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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第二部後日談編

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まーた山形の称号欄がレスポンスバトルの会場になってるよ

 そこから歩くこと15分ほどして、梨沙さんのお家の近くにまでやってきた。やはり閑静な住宅街、どことなくパンピー山形くんには畏れ多い雰囲気を醸す区域に足を踏み入れる。

 しばらく進めばとりわけ大きな家が見えてきて、それが梨沙さんの邸宅だ。相変わらずの豪華さ……幅も高さもうちの倍はあるんじゃないか?


 さておき、当然ながらここでお別れだ。俺は俺でシュークリームを抱えてるわけなので、早いこと帰って家族に渡したいしね。

 門の前まで辿り着き、梨沙さんと最後に言葉を交わす。

 

「今日はありがとう、公平くん! とっても楽しかった」

「こちらこそありがとう、梨沙さん。おかげで充実した一日を過ごせたよ」

 

 可憐に笑う梨沙さんは、まるで向日葵のようなニコニコ笑顔だ。

 なんていうか明るいよなあ。陰キャ陽キャの括りとはまた別に、太陽のように眩い笑顔である。

 

 松田くん、片岡くん、木下さん、遠野さん、そして梨沙さん。久しぶりにみんなで集まって思う存分に過ごして、俺としても大満足の一日だった。

 首都圏に赴く都合上、そろそろ俺は夏休みどころじゃなくなりそうなんだけど……そんな際にあって、とても素敵な夏の体験をさせてもらったよ。

 

「また、二学期からもよろしくね。ストレートに言うのも照れくさいけど、俺……梨沙さんやみんなと一緒に過ごす学生生活が、すごく好きだから」

「……うん。私も大好き。だからみんなと、公平くんと楽しい毎日、また過ごそうぜー!」

 

 だからお互い、迫る二学期への期待とともに笑い合う。夏休みも楽しかったけど、これから始まる学校だって楽しみなんだ。

 本当、中学の頃からは考えられないよ。あの頃は家と学校を往復する平日と、家に篭もってゲームする休日が常だったからね。

 友達とどこかに出かけたり遊んだりする俺なんて、想像もつかなかった。

 

「それじゃあ、俺はこのへんで。まだまだ暑いから熱中症とかには気をつけてね」

「うん、ありがとう……公平くんも、その、探査者のお仕事とか無茶しないでね? 絶対無事に帰ってきてね?」

「もちろん。約束するよ」

 

 そんな、想像もできなかった素敵な日々をくれた女の子に、心からの笑顔を見せて。

 そして俺は、彼女と別れるのだった。


 来た道を途中まで戻る。一応スーパーに寄るって大義名分でここまでついてきたもんで、あらぬ方向に向かって歩くわけにもいかない。

 まあ、梨沙さんには普通にバレてた気もするけどね。

 

「さて、帰ろうかな」

『それは良いけどシュークリーム大丈夫か? 傷んでないだろうね? 女にかまけて品質を落としでもしたら君、夜中延々と僕がこれまでにこの世界で食べてきた美味しいものについて語りまくってやるからな。御堂香苗よろしく句読点飛ばしてやるからな』

「怖ぁ……」

 

 お前まで句読点飛ばすんかい。

 しかも地味に微妙な気持ちになりそうな脳内深夜ラジオだ。延々と他人の思い出の味について聞かされるとか反応に困るかもしれない。


 案の定ながらシュークリームに執着しているアルマさんがうるさいので、とにかくさっさと帰ることにする。

 保冷剤も入ってるんだから、そんな今すぐに傷むなんてないんだろうけどね。

 

 駅から俺の家までのルートとは大分逸れる形になったけど、スーパーまでたどり着けばあとは大体知ってる道だ。

 この距離で空間転移するのもなんだかなーって感じなので普通に徒歩での帰宅、なるべく直射日光は避けて通る。


 なんやかやともう17時頃だ。さすがにリーベとシャーリヒッタも帰ってるだろうな。

 あの二人、ヴァールも誘ってあちこち巡るとか言ってたけどどうなったんだろう? 特にシャーリヒッタにこれから住む町についてや現世の常識についてレクチャーするとかってリーベ、言ってたなあ。

