシャーリヒッタ。アンジェさんもなるほどと納得のうなずきを返している。
瀬川聡太。認定式の日に唯一姿を見せたサークルの幹部らしい幹部だけど、AMW使用者だという割にそれらしいものを装備しては来ていなかった。
認定式の日に持ち込まなかったこと、それ自体は先程すでに説明があった……認定式そのものの成否などサークルとしてはどうでもよく、それゆえに切札を切る必要がなかった、と。
ただそれ以前から度々瀬川と対立していたアンジェさんチームでさえルートディバイダーを見たことがないというのは、そもそもソレが大きすぎて携行用に向かない、いわば拠点防衛用の兵装だからというのも大きいみたいだ。
まあ、話を聞くに相当大きいサイズの剪定鋏みたいだからね。AMWってことでフーロイータよろしく、いろいろ機械でゴテゴテしてるんだろうし。
そんなの持ってうろちょろしてたら嫌でも目に付く。犯罪組織の一員としては、そんな目立つ真似はできないってところなんだろう。
「つまりは今度の拠点捜査で、もしかしたら瀬川はルートディバイダーを使ってくるかもしれないってわけか。敵意を遮断するふざけたバリアに一撃必殺の超巨大鋏。攻防隙がない、嫌な相手だな……」
「あんのインチキ優男のバリアねー。どうしてくれようかしら、アレ。いくらかランレイや千尋、ステラと話して突破法は一応編み出したけど、それ通じなかったら詰みなのよね。公平に頼りっぱなしなのも悪いし」
「頼ってくれて良いですよ、全然。あんな権能、突破できないほうが当然です。いやホント、何考えてあんなの渡したんだセーレ、お前……」
悪魔憑きである瀬川聡太には、能力者相当の身体能力と同時にとある権能が与えられた。"敵意ある攻撃の一切を弾くバリア"というとんでもない権能である。
これをもってやつはアンジェさん達の猛攻さえものともせず、好き放題に暴れてきたのだ。バリアの種自体は俺が解き明かしたものの、因果操作によるサポート抜きにそれを突破する方策は未だ、確立できていないのが正直なところだ。
最悪やつについては俺の因果操作で権能を引っ剥がすなりするしかないけど、アンジェさん達はあくまで自力での突破を志している様子。
応援させてはもらうとするけど、それはそれとして目の前の悪魔セーレに文句もつけておく。こいつなんだよね、あいつにあんな馬鹿げた贔屓チート与えた張本人は。
『畏れ入ります。ですが契約者である聡太には、できる限りのことをするのが悪魔としての矜持です。私は、契約者に優しい悪魔ですから』
苦笑いを浮かべて会釈するセーレ。契約者に優しいと伝承に伝わる"悪魔セーレ"としての役割を貫くのがなんとも律儀で真面目なんだけど、その被害を被る側としては冗談じゃないよね。
とはいえこればかりは悪魔としての存在意義にも関わる話だから、俺としてはあまり非難もし辛い。
システム側としては、極めて順当に真っ当な悪魔なのがこのセーレだと言えた。
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