すごいパリピ感を感じる。今までにない何かチャラいパリピ感を
様子のおかしな関口くんのことはさておき、次の日の朝。すなわちツアー三日目の、午前の探査だ。
昨日同様、これまで組んだことのない人とパーティを組む、訳なのだが。
「せ、関口くん……」
「……ああ」
なんと俺ちゃん、関口くんと同じパーティになっちゃいました〜! 嘘だろお前ぇ……
昨日と変わらずってか、昨日よりさらに具合悪そうな顔でこっちを見ている。顔が青白い。
スタッフの人に見てもらったんだけど、本人が大丈夫だと言い張るし、医者に見てもらっても異常はなかった。顔色が悪いだけでも休む理由にはなると思うし、実際スタッフさんも言ってたんだけど、
「大丈夫です……むしろ不思議なくらい、調子が良いんです」
と言って、実際にD級とも思えない俊敏な動きを披露してこられてはもう何も言えない。
何でも彼、スタンピードの時にやらかしてからのペナルティ以降、真面目に探査に励んでいたようで、それは自己紹介にも現れていた。
「D級、関口です……戦闘スタイルはスキル『勇者』によるパーティ支援と剣による近距離、弓矢による遠距離です。レベルは……52。歳は15で、探査者歴3年。よろしくおねがいします」
高校入学当時の、実に二倍近くレベルが上がっている。分かっていたけどオールラウンダーで、しかも名高い強力スキル《勇者》まで持っているんだから、そりゃあ強いに決まってる。
「E級、中島です。戦闘スタイルは鞭による中距離戦闘です。レベルは25、歳は18。探査者歴1年です。よろしく」
「D級の高木だぜ〜。戦闘スタイルは槍での中距離、レベルは116。歳は25、探査者歴2年半。タカちゃんでイイぜ、よろしくな〜」
ヌボっとした印象の、ボサボサヘアーにヨレヨレの服を着た中島さんと、どこかちゃらけた感じの、金髪で短パンなんて履いてきてる高木さん。
この二人も聞けばそれなりの強さなんだけど、関口くんはやはり一歩抜きん出てる。それだけスキル《勇者》は強烈なんだけど……大丈夫かな、これ。関口くん、絶対体調よろしくないでしょ。
やはり何となく心配しつつ、俺も俺で名乗りを上げる。
「E級の山形です。戦闘スタイルは素手で基本、一人で探査してます。近距離はもちろん、飛び技もあります。レベルは150、探査者歴は、1ヶ月です」
「150……探査者になって1ヶ月でかぁ。御堂さんのチャンネル見てたけど、本当にすごいなあ」
「っべーわマジパネェ。山形さんマジシャイニングで見たしやべぇしリスペクトっつーかぁ、有朋って呼んでもいっすかぁ山さーん」
受け答えもどこかのんびりしている中島さん。彼はかなりの高身長で、俺の頭2つ分は大きい。そんな人がヌボっとしているんだから、なんていうか大木を思わせる風情だ。
反して高木さんはチャラい。まあチャラい。死ぬほどチャラい。チャラいって言葉を擬人化したらこんな感じになるんじゃない? ってくらいにチャラい。ピアスもあっちこっち空けてるし。なんで舌にまでピアスするの……怖ぁ……
「公平ですけど下の名前! マジチャラいですね高木さん!?」
「こう見えて根は真面目で優しいタカちゃんなんでぇ、よろしくッシュ! ッシュ!」
「は、はあ……よろしくおねがいします」
「ッハァーかたぁい! もっと柔らかくなきゃつまんねっしょヤマちゃ〜ん! もっとハジケテこーぜウェーイウェーイ!」
「う、ウェーイ?」
いかん……ノリに付いていけない。これが、パリピ。
すごく、こう、属性の違いを感じる。底抜けに明るすぎて眩しさすら感じない、もう何も見えねェ。ていうか距離が近いのほんと怖い。次の瞬間殴られそう。
怖い……怖い……と震えるバンビちゃん山形な俺に気付かず、高木さんは次いで切り出した。
「ところでなんでパリピってウェイウェイ言うんだろうね。別にウォイでもウィーでもよくない? タカちゃんマジ不思議」
「!?」
分かんない……テンションどころか雰囲気すらジェットコースターで変わってるぅ……怖ぁ……
落差に付いていけない俺。助けを求めるように関口くんを見ると、無表情にこちらをじっと見ている。こっちはこっちで怖い、様子がおかしい。
「ウェイウェイウェーイ! 関口クーン!? ダイジョブダイジョブ〜? マジ、病院行くか? ダンジョン探査よか健康のが大事だべ?」
「そうそう。死んじゃったら元も子もないしね。いいコト言うよ、チャラ男さん」
「ウェーイ! 褒められちゃったぜあんがとせんきゅーう! お近づきの印にどう? ピアス」
「親からもらった体に穴を空けるのはちょっと……」
「それな〜、ウェーイ! 親御さん大事にな、ウェーイ!」
良い人かよ高木さん! くそ、色眼鏡かけててごめんなさいでしたぁ!!
中島さんと高木さんの珍妙ながら、人柄の伝わる温かいやり取りに心をホッコリさせる。外見で判断なんて俺ってやつは、俺ってやつは……反省。
関口くんも戸惑いながらも、少し笑って、大丈夫だと言う。
「ご心配ありがとうございます……ですが大丈夫。さあ、行きましょう」
ちっとも大丈夫そうじゃないのに、半ば無理矢理俺たちをダンジョンに急かす彼だった。
この話を投稿した時点で
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