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過去一ギスッてる二人

「こ、こんにちはー……香苗さんにお呼ばれしました、山形ですー……」

 

 伝道スイッチ・オンの香苗さんだけならまだしも、そもそもなんでここにいるんですか状態の二人、愛知さんとシャルロットさん相手におっかなびっくり挨拶していく。

 意図も分からなければ意味も分からない組み合わせだからね。パンピーの俺ちゃんからすれば思いがけないところでイケメン陽キャの群れに囲まれたのと同じくらい意味が分からないのだ。

 

 相変わらずライダースーツの愛知さんに、楚々とした法衣姿のシャルロットさんがこちらに向き直る。

 以前に共闘した愛知さんはともかく、今はシャルロットさんのほうにも敵意はない……そこもまた意外に思ってると、当の本人、聖女さんが開口一番話しかけてきた。

 

「こんにちは、一週間ぶりですねシャイニング山形。あれから大事はありませんでしたか。アンジェリーナやランレイ、神奈川やステラとともにサークルの拠点を襲撃したと聞いていましたが」

「あっはい。おかげさまで全然元気です。その、モリガナさんのほうはどうでしたか? いろいろとあの後、あったみたいですけど」

「特に問題は何も。ただそうですね、成り行き上とはいえ面倒なS級探査者と組むことになったのは残念な流れとは言えますが」

「それはこちらのセリフだ、残念聖女」

 

 認定式における修羅場以来のやり取りとなるが、あの時ほどの剣呑さはない。シャルロットさんってば、やっぱり戦場にいたってのもあって当時は怖かったのかな。

 いやでも隣に座る愛知さんへの物言いは相変わらずだいぶアレだぞ怖ぁ……愛知さんのほうもすかさず言い返してるし。


 二人の間には特に打ち解けた空気とか流れてなさそうだ。

 じろりとシャルロットさんを睨み、S級探査者の一角が反論する。

 

「本当に手を焼かせてくれた……お前が聖女でなければとっくに単なる犯罪能力者として始末しているのだが。不相応な立場に護られていることを自覚するべきだな、隣のお嬢さんは」

「そのお嬢さんに縋らなければならなくなったS級探査者がいるそうですね。それも今私の隣に座っているとか。まったく面白い話もあったものです、アンドヴァリと言いS級探査者にもハズレというものはあるのですね」

「ハズレS級の一人とて振り切れない世界的宗教の象徴的存在がよく言う。なるほど、これでは騎士団とかいう犬ころを多数引き連れねば何一つ為せないわけだ」

「召喚スキルありきで身一つではまともに何もできない探査者が何か言ってますね。他所から力を借り受けただけであなたの力などどこにもないというのに、よくそのようにして粋がれるものだと感心しますよ。ふふ」

「えぇ……?」

 

 いや言葉のドッヂボールってかミサイルの撃ち合い!! 険悪すぎるだろ仲良くしようよ二人とも!!

 打ち解ける以前に全然バチバチ敵対状態だこれ、ってくらいチクチク言い合っているお二人に聞いている俺の震えが止まらない。なんなら談話室内の気温も下がってるよ、クーラーいらねー。

 

 ダンジョン聖教七代目聖女と史上最年少S級探査者の言い合いに、すっかり他の探査者のみなさんも談話室からそそくさ逃げちゃった。もうすっかり人もいなくなったこの室内が、気まずい感じに静まり返る。

 そこにこほん、と香苗さんが咳払いを一つした。ジロリと二人を見、嗜める。

 

「止めなさい二人とも。救世主様の御前ですよみっともない」

「……救世主はともかくこの場にふさわしくない応酬であったことは認めます。失礼しました」

「…………すみません、熱くなりました。山形さんも久しぶりで見苦しいところを見せて申しわけない。認定式の日には世話になった、愛知九葉です」

「あ、いえ。愛知さんもお元気そうで良かった」

 

 さすがは香苗さんだ、救世主の御前だからなんだというのかというツッコミはさておくにしても、年長者らしい大人の窘めである。

 すっかりクールダウンした愛知さんやシャルロットさんに会釈しつつ、香苗さんの隣の席に座る。いや場違い感すごいな、横も前も斜めも全員大物だよこれ。

 

 気を取り直して、話を本題に持っていく。

 すなわちなんで関西にいるの問題と、なんで俺呼んだの問題について、である。

 

「ええと、その……率直に聞きますがなぜこの県に? 首都圏で活動されているものかと思っていたんですけども」

「加えて私や公平くんに用事があると言いますが、一体なんでしょうか? サークルやダンジョン聖教過激派についてのメインストリームはむしろアンジェリーナやランレイさんのほうであって、今回の件においてはサポーターに過ぎない我々と真っ先にコンタクトを取る理由がいまいち分かりかねますが」

 

 香苗さんも似たような疑問を呈するけどまあ当然だな、マジで真っ先に俺達を訪ねる意味とか分かんないし。

 彼女の言うように俺達は今回、立ち位置的にはサポーターだ。サークルや過激派に対して真っ向から挑んでいるのはアンジェさん達であり、頼るならまず彼女らにするべきなんだよ。

 

 それをわざわざ関西にまで来て、なんでまた?

 素直な疑問を浮かべる俺達へ、彼女達は顔を見合わせ……そしてゆっくりと、認定式から今日に至るまでの経緯を話し始めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] むしろ逆に仲良いんじゃないかと思えるわ
[一言] もうこの二人に世界の真実を明かしてしまえばいいんじゃないのかとまで思ってしまったんですよ。ねえ山下さん、どうですか?
[気になる点] お互い腹に据えかねる何かがあったようで……
2024/07/30 08:01 こ◯平でーす
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