ソロモン72柱と言っても、実際のところ大半が後付けらしいですよ(豆知識)
後書きにて告知があります。
ぜひご覧くださいませー
「悪魔セーレ……瀬川聡太については報告を受けていたが、その背後にいる悪魔がお前ということで間違いないのだな?」
『はい、その通りですソフィア・チェーホワ。WSO統括理事自らの尋問とは、私もずいぶん高く見積もられましたね』
さっそくのヴァールの質問に、穏やかに答えてセーレが笑った。ポジティブな感じではなく、どちらかと言うと自嘲混じりの微笑みだ。
悪魔から見てもやはりソフィアさんの存在は特別ってことなのかな、この様子から察するに。まあ現状、向こうからしてみれば大ダンジョン時代の成立の根幹部分に位置する彼女はそれゆえ、概念存在ならば間違いなく気にしている存在だろうからね。
とりも直さずセーレは俺達を見た。三姉妹が座るソファの向かい、俺の隣に座らせたまま周囲を見渡したのだ。
ちなみにミュトスは側面の椅子に座って成り行きを見ている。ないとは思うけどセーレが何か不審な動きを見せたら即、拘束して捕らえられるように若干前傾になってるのが頼りになるよ。
『改めて質問にお答えする前に、まずは名乗らせてもらいます……ソロモン72柱の悪魔が一つ、セーレと申します。サークルの構成員たる瀬川聡太と契約を結び、彼に戦ってもらう代わりに力を授けておりました』
「ソロモンの悪魔、か。知識としてはあるが見るのは当然初めてだな……」
「俺も聞いたことはあるんだよなあ。めっちゃ昔の王様が、スゴイ賢くて使役できてた悪魔だってことくらいはだけど」
ソロモンの悪魔。そのワード自体は創作とかだと結構耳にする、ファンタジー系だとよくありがちなやつだね。
俺もまあまあな陰キャとして、これまで数限りなくクリアしてきたゲームの中で何度か目にしたからそれ自体は知っているんだが、具体的なところは正直全然知らなかったりする。
こういう時、俺よりもはるかに神話関係にお詳しい香苗さんがいてくれたら助かるんだけどなあーと内心にて思う。
さすがにこんな早朝だ、あの人を呼び出すなんてしないけど。
『私の来歴自体はどうでもいいかと思われますが、一応ご説明します。たしかにシャイニング山形の仰るように我々はかつて、古代の中東方面に栄えし国を治めていた王の下僕……ということになっていますね』
「実際には違うのか?」
『微妙なところ……ですね。ソロモン王が悪魔を使役していたという記述は古くからありますが、そこから72柱まで膨れ上がったのは時を経て段階的に加わっていったイメージですので。正直なところ、私自身にも"かつてソロモン王に仕えていた"という曖昧な自己認識しかないのですよ』
「後付による原典からの派生か……概念存在も大変だな」
なるほど、後世の後付で膨らんだ神話において人々のイメージから生まれたタイプの概念存在か、セーレは。
一口に神話って言っても、成立経緯がそれぞれ異なっていたりするのはあるからね。複数の神話が混じり合ったとか、後付で派生形が膨らんだとか、内容そのものが変化したとか。
ソロモンの悪魔の場合は元々、何体か悪魔を使役しているとの記述があったところに何千年とかけて少しずつ拡大解釈による後付が為され、その結果セーレはじめ72柱もの規模に膨れ上がったのだという。
なので原典に記されているいくらかの悪魔だけがソロモン王のことを完全に記憶しており、後付で生まれたセーレのような悪魔については、朧気な記憶しかないみたいだ。
原典に記されてないけど使役していた何かしらが、人々のイメージを受けて概念存在化したってパターンかもね、これは。
あ、ちなみにそもそも完全に特定個人、ないし複数人による創作だと認識されているタイプの近現代のフィクション神話については現状では概念存在には絶対になれない。
遠い未来、フィクションかどうかも判別がつかないような未来になってもその創作が遺っていた場合にワンチャン概念存在として発生し得るかどうかって感じだね。
今、概念領域に存在している神話圏もそんなパターンで成立したモノ達もいるんじゃないかなあ、たぶん。
さておき、そんな概念存在トリビアはともかく。
正体を自ら明かして自己紹介までしてくれたセーレへと、リーベがソロモンの悪魔であるということを踏まえて質問を投げかけた。
今は交流を深める時間などではないし、セーレはそうするような間柄のモノでもないからね。聞くべきことはきっちり聞く、できた精霊知能スタイルを見せてくる形だ。
「72柱って、72体もいるんですよね? そのソロモンの悪魔って……え。ってことは他の71体もサークルの誰かと契約を結んでいるんですー?」
『いえ。私の他に何柱かは関与していますが、他は別派閥の悪魔達ですね。72柱のほとんどは現世への関与については否定的な、いわゆる静観派ですから』
「あー……やっぱりアレか、大ダンジョン時代にゃ手出ししにくいってか」
『はい。正直なところを言えば、私も静観派でした。サークルにはゆえあって助力をしましたが、それがなければそもそも現世に姿を表すこともしなかったでしょう』
何? 思わぬ発言に全員、顔を見合わせる。
そもそもセーレ自身が静観派だと。神々や悪魔の大多数が現世への介入に否定的なのは織田から聞いていたけど、実際に介入してきたこいつまでそうなのか。
それが理由あってサークルに手を貸したという。その理由について、俺達は慎重に質問を投げかけていった。
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