もしかしてオラオラですか?いいえプルプルです
それぞれ軽い身支度を済ませて合流を果たした俺、リーベ、ヴァール、シャーリヒッタ、ミュトスの五人。
となればわざわざ部屋の前で溜まる理由もなく、なんならもうあと一時間もしないうちにミーティングがあるのでさっそく、大会議室へと向かうために歩き出した。
こないだと同じで特に変わりなくエレベータに乗り一階へ。俺達以外に誰もいない密室空間の中、僅かな時間だが軽く雑談に耽る。
特にミュトスにとっては初めての現世体験ばかりだからね。ウーロゴスを取り込んだことも含め、精神的に何か負担とかないか具に確認してあげる必要もあった。
「ミュトス、初めての現世だし緊張とか大丈夫? あと昨日の、ウーロゴスの一部を取り込んだこともだけど……」
「あっ、はい! へいきへっちゃらへっへっへ! ですよ私的には! いやーこの世界の現世は食べるものも美味しいですしビルとかすごいですし、何より皆さんおしゃれすぎて見てて飽きません!」
「中世ファンタジー的世界観なら、食文化だけじゃなくてファッション的なところについても、なんとなく伺えますねー……」
特に問題なさそうに朗らかに笑うミュトス。さっきも言ってたけどこの世界の食文化がいたくお気に入りらしく、なんならそれだけでなく都市の光景や人々のファッションなんかにも興味津々みたいだ。
今度一緒にウィンドーショッピングとかしましょうねー、ねー! などとリーベと笑い合っているのをホッコリしつつ眺めていると、エレベータが一階に到着してその扉を開けた。
さて大会議室は、と。
「……もう結構、人いそうだな。スタッフさんとかかな」
「うむ。島根室長もすでに到着しているだろう、今日も司会進行は主に彼が務めるからな。ワタシは軽く挨拶しに行くから、あなたや後釜達は席についていてくれ。ああ、それとミュトスはこちらへ。途中参加者だからな、一応断りを入れておきたい」
「あ、分かりました。それではみなさん、ひとまず失礼します!」
すでにそこそこ人がいて、みんなして会場である会議室内にパイプ椅子や机を置いたりマイクやスクリーンの準備をしている。
隣でヴァールが教えてくれた通り、部屋の前の方には島根室長さんがすでにいて、資料を読み込みつつ部下の方だろうスーツ姿のお兄さんお姉さん達と何やら打ち合わせしている。
そんな中を颯爽とヴァールは歩き、前に進んだ。ミュトスにも呼びかけて二人、歩き出す。
WSO統括理事として島根さんと話をしに行くんだろう。お疲れ様だなーと思いつつ彼女らを見送り、言われるがままに俺達の席を探すことにした。
一昨日同様、警察、WSO、そして個人協力の探査者とそれぞれに分かれて席が分けられているみたいだ。
スタッフさんの方にちょろっと聞いてみる。
「あ、すみませーん。個人協力の者なんですが、どのへん座らせていただいたら良いでしょうかー?」
「んんーはいはい個人協力の方ね。えーっと机に番号が振られてるんだけどもA列B列C列の20番目の席までの範囲で好きなところに座って下さーい。大体あのへんですねー。その隣がWSOスタッフやエージェントのエリアになりますー」
「あ、分かりましたー。ありがとうございますー」
初老くらいの、人の良さそうな穏やかな人相のおじさんスタッフに教えてもらいそこに座る。
今のところあんまり人はいないけど、それでも何人かはすでに来ていて俺達より先に座ってるね。パーティというか知り合い同士らしく仲良く話しされているところに俺達が近づいてきたところ、どうしたことか目を丸くしている。
なんぞ?
「シャイニングだ、シャイニング山形だぜ……昨日の動画すごかったよな、空とか飛んでビーム打って」
「あれスキルなんかね? 御堂さんはそんな感じのことを言ってたけど」
「スキルじゃなかったらなんなんだよ。いやすげーわ、御堂さんも愛知も天才だけどシャイニングはなんていうか規模が違うな。まあ一々光って目立ちたがるのはアレだけど」
「死ぬほど目立ってたもんな。地味で大人しそうな見た目だけど、案外オラついてたりするのかねえ」
「怖ぁ……」
これまでの人生で一切言われたことのないことを言われてしまった。オラついて見えたのか、あのヘリコプター前で光ったアレが。
まあ目立ってたのは目立ってたから仕方ないとは思うけどもさあ。俺のことをよく知らない探査者の方からするとそう見えちゃったのかーって割とショックだ。
山形くん草食系も良いところだよ? オラつくどころかプルプル震える山形くんだよ? 風評被害だよ怖ぁ……
地味に落ち込みつつ、彼らとは離れた後ろめのところに座ることにする。前はなんかヤダ、教室とかでも後ろの端っこのほうが落ち着くし。
そうして一息ついたタイミングで前を見ると、ヴァールが島根室長やおまわりさん、WSOのスタッフさんとも話しているのが見える。
お偉いさん達の話し合い、遠目で見てるとすごい圧迫感あるよなー。若いスタッフさんなんかガチガチに緊張してるもの。頑張れー。
「あ、父さ、もとい公平サン。アンジェリーナとランレイが来ましたよ」
「うん? ……あ、ホントだ」
と、左に座るシャーリヒッタに袖を引かれて入口のほうを見るとアンジェさんとランレイさん、神奈川さんに他の人には見えてないけどステラも見えた。
昨日、お世話になった能力者犯罪捜査官チームのお出ましか。そしてなんなら今後、しばらく行動をともにする形でお世話になる人達だ。
彼女達もすぐさま俺達に気付き、大きく手を振って近づいてくる。
俺達もそれに応じて手を振って、そして彼女達を迎えた。
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