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いろんな意味で怪しさ満点の新人探査者、山形公平!

 控室にも一応立ち寄った後、そこでリーベとは別れてヴァール、マリーさんとともに式典が行われるホールへと向かう。

 S級探査者認定式の準備に立ち会うのだ……どうやら香苗さんもそこにいるらしく、首都圏に来てからは初めてお会いする形になるね。

 

「認定式そのものにはさすがに参加させられないが、リハーサル程度ならば構わないだろう。ことの成り行き次第では、式典後のパーティーには参加してもらってもいいと思うが」

「なんにせよサークルと過激派の出方次第さね。早い話連中がさっさとやってきてさっさと捕まりゃあ万事OKでパーティー参加もできるだろうし、来るのが遅かったりそもそも来なかったりした日にゃ参加はちょっと厳しいってわけだね」

「そりゃまあ、俺はあくまで警護側ですからねー」

 

 なんだか気を遣ってもらってる? かもだけど、元より認定式やその後のパーティーに出席できるものとは俺だって考えていない。

 敵の動き次第でこちらの対応も変わる以上、希望的観測も楽観視もできないからね。俺はあくまで警護の一人、比較的に自由裁量が認められているだけで、基本的にはおまわりさんやエージェントのみなさんと同じ立ち位置なのだ。

 

 さておきホールの前に辿り着く。

 当然ながら警備は厳重、十重に二十重に武装したオペレータが神経を巡らして配置されている。手練ればかりだな……B級は下るまい。

 特に入口前に立つ人達なんてA級クラスの雰囲気が漂う。佇まいもそうだし放つ空気、立ち居振る舞いから伝わるものがすべてを物語っているよ。

 ヴァールとマリーさんが彼らに向け、話しかけた。

 

「失礼。WSO統括理事ソフィア・チェーホワです。S級探査者認定式の準備に立ち会います」

「WSO特別理事マリアベール・フランソワ。同じくリハを見させてもらうよ……公平ちゃん、証明書を見せたげな」

「アッハイ。ええと、チェーホワ統括理事とフランソワ特別理事の護衛で参りました。B級の山形公平です」

 

 揃って名乗りつつ探査者証明書を提示している。なるほど、たとえ本陣と言える式典館内でもセキュリティはバッチリなわけだね。

 マリーさんに促され、俺ちゃんも証明書を見せつつ名乗りを上げる。分かっていたけど前二人との落差がヤバい。統括理事に特別理事ときてB級だもの。しかもこんな子供が護衛ときた。

 

 権威二人の認証はすぐに済んで、エージェントの方々は丁寧にお辞儀をした。そんでもって問題が俺だよ。

 しげしげと証明書を眺め、俺の顔と見比べて無言無表情でだんまりしている。怖ぁ……ちょっと待って嫌なんだよ俺こういうの、思いっきり値踏みされてる感じがしてさあ。


「チェーホワ統括理事、フランソワ特別理事。ともに確認いたしました、どうぞお入りください」

「ですが、その……そちらの少年は? 護衛と仰りますが、特に警護関係の資格も有してはいないようですが。それにステータスも、その」

 

 若干困ったようにヴァールを見る警備の方。俺も盛大に困るよ、だってその気持ちが分かるもの。子供のいたずらみたいなステータスだもんねそもそも。

 B級のくせにレベル4桁リーチだし、スキルはおかしいし、スキルがポエミーだし、スキルの名前が妙ちきりんだし。これで疑念を抱かないほうがおかしいよね、当然の話だ。

 

 あからさまに困惑している警備さん達に、マリーさんは豪快に笑って答えた。

 疑われてお怒りとかの様子ではない、どちらかと言うと労いめいた、理解を示している感じだ。

 

「ファファファ! まあまあ分かるよ気持ちは。でも真実さ、それはこのマリアベール・フランソワが保証する。この子のそのステータスは本物で、そして護衛ってのも本当さ」

「たしかに警護関係の技能資格については保有していませんが、それを差し引いても私達は個人的に彼の実力を頼っています。認定式本番には参加させませんが準備やリハーサルならば大丈夫でしょう? 規定にもそのような記載はあるはずです」

「そ、そうですね……」

「式典本番においてはご招待されている方々だけが出席できますが、それまでは護衛付きでも構いませんね……少しお待ちを、上長に確認いたします」

 

 マリーさんに、ソフィアさんに扮しているヴァールの二人がかりで説得されればさすがに警備さんの立場だと反論しづらいだろうね。

 インカムを使って上司さんに連絡を取る片割れの男性警備探査者。対応も迅速なもんで、すぐに返事が来たのかにこやかに俺に探査者証明書を返してきた。

 

「確認が取れました。護衛の方もどうぞ、お通りください。お手間を取らせて申しわけありませんでした」

「いえ、むしろこちらこそお手数おかけして申しわけありません。あなた方の職務に忠実なること、WSO統括理事として深く感謝し頼りにさせていただきます」

「悪いねえ、急にアドリブ対応させちまって。ここの護衛は超一級だって、全探組日本支部の役員にゃ伝えておくよ」

「お、恐れ入ります!!」

「ありがとうございます!」

 

 世界的権力者から褒められて、緊張と歓喜の綯い交ぜになった表情で敬礼する警備さん達。俺も改めて会釈して礼を示し、ヴァール達についていく。

 相手が誰であれ職務をまっとうする、立派な人達だなあ……町に配置されているエージェントの人達もこのクオリティだろうから、正直とても心強いよ。

 サークルにしろ過激派にしろ、この人達を突破して認定式の邪魔をするのは難しいだろうね。

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― 新着の感想 ―
福岡サミットの警備経験からしても、こういう『突然に』が一番嫌なんだよね(笑) 99%の確率で襲撃を想定している現場だと、場違いなB級っていうのは扱いに困るよね。(せめてA級ならねぇ。)
[一言] 世界の不思議いっぱい山県家その第1号ですからねぇ きっとネットでは色々面白い噂話や怪奇現象や伝導が常に飛び交ってるだろう山梨くんの知らぬ間に
[一言] 「リーベは置いてきた。ハッキリいって、この戦い(?)にはついていけない(相手が)」 山形がおかしいのは当然として(失礼)、リーベもリーベで結構ヤバいステータスなので、連れてこなくて正解でした…
2024/04/28 14:46 こ◯平でーす
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