 

『かくいう騒音羽虫の方も現世歴は短いだろうに。変態羽虫に何か仕込むんなら、負け犬羽虫のほうがまだ詳しいだろうよ』

「お前、あの3人に聞かれないからって好き放題言うな……そういう言い方は止めなさい」

『ふんだ』

 

 文脈からして騒音はリーベ、変態はシャーリヒッタ、負け犬ってのはヴァールのことなんだろうけど……意地でも名前で呼びたくないからって口が悪過ぎである。

 本人達に聞かれてたら即、大喧嘩だよ。そうでなくとも俺だって聞いてて普通に気分悪いし。


 なので嗜めるんだけど、脳内アルマはふてくされた声を出すばかりだ。まったく、かつてワールドプロセッサだったモノがなんて大人げのない。


 

 ──と、称号が更新された。なんだか久しぶりだな?

 俺は歩みを止めてステータスを確認する。

 

 

 名前 山形公平 レベル972

 称号 真なる愚者は常に己を罵倒する

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で

 名称 よみがえる風と大地の上で

 名称 目に見えずとも、たしかにそこにあるもの

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 名称 あまねく命の明日のために

 名称 風よ、遥かなる大地に吼えよ/PROTO CALLING

 名称 神魔終焉結界─天地開闢ノ陣─

 

 称号 真なる愚者は常に己を罵倒する

 解説 己の弱みに気づいているからこそ、それが武器になると錯誤しているのですね

 効果 なし

 

 《称号『真なる愚者は常に己を罵倒する』の世界初獲得を確認しました》 

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……騒々しきも、変態性も敗北者であることさえもすべてが自らに返ってくる言葉。愚者は常に、鏡に向かって吠えるのですね》

 

 

『誰が騒々しいだ誰が変質者だ誰が敗北者だ!! 子飼いを馬鹿にされて親玉が慌てて反応するなんてそれこそ図星ってもんじゃないのか、ええ!?』

「怖ぁ……」

 

 そういやアルマの言葉、ワールドプロセッサにだけは聞こえてましたね。かなり直球でぶっ刺しに来てアルマがブチギレてらっしゃる。なんか久々だなあ、俺の称号欄で喧嘩するの。

 ……いや喧嘩するなよ! 人の脳内とステータスをなんだと思ってるんだお前ら!!

 ブックマーク登録と評価のほう、よろしくお願いしますー


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 11/30からの利用規約の変更に伴い、書籍販売サイトのURLを直接紹介することができるようになりましたので、改めて宣伝いたします。


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 加えて、こちらは予告になります。

 来年、2024年1月1日昼12時より新作「大ダンジョン時代ヒストリア」を公開いたします。

 こちらは本作「攻略! 大ダンジョン時代」の外伝的な立ち位置になりますが……

 作中において100年続いた大ダンジョン時代を、その始まりから現代に至るまでに起きた出来事を断片的に、かつ短編連作的に描いていくお話になりますー

 

 本作に登場している年長さんキャラクター達の若い頃や、本作時間軸においてはもういないですが主要人物の縁者であり重要人物であるキャラクター達がたくさん出てきます。

 マリアベールさん18歳とか初代聖女さんとか、星界拳始祖さんとか、伝道師のひいおじいさんなども出ますので興味のある方はぜひ、ご覧くださいませー!

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― 新着の感想 ―
[一言] 喧嘩が長引くほど強くなるせいでそのうち基礎能力だけで最強になりそう
[一言] レスバが過熱するほどステータスが跳ね上がるw
[一言] コマプロの脳内とステータスを何だと思っているのか、だと? SNSに決まっているじゃないですか。
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