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肩書なんて関係ねぇ!伝道師の伝道を聞けぇーっ!!

 舞台の奥から現れた香苗さん。いつも通りのお姿だけど、どことなく風格が漂って見えるのはこの、式典館という場所がそうさせているのだろうか。

 S級探査者としての威厳を纏っているかのような厳粛な面持ちで、彼女は俺達の目の前に現れていた。

 

「ダンジョン聖教七代目聖女シャルロット・モリガナ彼女は実に伝道しがいのありそうな逸材ですね先ほど初めてお会いしたのですがまったく聞く耳一つ持ってくれませんでした正直悔しさがあったのですがそれ以上に哀れさを抱いたのも事実ですかつて私もあのような感じだったのですから分かってしまうのです彼女がどれだけ自らを抑圧し聖女たらんと振る舞っているかが視野が極端に狭いのも間違いなく使命や責務に押し潰されそうになっているがゆえと見ました」

「S級探査者さん!?」

 

 気のせいでした、この人やっぱり伝道師だわ。

 いつもと変わらぬ様子で伝道が炸裂して、俺達のみならず周囲のスタッフさんやらお偉いさん達も度肝を抜かれた様子で彼女に視線をやる。


 なんてこったS級探査者を、ましてや今日の主賓を見る目じゃないよみなさん。完全にアレな宗教家をドン引きした様子で眺めていらっしゃるもの。

 ヴァールとマリーさんが遠い目をする中、香苗さんはなおも伝道を続けた。

 

「他にもこの式典には実に伝道しがいのある迷える者達が多くいるようです腕が鳴りますそうした者達に遍くすべてに手を差し伸べる光の救世主山形公平様の素晴らしさを示すこれが私にとってのS級探査者認定式なのだと定めましたましてやこの場には救世主様御本人がいらっしゃるのです式典本番には残念ながら参加できないとのことですが見ていてくださいこの伝道師御堂香苗はあなた様の偉大なお姿を完璧に伝え広めるためについに《光魔導》の奥義に辿り着いたのですから本邦初公開の伝道奥義を見れば誰もが救世主様に心酔し救世の光に入信することを良しとするでしょうふふふ楽しみです」

「えぇ……?」

「完全に伝道の場としてしか見ていないのか……」

「しかもしれっと奥義とか言ったねえ……」

 

 薄っすら予感はしていたけれど、もはやこの人にとってこのS級探査者認定式なんてものは大伝道会場in首都圏くらいのものでしかないらしい。

 挙げ句なんかすごいこと言ったし。何、《光魔導》の奥義? なんか技でも開発したの? それも伝道用の何かを。そしてそれを今日の式典にて初披露したいと。


 怖ぁ……なんか知らんけど嫌な予感しかしない。

 伝道師ムーヴ中のこの人がやたらドヤ顔してる時って大体度肝を抜かれるんだよ、こっちは。ヴァールもちょっぴり顔がひきつってるし。

 首都圏での再会直後からいきなりぶっこんできたなーって、俺まで遠い目をしていると香苗さんはそこでようやく、落ち着いた様子で俺達の下まで歩み寄ってきた。

 舞台を降りつつ話しかけてくる。


「と、言うわけで数日ぶりですいつもいつでもあなたの伝道師、御堂香苗です救世主様バンザイ。一日千秋の想いで再会を待ち侘びていましたよ公平くん、お元気でしたか?」

「え、ええこちらは大丈夫です。香苗さんこそ、その、お変わりありませんでしたか?」

「もちろんです。この認定式自体に微塵も興味がないというのが本音でしたが、先程申しました通り救いを求める者達がいますので考えを改めました。ここは私の伝道式典です」

「断言しないでくれるか、御堂香苗……」

 

 ひとしきり喋ったところで、ようやく句読点さん達が戻ってきたみたいでそれは良かったんだけど発言が一々アレすぎる。

 ついに認定式を乗っ取る気であると自白しちゃって、ヴァールが頭痛を抑えるかのようにこめかみを指で押さえてるよ。


 スタッフさん達もギョッとしてるし、ことの成り行きを見ていたVIPさん方も何やらアンビリーバボーって感じで興味深げに彼女を見ている。

 もうこの時点で認定式にはサークルや過激派とは別の意味での一波乱が起きることが確定したようなもんだ。マリーさんが大変面白そうに笑って、香苗さんの背中をパシパシ叩いていた。

 

「ファファファ! 良いね香苗ちゃん、S級探査者らしくなってきたじゃないか、見事なまでに我が道を行くねえ!」

「当然ですマリーさん、私はどうあれ私なのですから。S級探査者になろうがなるまいが胸に宿した信仰と愛、情熱は誰にも変えられるものではありません」

「そうさそれで良い……S級だのなんだの所詮は言葉遊び、そんなもんで人の本質やら形貌が変わるわけじゃあない。お偉方ってのはどうにもそいつを勘違いしがちなんだが、そんな見当違いに付き合ってやる必要なんかないさね。あんたはあんただ、御堂香苗だ。若い身空でいろいろあったからか、よく分かってるねえ」

「恐れ入ります」

 

 何やら分かり合っている元S級最長老と最新のS級。肩書でその人の内面までもが変わるわけじゃない、誰に何を言われても我が道を行けって素敵なアドバイスなんだけど、その我が道ってのがそもそも伝道師ロードなのがね。

 ヴァールと顔を見合わせて、複雑な顔を浮かべる。これは何やら、認定式そのものにも何かが起きそうだぞ……

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― 新着の感想 ―
あくどいことはしないくらいの信用度はあるし光催眠の類ではない……と思いたいところ。 光を繊細に操る。まさか…映像投影!?
[一言] S級伝道師の式典では素晴らしい伝道奥義が見られるようで何より 地味に聖女の悩みも気付けたりとスペックは相変わらず高いのも流石S級伝道師! これでシャイニング信者もさらに増えそうだ!
[一言] サブタイトルだけだと「パンツ一丁の芸人が、可変式戦闘機の中(コクピット)で騒いでる? 「俺の歌を聞けーっ!……そんなの関係ねぇ!はい、○ッパッピー!」…とか。 ※「スパロボ」だと「ネタコ…
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