どうせやるなら一人よりみんなで!レッツエンジョイ、探査者ライフ!
さておきダンジョン探査も終わりだ、帰路につこう。
今回俺は神魔終焉結界を着込んでいないから徒歩での帰りになる。いや別にこの場で変身しても良いんだけど、今からトランスフォーム山形くんについて説明するのもちょっとなあって感じだし……
まあたまにはダンジョンを歩いて帰るのも良いかなって思うしこのままでいいや。
「時刻にして17時前。2時間かけずにコアまで行けましたね。帰りは1時間もかかりませんし、まあ18時前くらいに脱出できそうですね」
「俺達は山形くんの、山形くんは俺達の戦い方を互いに見学し合っていたから多少時間がかかったところはあるな。このくらいのダンジョンなら俺達パーティの本来のペースなら、もうちょっと早く済んだかもしれない」
帰り道、このままのペースで考えた時のダンジョン探査終了時刻を口にすると鈴木さんが反応した。
今回は俺と香苗さんパーティの初顔合わせ兼、互いのスタイル紹介って要素が少なからずあったから余分な時間を取ったところはたしかにある。それがなければ、つまりは香苗さんパーティのみならもっと手早くモンスター達を片付けて終わっていたんだろうね。
もっとも、と彼が続けて言う。
「山形くんが本領のソロ探査をした場合、たぶんそれよりもっと早く終わるんだろうけどね」
「え……と。いえ、それはどうでしょう? なんとも言えないです」
「いや確実にそうなるさ。君の戦い方、強さ、ステータスを見れば誰でも容易に想像ができる」
「そもそもレベルがカナちゃんより大分高くてS級探査者クラスだしねえ。オールマイティな攻撃手段に防護壁まであって、ぶっちゃけこれ言うの悔しいけど、私達パーティだと束になっても勝てないや」
過分なお言葉を御陵さん、横山さんからも次々頂戴する。
なんとも反応に困るというか、照れるとも気まずいともつかない感情が沸き起こるよ。つい頭を掻いちゃう。
実際に言うとまあ、たぶんそうした推測はドンピシャってところだろう。
ソロ探査する場合、単純な話今回の俺の10倍以上の出力になるからね。神魔終焉結界も《誰もが安らげる世界のために》も発動させるから、場合によってはそれ以上の倍率になる。
そんな状態で探査すればそりゃ、一人だろうが今回とは比較にならないスピードでサクサク進められるだろう。
とはいえ、束になっても勝てないなんて自虐めいた言葉を肯定する気にももちろんなれない。
俺はお三方に思うところを告げた。
「今回、みなさんには改めてパーティ戦闘の難しさや連携の妙、そしてそれらが正しく噛み合った時の強さを教えていただきました。そんな俺から言わせていただけるなら……」
「言わせて、いただけるなら?」
「……やっぱり1人より、たくさんの仲間と一緒のほうができることの幅、可能性の広がりは大きいなってことです。一人でなんでもできるより、みんなで少しずつ違いを補い合って結果的になんでもこなせるなら、そっちのほうが最終的には良いのかなーって」
これは人間であり探査者でもある山形公平としての本音でもあるが……それ以上にシステム・コマンドプロンプトとしての嘘偽りない本音でもある。
個体より群体。1人で10のことを100%こなすより、10人で集まって15のことを150%できるほうが現世にとっては良いことなのだと思う。
多様性とはすなわち可能性。知的生命体にとってより良い進化への道筋は、様々なアプローチをもってなされるべきだ。
少なくともシステム領域のスタンスは間違いなくこんな感じなんだよね。
もちろん人間社会に合わせた道徳や倫理観、良心に沿った範囲にするべきとは思うし、私達も今ではそれらを尊重していこうと考えている。
そうした見地から言えば、なんでも1人なプロ陰キャ山形くんより、本物のプロ探査者集団として連携を磨きできることを増やしていける彼らのほうがよほどシステム側の求めるところに沿っているわけだ。
こないだもシャーリヒッタに言われたばかりだ、なんでも自分一人で抱え込もうとするなって。
ワールドプロセッサともどもそんなきらいがあるわけなので、この世界の基幹存在はどうも背負いたがりなのかなあって我がことながら思っちゃうよ。
「俺もいずれは定常的な形で誰かとパーティを組むことがあると思います。いつまでもソロ探査するより、そちらのほうが得るものも多そうですし」
「そう……だね。それは間違いないよ。私らだって、このパーティのおかげでいろんなものをたくさん手に入れることができた」
「ですよね。つまりはそういうことでして、単純な強さとか効率ももちろん大事なところですけど、俺はそれ以外のところにも目を向けていければなーって思ったりしてます」
俺ちゃんの今後の人生って、余暇とかいろいろ楽しいことをする気ではあるけど、基本的にはひたすらダンジョン潜ってモンスターを浄化することがメインになっていくんだよね。
だけど、そんな中でも仲間達とともにパーティとか組んで探査に取り組んでいければ……より実りある、豊かな活動として充実したものにしていけるんじゃないかなと思うわけだ。
なんでもそうだけど、どうせやるなら楽しくやれるに越したことはないからね。
中々難しいかもしれないけど、そういう気持ちは忘れずにいたいなーって今回、みなさんと一緒に探査して考えを深めることができた気がするよ。
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