表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第三部・星明りの聖剣編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1366/1840

アレクサンドラ・ハイネン─ルビコンを渡ろうとするモノ─

 宣言通りちゃぽっと入ってサクッと風呂を上がる。と言って、ちゃんと頭も身体も洗いましたし湯船に浸かって100も数えたけどね。いいお湯でしたー。

 ってなわけでパジャマに着替えて香苗さんに交代。俺はリーベ達が待つ、俺の自室へと向かったのである。

 

「というわけでただいまー。みんな悪いな、集まってもらっちゃって」

「おかえりなさーい! いえいえ、お気になさらずー」


 勝手知ったる俺の部屋、なんだけど美女美少女が3人もいるとなんだかいつもと違って見えるよね。なんかフローラルな匂いも漂うし。

 そんな中でリーベ、シャーリヒッタ、ミュトスに迎えられて俺は、ベッドの上に腰掛けた。


 するとシャーリヒッタが抱きついてくる。

 最近ちょっと慣れてきたけど、やっぱりこの子だけはスキンシップが多いなあ、アイみたいだよ。


「父様! おかえりなさいませ!」

「うん、ただいま。改めて今日は助かったよ、家の周りを見ていてくれて」

「お安い御用です! 父様のお言葉なら悪魔の百匹二百匹、たちどころに全滅させられますよ!」

「怖ぁ……ま、まあほどほどにね、うん」

 

 俺が絡むとたまに物騒なこと言うな、この子。さすがに元々の精霊知能としての役割が処刑人なだけはある。

 悪魔にしろなんにしろ、今日俺がいないからとこのへんうろつかなくて正解だったな。この調子だとこの子は本当に侵入者に容赦はしなかったろう。

 

 その頭を優しく撫でて労いつつ、俺はリーベともう一人、ミュトスを見た。

 リーベと二人で何やらスマホで動画を見てキャイキャイ騒いでいて楽しそうだし、香苗さんが来るまでしばらくはこうしておこうか。

 アイもいるかな? って思ったけど今日は父ちゃん母ちゃんと一緒に寝るみたいだ。すっかり山形家の一員になってくれて何よりだよ、あの子も。

 

 そんなわけで30分ほどこんな感じで過ごしていると、香苗さんが風呂から上がったんだろう、移動の気配を感知する。

 さすがにシャーリヒッタを、なんか悪役のボスがペルシャ猫を撫でてるようにあやしている姿のまま迎えるわけにもいかないので彼女を元の位置に戻らせる。

 そら、そろそろ来るぞ。

 

「──お待たせしました。いいお湯をありがとうございました、みなさん」

「お疲れ様です香苗さん。それじゃさっそくですけどヴァールに連絡しましょうか」

「明日の予定についてですね。分かりました、お願いします」

 

 客人用のパジャマに身を包みタオルを首から提げた、ラフなスタイルの香苗さん。ドライヤーでしっかりと乾かしていても湿気を帯びた銀髪が、どことなく色気があってちょっとドキドキだ。

 それはともかく俺はさっそくスマホを取り出した。もう22時前だよ、いい加減ヴァールも待ちくたびれてるかもね。


 電話をかけると、すぐに応答があった。ヴァールだ。

 いつもながらの冷淡でクールな声で、夜ということもあってか比較的静かなトーンで応じてくる。

 

『ワタシだ。今日は急な予定に巻き込んで済まなかったな、山形公平』

「いや、こちらこそ悪かったよ、いきなりな話を持ち込んで。シャルロットさんの容態は?」

『安定している。今はもう就寝しているが明日になればもう元通りだろう。神谷やアンジェリーナ、ランレイがつきっきりで看病していたが彼女達ももう部屋に戻らせた。神奈川、ステラ両名についても帰還済みだ』

「そっか……シャルロットさん、なんだかんだ看てくれる人がいるんだな」

 

 何より気にしていた、シャルロットさんについての報告を受けてホッとする。まずは彼女が回復しそうで良かった。

 先輩聖女とも言える神谷さんだけでなく、独自行動にすっかり怒り心頭だったアンジェさんや不安がっていたランレイさんもつきっきりで看病していたってのは、俺からしても嬉しい話だよ。


