実質S級だらけのパーティ。無敵である
目下のところ攻められると厄介な、海のほうの防備は固まった。
館そのものにも俺やリーベが詰めて対応できるようにはするけど、船に乗ってはベナウィさんとシャーリヒッタが直接応対するのだ。
探査業界の中でも指折りの破壊力と範囲を誇るベナウィさんに、精霊知能としてトップクラスのシャーリヒッタ。
このタッグを出し抜けるようなモンスターなり人間なり概念存在など早々いまい。他にも大勢の探査者が警備に駆り出されることもあり、水中からの敵というのもこれで問題ないものと考えられるのだった。
「式典館周辺の陸地、市街地のほうもすでに警察、全探組、WSOが動員されてそれぞれ配置についていますが、皆さんには何人かで一班組んでいただき、エリア分けして各班分担して見回っていただくことになります」
「班についてはこちらですでに決めてある。今からそれぞれ名と所属AからF班まで呼んでいくので、各員間違えないようにな。まずはA班、桜庭──」
そう言ってA班から名を呼んでいくヴァール。資料を見れば式典館周辺、式典館の正面に広がる陸地に線引がされており、アルファベットのAからFまでが各地域に割り振られている。
そしてヴァールがこのアルファベットに割当てる用に各人メンバーを区分していき、現場に配置するわけだね。
主に知り合いというか連携が取りやすそうな面々で固めていくのだろう。呼びかけられる人達は大体一塊で座っている。
まあ急造のパーティよりはお互い気心も知れてるだろうしね。基本的に警備に関しては今日一日限りなのだし、変に捻った組み合わせを選出するよりかずっと合理的ってことなんだろう。
次々呼ばれていくけど、今のところ知り合いの名前はまだ出ていない。A班、B班、C班……D班。
ここでようやく知り合いの名が出た。倶楽部案件からともに戦う、仲間達の班が組まれたのだ。
「D班。サウダーデ・風間、シェン・フェイリン」
「謹んで」
「はいっ!!」
まず呼ばれたのはこれまたS級、サウダーデさんとA級のリンちゃん。ともに近接戦闘のプロフェッショナルだ。
この時点でD班受け持ち地区は、少なくとも肉弾戦メインになりがちな市街戦において正面から競り負けるってのはなくなったな。その上もう二人、名前が呼ばれる。
「エリス・モリガナ」
「了解しました」
「そして、早瀬葵」
「はい!」
「……以上四人はD地区へ。立入規制はかけているものの大都市の中心部だ、何かあっても速やかに片付けるように。応対が無理そうなら迅速な連絡をしろ」
能力者犯罪捜査官コンビ、S級のエリスさんとA級の葵さん。この2名を加えての四人がD班となり、地図を見るに式典館から結構離れた都市部、中心街をメインに配置されるみたいだ。
他の班員が十名近い中、たった四名だけってのは異例なんだけど、この面子なら個人的には納得だ。今いるこのメンツの中で引退済みのマリーさんを除けば三人だけのS級を、ここにきて二人も一つの班に固めるんだからね。
なんならリンちゃんだってもう、実力的にはS級に匹敵してるし。四人だけでも全然お釣りが来るくらいには総合的な戦闘力については高いよ。
だからか人数の少なさに誰も首を傾げることはない。加えて見れば、D地区は他のすべての地区と隣接しているし、敵が攻めてくるには必ず先にどこかの地区を経由しなくてはいけないって場所にあるしね。
ここを突破されたらすぐ式典館が見えてくることもあり、いわば最終防衛ラインでもありそうな地点とも言えた。
その後E班、F班とヴァールが名を挙げていく。その中でふと、アンジェさんやランレイさん、神奈川さんの名前が呼ばれていないことに気づく。
この人達はまた別に何かあるのかな? そう疑問に思っているとヴァールが最後に、そのへんについて話をしてくれた。
「最後にアンジェリーナ・フランソワ氏、シェン・ランレイ氏ならびに神奈川千尋氏の三人は……引き続きサークルに対して攻勢的に動き、先んじて敵を潰せそうなら潰してほしい。各班員は割り振られた地区の中での遊撃部隊という位置づけだが、君達はそうした制限もない。好きに動き好きに戦え」
「分かりました!」
「ああ、だがそうだな……引き続きダンジョン聖教とも連携はするように。シャルロット・モリガナ、当代聖女は単独で動くと必ず暴発するからな」
「り、りり了解ですすす! し、シャルちゃんは私達で首根っこ押さえときますすす!!」
「えぇ……?」
すごい言い草だ、シャルロット・モリガナさん……今現在ダンジョン聖教において七代目聖女をしているんだったか。
いや暴発て。しかもランレイさんまでもが首根っこ押さえるとか言ってるしどんだけだよ。
たしか倶楽部案件の際にもシャルロットさん、ダンジョン聖教騎士団を率いて関東側の倶楽部拠点に殴り込みをかけたんだったな。
実はそこがサークルの拠点でもあったそうで、ちょうど対倶楽部作戦を発動中に横槍を入れる形で突入したんだとか。アンジェさん達も彼女を止める形でなし崩しで乱入する羽目になったってのは以前、耳にしているよ。
その時を思い出したのか、アンジェさんが小声でぼやいた。
「マジ……? あのお嬢ちゃんの手綱、今後も握らなきゃいけないの……?」
「が、頑張ろうアンジェちゃん! シャルちゃんだって悪い子じゃない、むしろとっても良い子だし! ね!?」
「良い子なのはそりゃそうでしょうけど。ただそれじゃ済まされないレベルで頭固いから困んのよねぇ……」
相当苦労しているみたいで机に突っ伏しちゃった。その背中を撫でさすりつつ励ますランレイさんも微妙にシャルロットさんに向け、思うところがないでもなさそうな口振りだし。
怖ぁ……どんな人なんだろうねシャルロットさん。この認定式中にもあったりするのかなあ。なんだか不安だよ。
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