警察からも大学からもとにかく迷惑な組織だぞ、サークル!
「……身内の恥を晒すようなのですが、元々カレチャ内でもまことしやかに囁かれていたのですよ、サークルという謎のOBOG組織のことは」
苦い表情でつぶやく小早川さん。見れば藤代さんや樋口さんも暗い顔をして眉を下げている。
カレチャとサークルとのつながり……詳しいところは部室に行って幹事長さんやら教授さんに伺うだろうけど、その前に歩きがてら、彼から触り程度のお話を聞く流れになっていた。
そもそもカレチャである以上、存在そのものを知らなかったってわけでもないみたいだね。当たり前か。
まことしやかにでも語られていたという、謎のOBOG組織って噂になるくらいはするよね、そりゃあ。
肩をすくめて、小早川さんが続けた。
「半ば都市伝説めいたものでしたし、我々も眉唾だと思っていたのですがね」
「都市伝説……確信は持っていなかったということですか?」
「ええ。それに卒業生のその後の足取りなど、言ってはなんですが逐一捕捉できるわけがありませんから。事実がどうであれ、我々の預かり知らぬものでしかありませんでした。つい一週間前まではね」
「認定式の一件ですね」
都市伝説、か。それが本当かどうかはこれから定めるとしても、小早川さんの言い分には筋は通っていると思える。
卒業生、OBOGの行方なんて一々追ってるわけがないからね。大学ごと卒業して社会に出た時点で、立ち位置的にはもう無関係に近くなっているのは分かるよ。
ましてやそんな連中が、大学の外で立ち上げた外部組織なんて知ったこっちゃないってなるのも当然だ。
ただ、それでもサークルはカレチャとつながりがあるらしいというのが現実だからこっちも判断しかねているわけだね。
小早川さん、というより竜虎大学のカレチャがあの組織と無関係ですと言いたいのはよく分かった。実際、本当に無関係な気はしているからね、俺も。
ただそう、呑気に構えてもいられなくなる事態に半月前、陥ったのだ……S級探査者認定式。そこでサークルが蜂起したがゆえに。
「先週、関東のカレチャに在籍している知り合いから緊急のメッセージが来て驚きました。警察によるカレチャへの捜査が行われたとの報せだったのですから」
「異例の事態ってことでニュースにもなってたな……なんだっけ大学自治? に抵触するかどうかみたいな」
「大学内で起きたことは大学内で治める、という原則ですね。ただ今回の場合、サークルはそもそも大学の外の組織ですから当てはまりません」
「ましてや国家転覆を狙ったテロ組織と、学内サークルのつながりを指摘されたのです。WSOまで絡む話となると、さしもの大学も協力して身の潔白を晴らすべしと考えたようです……少なくとも関東のほとんどのカレチャが存在する大学に、捜査の手が入ったと聞きます」
悪魔セーレからもたらされたカレチャとサークルのつながり。それは当然ヴァールを介して警察に伝えられ、複数の構成員からの取り調べで言質を取った上で正式にカレチャへの捜査も開始された。
すなわち大学構内への立ち入りだ。
なんでも大学自治とかって概念がどうのこうのということで、いくらか批判の声もあったみたいだけど。
そこは今ソフィアさんが話してくれた通り、そもそも外部犯罪組織とのつながりが疑われているということでそうした主張にはあたらないとの見方が大多数とのことだった。
そうした中で小早川さんの知り合いがいるカレチャにも警察の捜査が入ったという。それでその人が慌ててメッセージを入れてきたんだとか。
それも別に、証拠を消せとか注意しろとかそういうものでない、困惑に満ちたメッセージだったらしい。
「その知人のカレチャの誰しもが、寝耳に水だと驚いていたようです。彼自身もまた、まったく知らなかったことで何が何やらと混乱していましたね……そして私にも、知っていたかどうか詰問してきましたよ。"俺達は犯罪組織に加担していたのか!? "とね」
「…………それは」
「もちろん私とて知らないのだから答えられるわけもない。すぐさま顧問や幹事長と話し合い、どうするべきか考えました……我々とて、そのような犯罪組織との関わりがあるように思われたくはありません。ましてや私など、端くれでも探査者なのですから」
「たしか……B級でしたよね、小早川さん」
力なくうなずく小早川さん。本当に関係ない身だとすれば、どんなにか悔しいだろうな。真面目にまっとうに活動している自分達まで、犯罪組織に加担している一味だと見なされるのは。
藤代さんや樋口さんも口惜しげにしているし、本当にカレチャに対して思い入れがあるように見えるよ。これで実はこの三人もガッツリサークルに関わってましたーなんてのは、さすがに考えにくいように思えるかな、俺としては。
「ですから、私達は私達で情報収集を行い、WSOに提供することで身の潔白を晴らしたく思ったのです……あの認定式において大活躍された山形さん立ち会いの下に、ね」
「それで宥さんを介して俺に、依頼を」
「はい。快く応じてくださった山形さんには、返しても返しきれないほどの恩ができましたよ……と。ここです。部室棟は」
なるほど、あえて自分達から俺に、ひいてはWSOに協力姿勢を見せることでどうにか身の潔白を示したかったと。あの突然の依頼はそういう流れで行われたんだな。
立ち止まり、すぐ近くに立つ施設を指し示す。竜虎大学の部室棟だ。
ここにカレチャの部室もあって、そこで幹事長さんや教授さんが待っているのだ。促されるまま、俺達は施設に入っていった。
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