表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1378/1840

実は神奈川のほうも大概重いんじゃないか?山形は訝しんだ

 なんやかやと、やり取りしつつ駅着いて電車乗って隣県へ。途中乗り換えなんて挟んで向かうは竜虎大学の最寄り駅だ。

 夏休み前半に宥さんに案内してもらったからこのへんはもうばっちり記憶済みだ、コマンドプロンプトの演算能力を舐めてもらっちゃ困る。

 

 なんなら二学期始まってすぐながら、勉強の調子もめちゃくちゃいいほどだ。

 教科書に載ってることも全部理解できるし記憶だってできちゃう。計算能力もスパコンかよってくらい高いし、なんていうかマジでチートだこのオツム!


 ……これ、いいのかなー? って気はしている。正直なんと言うべきか、ズルをしている気にはなるよね。

 でもまあ、こればかりは俺であり私であるがゆえの生来、いや生前からのものだから。無理に否定するのも違う気はしていて。

 結局、謙虚さだけは忘れないでいたいよねって気持ちをことあるごとに再認識するに留まっているのが、新生山形公平くんの新しい学校生活の姿だった。

 

 竜虎大学前駅に降りて、眼の前に聳える神社にこれも久しぶりだなーって思いつつも大学へ向かう。

 立ち寄っても良かったけどこのご時世だ。迂闊に概念存在の領域に入るのもちょっと躊躇われたので止めておくことにする。

 VIP中のVIP、ソフィアさんもいるからね。電車での移動中もずーっと周りの人達が彼女と神奈川さんに視線を向けていて怖かったよ。イケメンと美女はやっぱり注目度が違うや。

 

「……と。そろそろですね、正門前で宥さんが待ってくれているはずですが」

「日本の大学というのも、見ることはあっても入るのはあまりないことでした。うふふ、こう言ってはなんですが楽しみです」

「大学かあ。興味はあったけど俺、高校にも行ってないからなあ。中3でクソ両親が蒸発しやがって、そっからずーっと反社連中に良いようにこき使われてたよ」

「怖ぁ……」

 

 単純に可愛い好奇心を示すソフィアさんはともかく神奈川さんの過去が絶望的に重く暗い。この人、俺くらいの年からずっと裏社会に絡め取られて生きてきたのか……

 親が残した借金を返済するために、社会的身分含めた何もかもを掌握されて。一体具体的に何をする羽目になったのかは恐ろしくて聞けないけど、想像を絶する目に遭ってきたのは想像に難くない。


 それで一年前、いよいよ家さえ奪われてホームレスになって命まで狙われる中、出会ったのがステラだったんだな。

 そりゃステラに対して重くなるよ。ステラも大概な重さなんだけど、神奈川さんも彼は彼でステラを異様なまでに想っているわけだからね。


 なんとなくその心情が察せられて、俺は二人の幸せな未来を願わずにはいられない。

 ソフィアさんも神奈川さんに対して、優しく、暖かく声をかける。

 

「神奈川さん。あなたにはきっとこれから良いことがたくさんありますよ……月並みですが。この一年のあなたの功績には、私もヴァールもWSOも、あなたが思う以上に報いてみせましょう」

「あー、なんかすみません、不幸自慢みたいになってしまって。俺は今、すでに幸せで満足してますよ。なんてったってステラが傍にいてくれますからね」

「だからこそ、よ。ステラ様が受肉なさったらいろいろ入用にもなってくるでしょうし。単なるお金だけじゃないいろんな部分で、神奈川さんのフォローだってさせてもらうわ」

「……ありがとうございます、チェーホワ統括理事」

 

 神奈川さんのこれまでの、対サークルにおける功績……その大きさは間違いなく今回の事件全体で見てもトップクラスだろう。

 ステラの補佐ありきとはいえ実質たった一人でやつらを追い続けた、なんて誰にでもできることじゃない。ステラを求める一人の男の、想いの強さを彼はここに至るまでずっと示しているように思う。

 

 そんな彼だからこそ、ソフィアさんは多大な報酬をもって報いたいと考えているみたいだ。これはヴァールも、ひいてはWSOという組織のスタンスとも言えるだろう。

 これまで散々に苦労してきた神奈川さんが、これからは少しずつ報われて幸せになってくれれば良い。本人はステラがいるだけでも満足で幸せだって言ってるけど、俺はそう思うよ。


 そしてそんな思いはもちろん、ステラのほうがより大きい。

 腕にぎゅっとしがみついた透明の彼女が、祈るように囁くように神奈川さんの耳元で囁くのを俺は見た。

 

『千尋……私が受肉したら、絶対絶対、幸せな家庭を築こうね? もう二度と一人ぼっちになんてさせないから、ね?』

「ステラ。ああ、そうだな……幸せになるんだ、絶対に。俺と、お前と、そしてみんなで。あ、それはそれとしてあのクソ親どもは別だけど」

 

 甘えるように愛を、幸せを語るバカップル二人。

 うーん、砂糖を吐きそうだ……幸せになってほしいけど、人前でやたらめったらバカップル空間を展開するのは控えてほしいもんだ。

 独り身には堪えるからね!

【告知】

 コミカライズ版スキルがポエミー2巻、大好評発売中!

 紙媒体も電子書籍もあります!

 以下URLからお求めいただけますよー!


 コミカライズ2巻

 amzn.to/4cn6h17


 ぜひともお買い求めくださいませー!

 よろしくお願いしますー


ブックマークと評価のほう、よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史完結しました!

https://ncode.syosetu.com/n5895io/

よろしくお願いいたしますー


 【ご報告】

 攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど

 書籍版、コミカライズ版併せて発売されております!


書籍

 一巻

 amzn.asia/d/iNGRWCT

 二巻

 amzn.asia/d/aL6qh6P


 コミック

 一巻

 amzn.to/3Qeh2tq


 Webサイト

 PASH!コミック

 https://pash-up.jp/content/00001924

 ニコニコ漫画

 https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/63393

 pixivコミック

 https://comic.pixiv.net/works/9446


 電子版、書籍版、コミカライズともに好評発売中!

 みなさまにお求めいただければさらなる続刊、続編も視野に入っていくと思いますのでなにとぞ、よろしくお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 後ろには狂信者がたくさんいて、近くには山鹿が気づけばほぼ彼女みたいなポジションのギャル同級生もいて…うえには羽で燐粉飛ばしてる少女リーベちゃんも飛んでいるといて、後方正妻顔してそうなワープロ…
[一言] 独り身といいつつおしくらまんじゅう状態じゃないですかーw そんなこと言ってるとリアルでおしくらまんじゅうされまっせ リーベちゃんとかえーいってみんな集めてやるの好きそうだし
[気になる点] 独り身、、、?信者いっぱいいますけど??? 伝道師さんと使徒達はハーレムみたいなもんでしょw内も外も埋まってるんだからヾ(*´∀`*)ノ シャイニングハーレム野郎形様!とりあえ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