一夜明けてのインターミッション
翌日、夕方16時。
普通に始まった授業を、幸いにも夏休みボケせずにちゃんと受けることができた俺ちゃんは無事に放課後を迎えて後、香苗さんやリーベ、シャーリヒッタ、ミュトスを伴いヴァールのいる首都圏はホテルの一室に向かった。
お手製ワームホールをチョチョイと開き、潜れば即到着のお馴染み空間転移である。
「到着ー。や、昨日ぶりヴァール」
「よく来てくれた。定刻通り、さすがだな」
相変わらず豪華そのものなホテルの室内で、さっそく待ち構えていたヴァールの出迎えを受ける。
奥の部屋からはオペレータの気配が複数するし、アンジェさん達はすでに到着済みなんだろう。一応五分前行動はしてるんだけど、もうちょい早いほうが良かったかもね。
まあそれはさておき、案内を受けて奥の部屋へ。
いわゆる寝室にテーブルが置かれてあり、中にはやはり何人もいる。大半が見知った顔ぶれだ。
アンジェさん、ランレイさん、神奈川さんに透明ながらステラ。マリーさんに神谷さん、シャルロットさんに愛知さんもいるね。勢揃いだ。
あとはどっかで見たことのある顔が、ベッドから身を起こすシャルロットさんの傍に侍っている。
灰色の髪の、渋いダンディおじさんだ。180cmくらいの長身で、スラッとした体型をしているね。
ダンジョン聖教の法衣を着ていて腰に剣を提げているあたりシャルロットさんの護衛か。聖騎士団の人かもなあ。
微妙に俺を睨んできてるのは元々そういう目つきなのか、明らかな意図のものなのか。そこはひとまず置いとこう、怖ぁ……
「公平、香苗! 昨日ぶりねこんにちは! シャルロットのこと聞いたわ、マジで素敵よ公平、サンキューッ!」
「こ、公平さんって回復までできるんですねえ……すごいです、あっ、こ、こここんにちはみなさあん!」
「落ち着けよ二人とも……」
「我が孫ながらテンション高いねえ。ファファファ! 公平ちゃん、香苗ちゃんにリーベちゃん。それとシャーリヒッタにミュトスだったね? よく来たねえ」
「みなさん……こんにちは! 今日はお世話になります」
昨日もお会いしたアンジェさんチームの面々とマリーさんと挨拶。マリーさんとは一週間ぶりくらいだけどお変わりないようで何よりだよ。
次いで挨拶するのはこれまた昨日、お会いした御三方。愛知さんにシャルロットさん、神谷さんだ。
まずは一番気になる人に話しかける。
「昨日ぶりです、愛知さんもシャルロットさん、そして神谷さん。シャルロットさん、お加減いかがですか? その後、何かおかしなところは?」
「ありません。信じられないほどに元通りです。これもあなたのスキルの能力だと伺いました……山形公平さん」
「あ、は、はい」
「ありがとうございます。私はあなたに命を救われました。ダンジョン聖教聖女として、そして一人の人間として深く感謝します。本当に、ありがとうございました」
深く、本当に深く頭を下げてシャルロットさんは感謝を告げてきた。いつも通りのクールさながら、心からの想いが篭った感謝のように俺には思えるよ。
どうやら、心身ともに無事みたいだね。良かったよ、本当に良かった。感謝も嬉しいけど、それ以上にシャルロットさんが無事でいてくれることこそが俺にとっては何よりもの朗報だ。
隣で神谷さんも、寄り添い椅子に座りながらも深く頭を下げてきた。
「私からも山形さん、本当にありがとうございます……! 七代目様をお救いくださったこと、感謝してもしきれません……!!」
「神谷さん……シャルロットさんも、お気になさらないでください。俺は俺にできることをしたまでなんですから」
「それでも、ありがとうございます……! 私を庇ってあのようなことになられたシャルロット様が、あのまま死んでしまっては……私はもう、生きてはいられないところでした!」
「…………!! か、神谷さんを庇ってシャルロットさんは、アンドヴァリに……!?」
驚くべき話だった。アンドヴァリは最初、神谷さんを狙って攻撃したのか。そしてそれを庇いシャルロットさんはあんなふうに、手足を切断されるという憂き目に遭ってしまったんだ!
なんていう話だ。神谷さんがこんなふうになるのも分かるよ。自分を庇って孫くらいの歳の子が、手足をもがれて死にかけただなんて。
同時にシャルロットさんの勇気というか、身を挺して他者を庇った慈悲の心やアンドヴァリの情け容赦のなさ、無慈悲さにも想いを馳せるが──
そうしている間にもう一人、ダンジョン聖教騎士団っぽい人が俺に話しかけてくる。
「山形公平……殿。七代目様を治療してくださったこと、このダンジョン聖教三代目騎士団長たるアルベルト・オールストレムも感謝しよう。よくやってくれた」
「え? は、はあ。どうも」
「……君には一週間前、我が剣をへし折られたこともあり正直蟠りもあるが。それはそれとして此度のことでその力は認めざるを得ないとも思った。そう長い付き合いにもならんだろうがよろしく頼む」
「え……あっ、あー! あの時の!」
複雑そうに、あんまり感謝してなさそうな感じで感謝の言葉を述べてくる彼の、直後の台詞からピンとくる。
この人、こないだの認定式の日に自然公園で俺に斬り掛かってきた人だ。そしてその時彼の剣を俺、思い切りへし折っちゃってたんだわ。
なーるほど。そりゃ複雑にもなるわなあ。
っていうかこっちも気まずいもの。愛想笑いと会釈をして、俺は誤魔化すようにヴァールのほうを向くのだった。
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