 一人きりじゃないんだな、シャルロットさん……

 どこまでも焦ったように、憎悪を抱えてアンドヴァリめがけて突っ込んでいくものだから正直なところ、孤立しちゃっていることを心配していたのだ。


 何かしら事情があるにせよ関係各所を無視して暴走したのはそりゃよくないけど、さりとて明らかにそうするしかない事情があったんだろう人を見限ったり見放したりなんてできるわけがない。

 ましてやあんな惨い目に遭った少女を、もしかしたら誰もが自業自得だと捨て置いちゃってるんじゃないかってのは不安だったんだ。

 

 でも、実際にはなんだかんだと傍に人はいて。シャルロットさんは一人きりじゃないんだって今のでよく分かることができた。

 それだけでもずいぶん救われた気がするよ、なんだかね。そんな俺の想いを察してか、電話の向こうのヴァールの声も幾分、柔らかいものになった。

 

『やはり元々は、ここまで暴走する質でもないようだからな……それがああなるだけの何か因縁がアンドヴァリとの間にあったというのは、今日の一件で嫌というほど思い知らされた。やつがあそこまでのことをするとは、ワタシも思っていなかったからな』

「そうか……そのへんについての詳しい話は明日の放課後、そっちに行くからそこで聞かせてほしいんだけど構わないか? そうだな、夕方の4時頃にでも」

『もちろんだ。その間、こちらでも捕縛した構成員達や神谷、シャルロット、愛知から事情聴取をして少しでも情報を集めておこう』

 

 シャルロットさんに結構キレ気味だったこの子も、アンドヴァリに手足を切断され、それでもなお殺意と憎悪を剥き出しにする彼女の姿にはさすがに何らかの事情を察したんだろう。大分当たりが柔らかになっているように思う。

 良いことだ……怒りを持続させるのは精神的によくないからね。

 

 明日16時ってことで予定も合わせたし、これで用件も終わりだ。

 明日も早いしそろそろ切り上げるかと思った矢先、ヴァールが不意に俺の名を呼んできた。

 

『山形公平。詳しくは明日に話すが、今のうちに一つだけ、ざっくりとだがアンドヴァリが何をしたのかを言っておく……』

「お、おう? あ、ああ」

『…………やつは、ウーロゴスと一体化した。ミュトスの権能をその身に取り込み、概念存在へと転じる一歩を踏み出したのだ』

「……………………!?」

 

 それは、思いがけない言葉だった。

 アンドヴァリの所業、やつが何をしたのか……あり得べからざるその行いが、端的に示されたのだった。

次回から新エピソードですー

よろしくお願いしますー


【告知】

 コミカライズ版スキルがポエミー2巻、大好評発売中!

 紙媒体も電子書籍もあります!

 以下URLからお求めいただけますよー!


 コミカライズ2巻

 amzn.to/4cn6h17


 ぜひともお買い求めくださいませー!

 よろしくお願いしますー


ブックマークと評価のほう、よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史完結しました!

https://ncode.syosetu.com/n5895io/

よろしくお願いいたしますー


 【ご報告】

 攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど

 書籍版、コミカライズ版併せて発売されております!


書籍

 一巻

 amzn.asia/d/iNGRWCT

 二巻

 amzn.asia/d/aL6qh6P


 コミック

 一巻

 amzn.to/3Qeh2tq


 Webサイト

 PASH!コミック

 https://pash-up.jp/content/00001924

 ニコニコ漫画

 https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/63393

 pixivコミック

 https://comic.pixiv.net/works/9446


 電子版、書籍版、コミカライズともに好評発売中!

 みなさまにお求めいただければさらなる続刊、続編も視野に入っていくと思いますのでなにとぞ、よろしくお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ミュトスとしては体の一部にアンドヴァリが解けて生えてるようなもので凄い嫌そう
[一言] ウーロゴスを取り込んで巨大化できるようになったアンドヴァリとエヴァンジェリスターによる伝道合戦が始まるわけですね。 山形「始めないで」
2024/08/12 08:54 こ◯平でーす
[一言] やっぱりウーロゴスと合体したのか…… コンゴトモヨロシク これ、混ざり方によってはミュトスの権能を取り出せなくなってしまうのでは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