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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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行き行きて討伐隊

「それでは、目標物に向けて進行します──《気配遮断》、《ステルス迷彩》、《消音》、《隠密行動》」

「案内役は作戦通り、私と逢坂で務めます。お三方、私たちの後に付いてきてください。逢坂のスキル範囲から出ないよう、お願いいたします」

 

 逢坂さんを背負った望月さんが、俺と香苗さん、マリーさんに向けて言う。移動開始。

 なんぞやとは思った姿だが、曰く、運動音痴の逢坂さんゆえ、斥候なり案内なりの際にはこうして負ぶさった方がスムーズとのことだ。

 

 まあ、聞く限りだと普通に歩いてるだけで変な怪我しかねないレベルだからなあ。

 使っているスキルもそうだけど、とことん隠れることに特化していて、こうした案内役だって本来は向いてないんだろう。そしてそこを機動面でフォローするのが、望月さんというわけだ。

 

「気配を絶ち、音を消し、姿を誤魔化して更にダメ押しで《隠密行動》……行動の足跡を残さないスキルですか。この手のスキルが、ここまで同時発動しているのを見るのは初めてですが、凄まじいものですね」

「ファファファ。たまにいるんだ、こういう極端な子は。私も何人か過去、見たことはある。どっちかさね、大成するか道半ばで引退するか。中途半端には絶対になれないのは、さて幸か不幸か」

 

 俊敏に前へ前へと、慎重ながらしっかりとドラゴンの元へと向かう彼女たちを、俺たち三人が離れずにしっかりと付いていく。

 その最中に、香苗さんとマリーさんが逢坂さんについてコメントしていた。世界最高峰と日本トップクラスの探査者二人をして、注目する他ないくらいに逢坂さんは特殊なのだろう。

 

 俺だってそうだ、こうして逢坂さんのサポーターとしてのあまりの極端さを見ていると、喉から手が出る人材だと言わざるを得ない。

 以前から求めているのが、俺のソロ戦闘を邪魔しない程度に自衛力があり、かつ優秀に立ち回れるサポーターという夢か幻かみたいな探査者だったわけだが……逢坂さんにはその素質がある。

 というかドンピシャだ、三顧の礼をしてでもお迎えしたい。いやマジで。

 

「逢坂さん、パーティ組んでくれないかなあ……」

「たしかに、公平くんの求める探査者像にかなり近しいですね。無論、そもそもの経験と実力は足りていませんが」

「そこはそれ、一緒に探査していけばどうとでもなるでしょう。まあ積み上がるのはたぶん、相当偏った経験になりますけど」

「うん? 何の話さね、二人とも」

 

 首を傾げるマリーさんに、俺たちは事情を説明した。

 仮にパーティを組むとしたら、スキル《風さえ吹かない荒野を行くよ》の発動を損ねないような、自衛力すら怪しい極端なサポーターが欲しいこと。

 だけど普通に考えてそんな人、いるはずがないと諦めていたらまさかの逢坂さんがこちらの要望にぴったりな人材だということ。

 

 ぜひともパーティを組んで、俺をサポートするポジションに来ていただけたらな〜などと、考えていることまですべて話す。

 マリーさんはふうん、と頷いて、俺たちに提案してきた。

 

「だったらあの、望月って嬢ちゃんもセットで勧誘した方が良いと思うよ」

「望月さん、ですか? たしかに逢坂さんとは、元々コンビみたいなものみたいですけど」

「ステータスもそうだけどね、うまいこと噛み合ってるんだよ、あの二人。主に、攻撃を捨てた耐久要員としてさ」

 

 彼女の言うには、望月・逢坂ペアの防御、あるいは支援方面での動きは特筆すべきものがあるらしい。

 極端なスキル構成の、サポーターとして特化している逢坂さんと、レアスキル《防御結界》をはじめとする守備寄りのスキルで固めている望月さん。

 火力こそ欠けているが、味方を支援し敵を撹乱し、長期戦的な戦術を心がければなるほど、どんな敵相手にも有効だと言えるだろう。

 

 実際、逢坂さんは抜きにしても望月さんの戦闘スタイルは守備優先だからな。

 動画で見ていたが、パーティ全体が安全と安定を確保しつつちまちまダンジョンを攻略する、派手ではないが確実な探査を常に心掛けていたように思う。

 

 サポーターの逢坂さんと、その護衛役の望月さん。そして二人で賄えない火力を、俺が補う。

 ……なんか結構、ソロ戦闘パーティという矛盾極まる構成にしては、完成度が高い気がしてきた。

 と、話を聞いていた香苗さんがだったら、と言う。

 

「防御なり支援なりに特化した動きさえすれば、私もパーティの一員として動けるということでしょうか? いえ、もちろん救世主動画の撮影こそが本懐ですので、そこはブレる気はありませんが」

「かも知れないけど……ファファファ、寝ぼけたこと言うね御堂ちゃん。あんたの手札、ほぼ攻撃一辺倒じゃないか」

「うっ」

「《光魔導》の虹で何の支援なくとも広域殲滅、単体相手には《暗殺術》で音も姿もなくバックスタブ。防御なり支援なり? 年寄を笑い殺す気かえ殺戮娘、ファファファファ!」

「むごい」

「ううう。くっ……い、言い返せません」

 

 心底愉快げに笑うマリーさんに、心底悔しがる香苗さん。

 まあでも、うん。俺も正直そう思う。どっちかと言うと彼女の立ち位置は俺と互換が利くところだろう……つまりは火力役だ。

 

 まあ、香苗さんにとっても悪くない相性のお二人ということで……望月さんと逢坂さんの背中を追いながら、俺たちはそんな話をしていた。

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間2位、週間2位、月間1位、四半期2位

総合月間3位

それぞれ頂戴しております

また、ブックマーク登録15000件いただきました

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 逢坂さんに物資輸送や回復、緊急脱出系スキルを持たせたら凄そう。(少なくとも回復スキルがあれば運動神経原因のダメージは解決、気休めだけど)現時点でA級に状況によっては欲しがる人材だし […
[一言] 確かに良いバランスのパーティーだね。 山形くんが敵に集中している時や、援軍が来た時のフォローを香苗さんがすると言った感じになるだろうね。
[良い点] おもろい [気になる点] 逢坂は初手が嫌いすぎたからパーティ参加しないでほしいわ。まあスキル構成といいパーティに入れることは確定だけどさ
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