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実は面会にもいろいろルールがあるらしい。さすが警察だ!

 電車を降りて少し歩いて、俺と香苗さんは無事に県警本部施設へ到達した。以前と同じにロビーに入り、片隅に設置されている談話用のソファに並んで腰掛ける。

 時刻はもうすぐ14時ってくらい。予定ではこの後すぐに警察庁は能力者犯罪警察局の局長である郷田さんがやってきて、青樹さんとの面会に立ち会ってくださるとのことだった。

 

「郷田さん、偉い立場の人でしょうに良いんですかね……?」

「どうなんでしょう? 私も正直気になると言いますか、時期的にはむしろもう首都圏に戻っていなければならないのでは? と思うのですが……ソフィア統括理事を通してアポを取る際に、わざわざ案内を買って出てきたそうなのでまあ問題はないのでしょう」

 

 二人して首を傾げる。日本警察機構において、特に能力者犯罪に対しての捜査権限を一手に担う能力者犯罪警察局のトップたる郷田さんが、なんか知らないけどまだ首都圏に帰らずこの近辺にいらっしゃるってのは香苗さん的にも予想外の話らしい。

 倶楽部案件もひとまずは片付いて、となると次はサークルや過激派に対応せねばならない段階だ。立場柄彼も首都圏に戻り、警察を動員してS級認定式やその周辺に気を配っていてもおかしくないと思うんだけどなあ。

 

 どういうことだろう? とそこまで真剣に気になるわけでないにせよ、多少は不思議に思う俺達へ……やや遠くから、声がかけられた。

 野太い、けれど人の良さそうな温和で柔和な男の声だ。

 

「いやあ、どうもお待たせしました御堂さん、山形さん」

「郷田さん。どうもお疲れ様です」

「お疲れ様です。こちらこそお忙しい中、急なお話にも関わらずご対応いただきありがとうございます」

 

 噂をすれば影がさす。というわけで件の郷田局長のお出ました。

 恰幅が良い体格で、ふっくらした顔つきがどこか七福神の恵比寿さんを彷彿とさせる。人に警戒心を抱かせないためか穏やかな笑みを浮かべているね。


 ただ暑がりなのかずいぶん汗をおかきになっていて、しきりにそれをハンカチで拭っている。

 盆も過ぎてもうちょっとずつ気温も落ち着いてくる頃合いだけど、それでも暑いからね。仕方ないね。

 そんな彼は香苗さんの挨拶と感謝の言葉に慌てた素振りで手を左右に振り、気さくに笑って答えた。

 

「いえいえ! ちょうど今日の夜に首都圏に戻ろうと思っていたところでしてむしろ、これはタイミングが良かったなあと。WSO統括理事からの直々の依頼を無下にするわけにもいきませんから、もし一日でも連絡をいただくのがズレていたら私はUターンしてこちらに戻らねばならないところでしたよ、はっはっは!」

「な、何も郷田局長自らに御対応いただくことでもないと思うのですが……単なる面会ですし。郷田さんだってお忙しいのに」

「まさかまさか! 何しろ局長の仕事ときたら、書類に判子を押して偉い人と話をして、あとは部下を末端に至るまで信じ抜き、彼らの背を押して見届けすべての責任を負うだけ。であれば多少フットワークも軽くなるというものでしてねえ。もちろん、現場の邪魔をしない程度にですけども」

「は、はあ」

 

 思ったよりアクティブというか、すごいバリバリ働くタイプの人じゃないのか、この人。

 部下を信じ、その使命を応援しいざとなればすべての責任を負う。上の立場の人間の一番の仕事はそこなんだろうけど……それに留まらず御自身でもある程度は能動的に動き回るなんて、仰る通りになんともフットワークが軽い。

 

 割と熱血さんなのかもしれない。あるいは叩き上げと言うか。警察庁の幹部な時点で元々エリートなんだろうけど、そこに至るまでにいろいろ経験されてきたんだろうな。

 そんな郷田さんはやはり汗をハンカチで拭いつつ、笑顔で俺達を促した。

 

「さあさあ、それではさっそく行きましょう。面会室にご案内いたしますよ」

「よろしくお願いします」

「お世話になります」

 

 答え、彼の案内に沿って歩き出す。道中簡単ながら倶楽部幹部の現状、および面会中のルールについてもお聞きする。

 倶楽部幹部──火野源一、翠川均、青樹佐智、そして鬼島の4人はそれぞれ別の警察施設の拘置所にて勾留されているらしい。なんでもそもそもの規則として、共犯者を同一の拘置所に入れることはないのだとか。

 

 これは共謀しての脱走とか口裏合わせを防ぐための措置だろうね。こないだの取り調べの際も実のところ、彼ら4人とも別の施設の拘置所から搬送されていたとかいないとか。

 当たり前ながら犯罪者の扱いについて徹底しているよ。一市民として安心できるよね、そういうのって。

 

「なお、面会時間は概ね20分程度でお願いしています。これについては申しわけないのですが、さすがに特例措置を適用するのも難しく」

「十分です、本当にただ面会に来ただけですから……お心遣い、ありがたく思います」

「いえ……ああですが、事件についての話は多少していただいても構いません。本来こちらもアウトなのですが、そこは私が立ち会う以上目を瞑りましょう。とはいえ、あまり踏み込んだ話をするのはご遠慮いただきますが」

「ありがとうございます。そうですね、助かります。こちらの公平くんは、事件を通してのみ彼女と関わりがありましたから」

 

 郷田さんの配慮に頭を軽く下げ、謝意を示す香苗さん。

 そうだね……香苗さんはともかく俺については本当に、倶楽部絡みの話なくして青樹さんとのつながりはないわけで。

 彼女と多少なりとも腹を割って話をするにあたり、事件について一切触れないってわけにはいかないだろうから、こうして特例的に認めていただけるのは本当にありがたいや。

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[一言] なんて理想の上司なんだ!
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