一般精霊知能から見たら超超超やばくて怖いぞ、コマンドプロンプト!
思いも寄らないヤンデレ疑惑のステラちゃんに動揺しつつも、とりあえず俺達は神奈川さんの案内に従ってゾロゾロと歩き出した。
炎天下、いつまでも駅前で屯してても仕方ないからね。荷物やらなんやらもあるから、まずはホテルについて落ち着いてから話そうって流れになるのは当然だった。
大通りを道なりに進み、そこを右に曲がるとすぐに目的地らしい。だもんで別に送迎車とかもいらないと予め、ソフィアさんのほうから伝達していたらしく普通に徒歩だ。健康にも良いしね。
なんでも国際的な会合なんかでも使われがちな大層なホテルで、しかも今回は日本政府とWSOの連名による名義で、今月頭から3ヶ月ほど建物全体を貸し切ってるんだとか。
そこに各組織やいろんな国の大物さんがVIPゲストとして滞在し、スタッフさんからエージェントさんに至るまで多数の関係者も護衛がてら宿泊するんだってさ。
なんともまあ贅沢な話だよ。それだけ今回のS級認定式に政府が力を入れているってことなんだろうけど、パンピー山形くんとしては程々が一番じゃないかなーって庶民感覚からそう思っちゃうのが本音だったりもするよね。
ともあれ、そんなホテルに向けて歩いていく。さすが首都圏は相変わらずの超高層ビルの乱立ぶりだ。うちの県にはなかなかない光景を見ながら進んでいく。
その間も神奈川さんは先頭を行きがてら、ステラと何やらボソボソ喋っているみたいだった。
「……ええと、ステラ。さっきのシャイニング山形、さん? 彼が言ってた"超超超エラくてヤバくて怖い方"ってことでいいのか? とてもそうは見えないってか、至って人畜無害な青少年にしか見えないんだが」
『そうだよ千尋。あの姿はこの世に生きるにあたっての仮の姿で、本体は私やヴァールさんにとっての神様みたいな感じの方。今は人間ナイズされてる分とても優しくて慈愛に満ちた方みたいだけど、たぶん本質までは変わってないから超超超エラくてヤバくて怖いのには変わりないかも。おかしな態度取って存在ごと消されないようにしてね? 私の千尋、愛してるよ』
「…………敬語、使っておくか。ありがとな、俺のステラ。俺もだ、愛してる」
「怖ぁ……」
何言ってくれてんだコイツ、誰が超超超ナンタラカンタラ怖い人だよ! それと二人してしれっとバカップル感出すな、砂糖吐くだろ!!
誰が存在ごと消したりなんてするか、山形公平はもちろんコマンドプロンプトでもそんなことせんわ!
ステラのまさかの認識に俺ちゃん衝撃が走る。この子の中で俺は一体どういう存在なんだ。ていうかまさかこんな感じで他の精霊知能達からも見られていたりやしないだろうな?
思わずリーベやシャーリヒッタを見る。彼女達は苦笑いしながらも俺を見返し、ちょっと困ったように言ってきた。
「ステラの物言いは表現こそ大分過激寄りですけどー……そこまで的外れとも言えないかもですねー」
「えぇ……? 俺ただのヤバいやつなの……?」
「そういうわけじゃないですよ公平サン。ただオレ達からすれば神様みたいってのは合ってるし、優しくて慈愛に満ちていて超超超エラくてヤバいってのは概ね同感ですし」
「怖い方ってところは……ステラちゃんは本質的なところを見て語っていますし、それなら分かるかもしれません。最終局面でいきなり現れてオールリセットされかけた時の恐怖って意味では、リーベちゃんにも覚えありますしー」
「う……」
要するに箇条書きすると当て嵌まってるよねって感じか。怖い人についてはもう何も言えない。
その節は驚かせちゃって大変申しわけありませんでした。
この二人でこの返答ってことは、大なり小なり似たような印象を精霊知能達が抱いているってことにもなりかねないわけで。
うーむ……もっとこう、フレンドリーさを出したほうがいいんだろうか。いやでもそっちのが逆に怖い気がする、怖い先生が妙に気さくに肩とか組んできたらゾッとするもん。
ちょっぴり精霊知能達との付き合い方を考える。思えば三姉妹やアフツストはともかく、ヌツェンなんかはめちゃくちゃ緊張しながら俺に接してきてたもんな。アレも思えばステラの物言い通りってことか。
普段から会うわけでないにせよ、これは悩ましい……俺が文字通り人畜無害のやさしいコマンドプロンプトであることをもっとシステム領域にアピールしていったほうが良いのだろうか。
「どう思われますかエリスさん? 俺ってもしかして怖く見られがちなんでしょうかね?」
「どしたの急にー? なんかさっきから三人でよく分かんないこと言ってるけど、察するにあの神奈川って子の近くにナニカいるっぽいの? 若干違和感がなくもないような気がしなくもないし」
「あ、分かります? さすがです」
すぐ後ろをついて歩いているエリスさんに雑談がてら話を振ったところ、さすがとしか言いようのない眼力を見せつけてくれた。
世界屈指の高レベルオペレータゆえの洞察力だろう、神奈川さんにくっついてべったり離れないステラの存在を、その姿も声も見聞きできないながらにわずかな違和感という形で看破してきたのだ。
どうも他に尋ねるとマリーさん、サウダーデさん、ベナウィさんもなんか変だぞとは思っているらしかった。
リンちゃんに葵さんはまったく気づいていなくてしきりに首を傾げて目を凝らしたりしていた。まあこちらのが一般的だよね、なんせ透明なんだし声も普通は聞こえないんだし。
うーむ、S級探査者本当にすごいな。この分だと香苗さんも気づいてくるだろうね、普通に。
今のステラを感知するのはおそらく人間だとかなり難しいはずだ。いわゆる霊感をお持ちの方とかだと気づけるかなーってレベルで、つまり感知力で言えばS級の方々はその次元にまで及ぶということになる。
あとは概念存在も気づいてくるかな? といって、織田レベルでどうにか視認できるかってレベルだろうけども。
なんとなく見当をつけつつも、俺は仲間内にだけ、お察しの通り神奈川さんのすぐ隣に精霊知能がいるよーって教えることにした。
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