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いくらワルでもやり過ぎはダメ!by山形

 突然割って入った俺と愛知さん、そしてスレイプニルとワイバーンに混乱する場の中、動いたダンジョン聖教聖女シャルロット・モリガナさん。

 香苗さんと同じ、スキル《光魔導》を使用したのだ。現れた光の鳥籠でもってダンジョン聖教過激派の面々を囲い込み、内部に光の矢を無数に放つ技、バードケージ・プリズンサジタリウスとやらを使用した。

 

 ガガガガガガッ! と、鳥籠の天辺から底へと行われる爆撃。とんでもない光景だ……たとえ敵とはいえ、人間相手に放つべき技じゃないんじゃないのか、これは!?

 戦慄とともに冷や汗が流れる。俺は慌ててスレイプニルから飛び降り、シャルロットさんの腕を掴み制止した。

 

「いけない……! やりすぎですシャルロット・モリガナさん! いくら敵でも能力者でも、ここまでやったら死んでしまいますよ!」

「……何者です、あなたは? たしか午前中、チェーホワ統括理事の近くにいた者と記憶しますが」

「俺のことはなんでも良いから今すぐスキルを止めてください! 自分が何をしているのか分かってるんですか!?」

 

 当たり前のように振る舞う目の前の聖女が恐ろしい。この人、すべて承知の上でこんな技を人に向けているのか……!

 爆撃を受けている過激派の者達はまだ耐えているから、おそらく降り注ぐ矢一発一発の威力自体は低いほうなんだろう。敵のレベルが高かったり、防御関係のスキルを持っていたりするのかもしれないが、にしたっていつまでも健在でいられるわけもない。

 

 死ぬぞ、このままだと!

 焦りとともにシャルロットさんの腕を掴む俺に、横合いから攻撃が飛んでくる。

 見た感じダンジョン聖教騎士団の人だ、制止に入る俺をサークルの構成員とでも見なしたか──剣による鋭い斬撃だ。


「聖女様に何をするかァッ、不埒者めがァッ!!」

「っ……!!」


 いい加減にしろ!

 俺は問題なくその斬撃を剣ごと素手で掴み、刀身を握り潰した。

 驚愕の声が騎士の男から漏れる。


「っ、何!? 我が斬撃、我が剣を!?」 

「やって良いことと悪いことの区別くらい付けろ、ダンジョン聖教! ──《攻撃を終えたから光魔導は停止する》! 悪いがこれ以上は許さない!」

「っ、これは……?」


 言葉で止まりそうもない以上、こちらで強制的にカットをかけるしかない。俺は因果操作を発動し、強制的に光魔導の攻撃判定を終了扱いにして停止させた。

 さしものシャルロットさんも目を見開いて驚いているけど、こっちだ驚きたいのは、もちろん悪い意味で。


 消えていく鳥籠、残るは死屍累々のダンジョン聖教過激派らしき者達。

 生命に別状はないものの、何人かは半死半生ほどの怪我をしているな。意識がなかったり気配が弱まってたりする者もいるほどに。

 

 もう十分だ。

 これ以上攻撃していたら本当に最悪の事態になっていた。ギリギリのところで止められて良かったよ。

 もっとも目の前の聖女さんに、取り巻きの騎士達は不満を隠そうともせず俺を取り囲んできてるけどね。怖ぁ……

 

「何者かは知りませんが、今どうやって私の《光魔導》に介入しましたか。いえそれ以前にどういうつもりです、神敵の粛清に割って入るなど」

「アレを見てもまだ分からないんですか? やりすぎです、これ以上は! 俺はWSO側で貴方達と敵対するつもりはありませんけど、それでも目の前で虐殺が行われるのを黙って見ているわけにはいかない!」

「なんだと小僧っ!! 我らが神聖なる粛清を言うにこと欠いて虐殺だとぉっ!?」

 

 俺の言葉にいきりたつ騎士のみなさん。いや言われても仕方ない光景だったろあれは、そして今広がっているあれも!

 すっかり俺を敵と見なしているのか、過激派もサークルもそっちのけでこっち来てくれて、まったく。シャルロットさんだけは素知らぬ顔で敵のほうを見ているけど、隙あらばまだ何かしそうって感じだな、油断できない。

 

 さてどうする……この分だとダンジョン聖教は俺に仕掛けてきてもおかしくない状況になってしまった。

 できれば敵対せずにいたかったけど、あの攻撃は止めるしかなかったし止めた以上はこうなるしかないのか。仕方ない、というのもなんだやるせないね。

 

 まあ、元より第三勢力みたいに勝手に動いている連中だし、それを俺一人で引き付ければアンジェさん達が思うように動けるのかな?

 もう良いから全員動けなくしてしまおうか。そう考えているとさらに後方から叫びが響いた。

 俺への呼びかけだ。

 

「──良くやってくれたわ公平、ナイス!! 退きなさい雑魚ども、子供囲んで情けないわよっ!!」

「たとえ敵でも殺すは御法度! 貴様ら何をしているか分かっているのかッ! どけいっ!!」

「真っ先にけしかけるのがまさかの聖教側か……! ワイバーン、シャイニングさんを助けてくれ!」

『グルルルァラララララララァ!!』

 

 同時に響き渡る絶叫、ワイバーンの唸り声。また騎士達を殴り飛ばしてやってくるオペレータも三つ。

 アンジェリーナ・フランソワさん。シェン・ランレイさん。そして愛知九葉さん。正真正銘心強い俺の味方が、駆けつけてきてくれたのだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] ダンジョン聖教騎士が『粛清』と言うセリフを言った時に、頭の中に『ロ○神』が浮かんだ私は死んでいい(爆)
[一言] 少なくとも、聖教側の騎士が山潟に斬りかかったわけだから、もう犯罪者側の立ち位置になるわなあ……
[気になる点] 神谷さん…シャルロットさんに山形くんのことを全く説明していなかったんでしょうか? 「システム領域」関係はともかく、それ以外は説明しておくべきかと…? でもシャルロットさんにとっては、…
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