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日本の大御所探査者、現る!

 なんだか複雑な組織関係が垣間見えてるなァ、とパンピー山形くんとしては遠巻きに眺めるしかない話を聞きつつも昼下がり、気配を探りながら特にやることもないのでスマホを弄る。

 ソシャゲでもやるかあ。爆死しちゃったけどそれはそれとしてイベント周回はしたい。本音をいうとガチャを回したい。


 ああ水着ガチャが終わる。俺の夏も終わる。っていうか今ここにいる時点で実質的に終わってる。

 ひぐらしのなく音を幻聴しかねないほどのノスタルジーを抱きながらもスマホをポチポチ──と、そんな折にオペレータが結構な人数、この部屋の前にやってくるのを感知した。


 ドアをノックする音が室内に響く。

 ヴァールが訝しみつつ入室を促すと、ドアが開いて五人の男女が入ってきた。

 

「失礼します……おお、やはりいらっしゃいましたか統括理事に特別理事」

「失礼します! ……あっ、山形くんもいる」

「ホントだ! 失礼します、こんにちはー!」

「……えっ、あ! 横山さんに御陵さん! 鈴木さんも!」

 

 うち三人はつい最近にもお会いした面々だ……香苗さんの同期にしてパーティメンバーの方々。

 横山さん、御陵さん、そして鈴木さん。俺にも気さくに挨拶してくださる彼らが、年嵩の男性二人に付き従うようにして来ていた。

 

 で、そうなるとその男性達が何者なのかって話だ。

 俺の爺ちゃんくらいの歳の方と、父ちゃんくらいの歳の方。顔は全然似てないから親子ってことはないだろうけど、ただならぬ実力者の気配を漂わせているね。


 お二人は当然ながら俺より、ヴァールとマリーさんのほうに注目して挨拶をしている。

 知り合いかな? と思ったけどそうでもないらしい。ソフィアさんの振りをしたヴァールが、微笑みとともに問いかけた。


「ええと、あなた方は……? 立ち居振る舞いとこの場にいることから、上級探査者ということは分かりますが」

「たしか日本のS級だったかね? そっちの、年いってるほうは見覚えがあるよ。ええとー、最上だったかい?」

「おお、フランソワさんに覚えてもらっているとは光栄の至り。いかにも日本のS級探査者、最上和之介です。で、こちらが」

「はじめまして、お二方。同じくS級、里見悟です。ぜひともお見知り置きをお願いします」

 

 なんと! 思わず目を見開いて年上の男性方を見る俺。

 以前、噂話には聞いていた日本のS級最初に認定された最上さんと、横山さんの師匠ということで香苗さんとも間接的に縁があるらしい里見さん。

 日本に11人いるS級探査者の、大御所が弟子筋を伴っての登場ってことか。


 ヴァールも得心がいったようにうなずき、やはりソフィアさんの真似をしながらも話す。

 

「ああ……認定式のご来賓ですね? ようこそおいでくださいました、いかにも私がWSO統括理事のソフィア・チェーホワです」

「同じくWSO特別理事のマリアベール・フランソワだよ。ファファファ! 最上に里見、揃って日本探査者界隈のビッグネームじゃないか。どうしたんだい若いの連れてゾロゾロと」

「どうしたも何も、探査者として統括理事と特別理事にはご挨拶をせねばならないと思っておりましてね。押しも押されもせぬ大ダンジョン時代を象徴する世界屈指の探査者二人だ、こちらから出向くのは当然の礼儀というものでしょう?」

「ご丁寧にありがとうございます……後ろのお三方も、こんにちは」

 

 マリーさんも挨拶しつつ要件を問うと、どうも挨拶回りってやつで来たらしい。律儀というか真面目さんな感じなんだけど、この機会にWSOのトップと縁を結んでおこうって思惑もあるかもね。

 あとは弟子のみなさんの売り込みっていうか、紹介をしたいってのもあるかも。今日をもってS級になる香苗さんの仲間で、三人揃って探査者として極めて将来有望だもの。

 

 それを察してかソフィアさんのフリしたヴァールが挨拶するんだけど、緊張しちゃってか横山さん達はぎこちなく会釈するに留まる。

 弟子達のそんな姿にやれやれと肩をすくめて里見さんが苦笑いした。最上さんと顔を見合わせて、そこで初めて俺のほうに視線を向ける。


 なんだ? 敵対的ではないけど、どこか友好的でもないっていうか。得体の知れないモノを見るような視線をしているぞ、お二人とも?

 嫌な感じは受けないけども、どうも観察されている気分になる中、里見さんが話しかけてきた。


「……そして、君が噂のシャイニング山形くんか」

「あっ、はい。あの、初めまして山形公平です。よろしくお願いします」

「デビューから4ヶ月5ヶ月で、特例的にB級にまで至った天才。統括理事や特別理事ならびに御堂や風間さん、コーデリアくんとも親しい……ううむ。なるほど異質だ」

「!」

 

 最上さんがしげしげと俺を見ながらつぶやいた言葉に、多少の驚きを覚える。

 最上さん……里見さんもだが、この身の異質さを一目見て察してくるか。初対面の時のマリーさん同様、さすがはS級探査者だな。

 

「天才、というにはあまりにも何かが違う。具体的なことは分からんが、里見が言うように単なる探査者ではなさそうだというのは私にも分かるよ。ああいや失敬、他意はないのだ」

「あ、いえ……」

「俺の見立て通りだろ、カズさん。動画で見た時点でなんとなし分かってたよ俺にゃあ、この子は探査者って括りに収まらないってな」

「らしいな。似て非なる、しかして探査者をも超えるナニカを感じる。統括理事や御堂は、そのことを承知ゆえにこの少年を囲ったのだなあ」

「えぇ……?」

 

 囲ったって。若干アレな言い回しに聞こえるから止めてほしいんですけど。伝道師と使徒に囲まれてぷるぷる震えるスライミー山形くんが想起されるんですけど。

 見ればヴァールも貼り付けたソフィアさんチックな微笑みが若干引きつっている。あらぬ疑いをかけられたんだからそりゃこうなるわ。

 もし香苗さんがこの場にいたらもう、とんでもないことになってたかもなあ……まーた句読点飛んじゃってた意味でさ。

最上の若い頃がちょっとだけヒストリアに登場してたりしますー

よければそちらもご覧くださいー

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― 新着の感想 ―
[一言] スライミー山形が震えながら囲まれこちらを見ている!  伝導される ⇒逃げる
[一言] 口ぶりからすると、S級の御二方が感じ取ってるのはアドミニストレーターの部分ですかね?実はこのシャイニング山陽さらにもう1段階上があるん出すけどね正真正銘得体の知れないナニモノカなんですけど(…
[良い点] マリーさんは鈴木さんとも知り合いですね。 鈴山さんとも知り合いなので間違えたらどうしましょう。 「ボケたかねぇ……」いいえ、仕様(?)です。 [気になる点] 早瀬光太郎さんのお孫さんまで救…
2024/05/03 12:53 こ◯平でーす
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