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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第三部・星明りの聖剣編

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相変わらず使徒キメてますね、望月さん!

「公平様! 我が救世主様! ようこそお出でくださいました、あなた様の使徒望月宥です!!」

「怖ぁ……」

 

 竜虎大学正門前、辿り着いた矢先に宥さんの声がして俺は苦笑いした。半月ぶりくらいだけどあまりにも相変わらずなお姿と使徒っぷりに、どうしたことか安心感さえ覚える。

 亜麻色の髪を長く伸ばした、整った顔立ちのお姉さん。ロングスカートにシャツ、カーディガンとゆるふわ清楚系ファッションに身を包んだ立ち姿はまさしく大学生って感じだ。

 

 望月宥さん。C級探査者であり、かつ伝道師としての香苗さんの右腕でもある素敵な人だ。

 彼女が手を振れば周囲の行き交う大学生達、特に男の人達がみんなしてチラ見してくる。なんならその後にこっちを見て、やっかみの視線など送ってくる始末だ。

 

「望月さん、今日もかわいいな……でもシャイニング山形のアレなんだよなあ」

「命救われたんだろ? そりゃまあアレにもなるかもだけど……あんな子供にベッタリなんだもんなあ」

「はー、僕も探査者になったらちょっとは振り向いてもらえるのかな? 言ってもしょうがないか、部活部活っと」

 

 羨望の視線を向けられるのは毎度ながら慣れない。宥さんほどの美女の笑顔を向けられてるとなれば仕方ないんだけどね。

 あと宥さんを俺のアレとか言うのは止めよう? アレが何を指してるかによっては大問題だぞ、たぶん使徒のことを指してるんだとは思うけれども。

 

 さておき宥さんと合流だ、手を振りつつ近づく。

 久々に会う彼女は、俺の手を取って心底から嬉しそうに言った。

 

「お久しぶりです公平様! 先月はお世話になりました!」

「お久しぶりです、宥さん。あれからお変わりないようで何よりです」

「はい! 私も、公平様のご活躍は常にネットニュースやテレビ、何より救世の光チャンネルや伝道師香苗、あるいは使徒専用グループチャットこと通称"使徒の間"にて逐一勉強させていただいておりました! S級探査者認定式の一件、本当にお疲れ様でございます……!」

「使徒専用、グループチャット……? 使徒の間……?」

 

 しれっととんでもないトンチキワードをお出しされた気がする。察するに使徒達が集うグループチャットなんだろうけど、そもそもそんなのあるんだと寝耳に水の俺ちゃんだ。

 使徒ったらたぶんリーベやシャーリヒッタ、ヴァールなんかもいるよなたぶん。あの子達普通に使徒認定されてるし。まったくここに至るまでおくびにも出さないでいるのかよ、怖ぁ……

 

 久々に会って早々、すっかり気圧されてしまった感がある俺。

 しかしてソフィアさんや神奈川さんは特に気にしたふうでもないようで、むしろにこやかに宥さんに話しかけていた。

 

「ご無沙汰しております望月さん。ソフィア・チェーホワです。急に押しかける形になってすみませんが、本日はよろしくお願いしますね」

「お忙しいところの御足労、ありがとうございますチェーホワ統括理事。今日はよろしくお願いします」

「チェーホワ統括理事の護衛を務めます神奈川です。本日はよろしくお願いします、望月さん」

「はい、よろしくお願いします神奈川さん」

 

 スムーズなやり取り。大人同士の手慣れた挨拶って感じがどことなく漂うのは、やはり大学をバックにしているからだろうか。

 そもそも建物からして大人びて見えるもの。さっきから行き交う人達もみーんな、大人に見えるもの。ていうか実際大人もいるし。

 

「……っていうか土曜で、しかもまだ大学生の人達は夏休みですよね? 結構人がいるような」

「おそらく部活動や自主研究だと思います。夏休み中でも9月になると、部室棟や図書館は短時間ですが開放されますから。8月中は完全に閉鎖されていましたね」

「へえ……」

 

 さすが大学、夏休み中でも勤勉だったり、部活動に取り組む学生さんが多いんだなあ。

 もちろん、そんなこと関係ないってばかりに遊びまくってる人だっているんだろうけど。うーむ、やっぱり大学生活には憧れるものがあるなあ。

 

 前にここを訪れた時にも抱いた、キャンパスライフへのそこはかとない憧れが再燃するのを感じつつ、俺はとはいえいまはそんな場合でもないなと軽く首を振った。

 その前に目の前の案件だ。すなわち宥さんを介しての、カレッジサーチャーズとの対話。彼らがサークルの拠点を調査したいと言ってきたその経緯を、聞き出さねばならないのだ。

 話もそこそこに、俺は宥さんに切り出した。

 

「宥さん。それでカレッジサーチャーズの小早川さんは、どちらに?」

「はい、公平様達をお迎えにあがりたいと言ってましたから、そろそろ来るかと──ああ、来ましたね」

 

 話の発端である竜虎大学のカレチャにおける副幹事長、小早川さん。とりあえずは彼に会って話を聞かなきゃいけないだろうってことで質問したところ、どうやら噂をすれば影がさしたみたいだ。

 構内を見る宥さん。釣られて見れば見覚えのある男の人と女の人、あと初めて見る男の人の合計三人がこちらに向かってやって来ていた。

 

 見覚えのある男の人については言わずもがなだね。

 ダンディマッチョな巨漢大学生、ジャケットだけ脱いだスーツ姿がイカしてる小早川さんのお出ましだった。

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― 新着の感想 ―
鑑定したら、“探査者レベルじゃなく、狂信者レベルが上がっていました”だと怖いよね(笑)
[良い点] こういう誰が敵か分からない状態でさえ使徒は完全に安全と言えるからカルト宗教最高だな(白目)
2024/10/02 22:39 3分間ちんぷんかんぷん
[一言]  そりゃ小早川さんも世間に名を轟かせる教主山形に会うんだから取り込まれないようにSPを付けるのは当然だな、場合によっては肉壁にして逃げる一択だから。
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