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パンピー山形は豪華ホテルで一人きりにするとガチガチになるぞ

 エレベータで上階へ行き、割り当てられた部屋へと向かう。ヴァールが気を回したのか何なのか知らんけど、俺とともに倶楽部案件を解決した仲間のみなさんは全員同じ階のご近所さんだ。

 なんならヴァールってかソフィアさんとマリーさんまでこっちの西館だ、さすがにそれは立場的におかしくない? と思ったんだけど──

 

「今回ワタシやマリアベールは来賓でなく、対サークルや対ダンジョン聖教過激派を指揮する側として来ている。それゆえ扱いも能力者犯罪捜査官側とするよう日本政府には要請済みだ」

「ていうかね公平ちゃん、私らが弟子やら先輩やら差し置いてVIP扱いなんて冗談じゃないさね。大体窮屈で仕方ないだろう? 四六時中どこに行こうがSPに囲まれるなんざ、酒の一滴も喉を通りゃしない。そもそもテメェの身くらいテメェで守れるんさね、ファファファ!」

「そ、そうですかー」

 

 とのお言葉を賜り、なんとも納得することにした。

 ヴァールはともかくマリーさんが豪胆の極み過ぎるよ怖ぁ……でもたしかに、そんじょそこらのSPさんより強いだろうしね、この方。

 引退した方を前線に出すなんてありえないから、やっぱり基本は後方指揮って形でお力添えいただく形になるんだろうけどもね。それはそれとして頼もしくて心強いや。

 

 そんな話を挟みつつ、俺達は部屋の前に辿り着いた。各々手にしたカードキーを扉のセンサーに当て、鍵を開けて中に入る。

 どんなもんかなー? 前に泊まったホテルもすっごい豪華だったけど、さらに上のグレードだろうこちらのホテルの部屋ともなるととんでもないことになってるに違いない。

 そんな期待を抱く俺ちゃん。そしてその期待は、それさえ上回る現実が応えてくれた。

 

「こ、怖ぁ……!!」

『へえ、すごっ。君ん家のリビング3つ分くらいあるじゃん』

「し、しかもなんかソファとかビーチチェアとかもあるぞ……!?」

 

 豪華で広い。とにかく豪華で広かった。語彙が死んでる。すごい。とにかくすごい。

 なんかキッチンとかあるし。なんならすごい大きな冷蔵庫とかもあるし、ウォーターサーバーもバッチリ設置されているし。


 リビングらしいところはソファがいくつも置かれ、そこから窓の外、バルコニーにはビーチチェアがズラッと並んでいるよ。

 日光浴でもするのか、あそこで? 寝室にはキングサイズのベッドが2つ、置かれているし。なんならこっちにも冷蔵庫とかある!?


「なんで風呂場が2つもあるんだ……!」

『普通の民家2つ3つ分、そのまま合体させて死ぬほどレベルアップさせたみたいな光景だねえ』

 

 他にもいろいろあるみたいだけど、もうこの時点ですっかり圧倒されちゃっている。

 ていうか一応持ってきた荷物の数々を、どこに置けばいいのかすら分からない。こんな上級国民ワールドにパンピー一人ぽつねんと連れてこられましても、畏れ多すぎて家具どころか壁に触れることすら憚られるよこんなの!!

 

「怖ぁ……怖ぁ……」

『カラスか君は。むしろコマンドプロンプトにふさわしい待遇だと思うけどね。いいから荷物はどっか、ベッドルームのデスクの上でも置いときなよ』

 

 もうすでに実家が恋しい。もうねホント、生活レベルが違いすぎると自分自身の異物感がすごすぎて居た堪れないんですマジで。


 おっかなびっくり部屋を歩いて、ベッドのある部屋の備え付けの机に荷物を置いておく。

 手ぶらになった身軽さでリビングに向かおうとした矢先、室内にインターフォンが鳴り響いた。誰か来たみたいだね。

 

「リーベかな、シャーリヒッタかな。助かる……こんな広い部屋に一人とかホント、ホント……!」

『350年何も無い空間で一人きりだったやつがよく言うよ』

 

 それとこれとは話が違うだろ! 脳内のアルマさんにツッコミを入れつつも出入り口へ向かい、オートロックを解除してドアを開ける。

 誰だろう、誰でも良いからとりあえずちょっと話でもして落ち着きたい。

 切なる願いとともに、開けたその先には。

 

「どうも、シャイニング山形さん……ええと、神奈川です」

『ステラです。ええとコマンドプロンプト様、ちょっとだけいいですか? とりあえず真っ先にお話しとかないといけないと思いまして』

「神奈川さん……ステラ。あ、ええと、どうも。どうぞどうぞ、中に中に」

 

 ──さっそくというべきだろうな、神奈川千尋さんと精霊知能ステラのコンビが、どこか緊張した様子で佇んでいた。

 近いうちに話す必要はあるかと思っていたが、こんなに早くやってくるか。向こうも向こうで気にしているみたいだな、いろいろ。

 

 とりあえず中に招く。どうあれこれでこの御立派空間に俺一人だけじゃなくなったぞ。

 まあ神奈川さんイケメンだし、ステラも一般の方には早々見えないながらも美女だから俺より万倍この空間にマッチしてるけど。むしろ孤独感が増しかねないけど。

 

 まあともあれ、リビングはソファに向き合って座る。落ち着いたあたりでステラの姿が、半透明からやや肉質的な感覚を帯びてきた。

 普通の人にも見える程度には存在を濃くしたんだな。受肉はしてないため相変わらず触れられないけど、今の彼女ならマリーさん達にも見えるんだろう。


 そうして神奈川さんと二人、並んだステラが……真っ先に深々と頭を下げて、俺へと謝罪してきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] よかったね アルマがいるから脳内山形くん会議ができるだけまだマシだ
[気になる点] そういえばステラって、神奈川さんとのお付き合いが始まって以降、システム領域に一度でも帰還したんだろうか? …帰還どころか「報・連・相」もしてなかったり…? ※山形くんたちがシステム領…
[一言] 物語あるある 護衛より御本人がよっぽど強い 護衛対象危険地帯に放置(顔を知らなかったから) 物語あってたまるか 実は護衛が護衛対象 (入れ替わったとか等々の理由で)
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