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なんだかんだ言ってもやはり孫は可愛いお祖母ちゃん

 経緯説明をするうちに何台かパトカーがやってきて、中からおまわりさんとスーツ姿の刑事さんっぽい人達が出てきた。

 誰かしら市民の方が通報したのか、まあそうでなくともあの大立ち回りだ。目立たないわけもないよね。


 刑事さんっぽい人達が俺達のほうに近づいてきて、警察手帳を見せながら尋ねてくる。

 ちょっと緊張だ、いきなり確保〜! とか言われたらどうしよう。いやソフィアさんやマリーさんがいるのにそんなことあるはずないんだけどもね。

 案の定その人達はソフィアさんを見てギョッとしつつ、敬礼をして話しかけていた。

 

「WSOのチェーホワ統括理事とお見受けします。日本警察機構は警察庁、能力者犯罪警察局です、お疲れ様です」

「ああ、これは迅速な対応ご苦労さまです。いかにもソフィア・チェーホワです。郷田さんからの遣いでして?」

「はい。能力者犯罪捜査官チームの神奈川さんからの連絡を受け、局長判断により至急参りました。フランソワさん、シェンさん、お久しぶりです」

「千尋、ちゃんと連絡してくれたのね……どーも、お騒がせしちゃってごめんなさいね、みなさん」

 

 リーダーらしき男の人が、アンジェさんやランレイさんにも敬礼する。知り合い、というか協力関係みたいだ。

 ここにはいないもう一人の能力者犯罪捜査官チームメンバー、神奈川千尋さんが連絡してくれたらしい。聖剣管理役の精霊知能ステラもその人とともにいるのだろうし、もうじき対面することになるかもね。

 

 ともあれおまわりさんが来たからにはもう安心だ。

 刑事さん達が気絶している悪魔憑き二人を迅速に捕縛、逮捕して連行していく。


 地味に手錠が犯罪能力者用のスキル封印具、A級モンスター・スキルキャンセラーの素材で拵えた逸品だ。

 もはや倒れた二人からは権能のブーストもなければ悪魔の気配もない。完全な非能力者に戻っているんだけれど念には念を入れてということか。さすがの用心だよ。

 

「つきましては能力者犯罪捜査官チームから詳しい事情説明を受けたく思います。まあここ半月ほどは残念ながら、こうした市街戦の頻度が極めて高くなっていますのでこちらも粗方承知しています。そう大した時間もいただきはしませんよ」

「分かりました。報告は聞いていましたが、本当に町中での戦闘が多くなっているのですね……やはりサークルの構成員によるものが多いようですが」

「そうなりますね。我々もそちらの能力者犯罪捜査官チームや、全探組の探査者とも連携してことにあたっております。スキルを持たないというのにどうしたことが異様な力を持っている非能力者が多く、そこが悩みの種ですよ」

「今しがたの二人もそうした非能力者のようです。予想以上に状況が逼迫していることは、私も承知しました」

 

 困ったように話す刑事さんから、ソフィアさんはじめ俺達みんなが、この国の首都圏が今まさしく大ピンチに陥っていることを知識としてでなく実感で悟る。

 絶対にあってはならないことが起きてしまっている。町中での戦闘が頻発している状態なんて、いつでも一般の方々に被害が及んだとしてもおかしくない事態だ。

 

 半月ほど前から……か。倶楽部の壊滅とタイミング的にはほぼ合致するな。あの組織にダンジョンコアを回していたのはサークルだと聞くし、なんらかの関連性はあるものと見て間違いないだろう。

 となると当然、サークルと関係の深いダンジョン聖教過激派も水面下でいろいろ動いているはずだ。目下のところは明日に控えたS級認定式が一番の標的っぽいんだけど、そうでなくともここまで躊躇なく市街地でやらかしてくるんなら何をしてきてもおかしくない。

 

 ここに至るまで多少はリラックス気味だったけど、一気に身を引き締める心地に戻る。

 あるいは今回、初っ端からこんな騒動に出くわしていて良かったかも知れない。改めて今回の敵が、倶楽部と比較してもより躊躇なく、より大胆に動いてくる危険な連中だって分かったからね。

 一緒にやって来た仲間達やスタッフ、エージェントのみなさんも同様だ。ここから始まる激闘、大騒動の気配を感じ、どこか物見遊山だった面構えがプロのものへと変わっていた。

 

 スマホを軽く弄っていたアンジェさんが、それをポケットにしまいながら俺達へと告げる。

 

「というわけでごめんなさい、私とランレイはこれから能力者犯罪警察局のほうに事情説明と今後の対応について打ち合わせてきます。みなさんをホテルにまで案内するのはうちのチームの神奈川千尋とステラを今、呼びつけましたからそっちに任せます」

「べ、別口で活動しているWSOのエージェントや認定式のスタッフさんもホテルに集合してますぅ……千尋くんとステラちゃんはみなさんと合流次第そちらの指揮下に入れますので、い、以後はソフィアさんやマリアベールさんから指示のほう、お願いします。わ、私達もすぐにそちらに向かいますので……」

 

 ランレイと併せての説明。お二人はさっきの戦闘について事情聴取を受けに行き、本来果たすはずだったホテルまでの案内は代わりに神奈川さんとステラに任せるという。

 ていうかホテルに明日の認定式絡みのスタッフさん達も集結してるんだな。まあ当然か。


 ともあれ到着次第、その人達と合流して部隊再編と諸々の作戦会議ってわけだね。

 

「分かりました。リーダー、それではそのような段取りで動きましょう。神奈川さん、ステラさんの人相は私が知っていますので、彼らが来たら報せます」

「承知しました」

「アンジェ、ランレイちゃん。会議においてはあんたらからも話を聞くことになるだろうからなるだけさっさと帰ってきなよ。最前線で戦ってきたあんたらは、これまでもこれからも事態打開の鍵なんだ」

「分かってるわよおばあ……いえ、分かっています特別理事。能力者犯罪捜査官アンジェリーナ・フランソワ並びにシェン・ランレイは、迅速に聴取を済ませてみなさまの元へ帰還します」

 

 ソフィアさんがリーダーに向けて指示を出す中、マリーさんがアンジェさんとランレイさんに向けて言う。

 こうまで混迷を極めている首都圏で、最前線を戦ってきたお二人と神奈川さん、ステラの四人は間違いなく今回の事件のキーマンだ。可能な限り中心に近い位置にいてほしいよね。

 

 それに対して祖母ながら、能力者犯罪捜査官としての態度を取り応えるアンジェさん。

 立派で堂々たるその態度に、マリーさんは目を細め、嬉しげに誇らしげにその頭に手を伸ばし、撫でるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 市街地での非能力者との戦闘が増えたのは、本当にただの嫌がらせなんだろうか。非能力者でもこんなことができるようになるよって、宣伝の可能性もあるのかも?
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