酔っ払いの酔ってないアピールほど信用ならないものはない
SNSで早くも取り沙汰されているらしい俺ちゃんの探査、というかハミングバード・サーチャーズのイベント再開劇。
それを受けてまさかの念話で強襲してきた我らが伝道師さん、加えてお馴染み決戦スキル保持者のみなさんに向け、俺は事態のいきさつを説明した。もちろん、梨沙さん達のところに戻らなきゃだから本当に簡易的にだけどね。
『かくかくしかじか、どってんかいめい──ってなわけでして。関口くんの協力もあって無事、探査を完遂してアイドルイベントも再開に至った感じです』
『エクセレント! ミスター・公平ならではのスピーディな探査だったのですねえ。D級とはいえ19部屋を1時間でとは、さすがというほかありません』
『公平さん、範囲攻撃も持ってるの強い……! 虫の群れ、私ならできても何匹かずつを蹴り潰していくしかできないから、たぶん1時間じゃ無理かも』
『怖ぁ……』
ざっくりとこれこれこういう部屋数と階層のダンジョンで、印象的な敵としては口に出すのもおぞましい例の虫の群れがあったりしました!
みたいな話をすると、ベナウィさんはともかくリンちゃんが恐ろしいことを念話にて伝えてきた。アレの群れを一匹ずつ接近戦で、しかも武器も何もなしに蹴り一つで潰していくつもりらしい。
さすがは星界拳士と畏れ入るけど、できれば胸の内にしまっておいてほしかった。あの虫達をまた思い返してしまい、なんなら実際に肉弾戦で相手するところまで想像してしまって背筋が震えているもの。
虫を素手で掴める人ってマジリスペクトだわーとか思っちゃったりなんかしちゃっていると、今度はマリーさんと香苗さんが念話通信にてコメントしてくる。
『なんとも間が良いのか悪いのかってね。イベントの主催側や施設側にゃもちろん良かったろうが、公平ちゃん的にはせっかくの休みに大変だったってところさねえ、ファファファ!』
『素晴らしい……救世主様御自らによるご説明ありがたく拝聴させていただきましたたしかにお休みのところを巻き込まれた形になったことはさぞかし大変だったかと思いますしかしそれでもなお使命感と責任感を胸にダンジョンを踏破しきった御姿はまさしく救世主様でしょう関口もきっとそうした公平くんの探査者としての姿勢を常日頃からリスペクトしているがゆえにいつぞやと比較してずいぶんまともになったのでしょうありとあらゆる意味で尊き道をお示しくださりまことにありがとうございますこれはすぐにでも救世の光チャンネルにて動画を配信したいと思いますがよろしいでしょうか救世主様バンザイ!!』
『配信するのは構いませんが極力脚色は抜きでお願いしますね』
『もちろんですとも! この伝道師御堂香苗、一切の誇大広告なくありのままの救世主神話伝説を世界に伝道するのが使命ですから!!』
救世主神話伝説って触れ込みの時点で極限まで誇大化されてるんですけど!! ……まあいつものことだし、俺も一応言ってみただけなのでもはや気にはするまい。
とにかく、そんな感じで一通りの事情を伝えて俺は一息ついた。そろそろ本当に友人達に合流しなきゃ、楽しい時間なんてあっという間だからね。
『というわけで俺は引き続き学友達とバカンスしようかなって思います。みなさんは引き続いてリンちゃんのお手伝いを?』
『あ、いえ。一通りのアドバイスや話し合いは終わりましたから、ここからはしばらくWSOの施設で過ごして、日が落ちてきたら近場の居酒屋ででも食事をしようかと』
『えっ……昨日の今日ですけど……?』
『ハハハハ! ミスター・公平、むしろ昨日の今日だからこそ呑むのですよ! 迎え酒というやつですね!』
その理屈でいうと毎日迎え酒ってことで呑んでしまうのでは? 訝しむ俺だけど、まあベナウィさんのことだし程度は弁えて呑むだろうとは思いたいかな。
というか決戦スキル保持者だけで飲み会なんだろうか、居酒屋だとリンちゃんだけ未成年女児だし浮かないのかな。
少し気にしていると、マリーさんが食事会の仔細を語ってくれた。
『ファファファ! 今度はフェイリン嬢ちゃんのご家族やベナウィの家族も呼ぶから、ちょいとしたホームパーティーさね。当然アルコールも控えめだよ、そこは私らも弁えてるさ』
『ん! おつまみ、味濃いから好き! あと酔っ払いは自重! めっ!!』
『だそうですよベナウィさん』
『ハハハハ! 私は呑んでも酔わない自信がありますから平気ですとも!』
『まるで自重する気配がありませんね……』
自分だけは大丈夫! などと正常性バイアスのお手本みたいなことを仰るベナウィさん。あっ、これダメな気がする……
いやいやご家族も同伴とのことだから、きっと奥様なりお子様なりが手綱を握ってくださるだろう。たぶん。
『あはは……ええとじゃあ、俺はこのへんで。みなさんも暑いですから、どうぞ熱中症とかには気をつけて。御身体を大事にして食事会、楽しんでくださいねー』
『はい、ありがとうございます。公平くんもお気をつけて、楽しんで』
『謝謝! 公平さん、また今度!』
『お互い、暑い夏にも負けずに頑張りましょうミスター』
『それじゃまたね、公平ちゃん』
挨拶を終えて念話が途切れる。時間にして10分も経ってないけど濃厚なやり取りだった気がする。
さて、それじゃあ今度こそみんなのところに戻りましょうか!
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