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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第二部後日談編

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みんな青春してる中でほら、山形だけ宗教してるよ

 アイスを食べ終えて、残ったゴミをゴミ箱に捨てているあたりでバスが来た。松田くんと二人、早速乗り込む。

 他のメンバー、梨沙さんや片岡くん、木下さん、遠野さん達とも合流するかな? と思ったけど全然そんなことなくて二人きりの乗車だ。冷房が効き、ガラ空きの車内の奥の座席に並んで座る。

 

「梨沙さん達は先に着いてたりするのかな?」

「みたいだぜ? 少なくとも佐山と木下はもう図書館にいるみたいだし。ほらグルチャ見ろよ」

「ん……おりょ、本当だ」

 

 言われるがままにスマホを起動してグルチャを開くと、梨沙さんと木下さんが件の図書館前で並んで自撮りしている写真が添付されている。

 ずいぶん早めに到着したんだな、二人とも。俺もそこそこ早い感じだと思ってたけど上には上がいるもんだわ。

 

 とりあえず俺と松田くんもそれぞれ、互いに合流して今バスなう的なメッセージを送ってみる。まああと10分ちょいで彼女達とも合流できるだろうさ。

 残るは連絡のないお二人さんだね。

 

「片岡と遠野、俺らより後のバスで来るかな? 待ち合わせ時間ギリギリになるかもな」

「もしくはまだ図書館に着いてないだけで、俺達よりかは先行してるとか」

「俺らビリは嫌だな、なんか。いや時間には余裕で間に合うんだけどさ」

「特に俺とか言い出しっぺだからね……」

 

 ちょっと気まずい話になりそうで震える。怖ぁ……自由研究したいからみんな集合! って誘いをかけた俺が一番遅く来るとかどこの重役だよ、フリーダムすぎる。

 かと言って別に片岡くんや遠野さんに遅刻しろとも言う気はサラサラないわけで、こうなることを予想してもっと早くに家を出るべきだったかもしれないなーと思わなくもない。

 

 と、グルチャにメッセージ。

 噂をすれば影がさす、片岡くんと遠野さんだね。

 

『今、駅前です。遠野さんと一緒です。次に乗るバスでそちらに向かうので、時間には間に合います』

『気まじー! ちょっと待っててねみんな、すぐ行くから! よろよろー』

 

 とのことで、どうやら二人して俺達がバスに乗ったすぐ後に駅前に到着したらしい。

 言い出しっぺのくせに重役出勤、とならずに済んだのは正直助かったと軽く息を漏らす。いやまあ、どうあれ梨沙さんと木下さんを待たせてるのは変わりないんだけどね。

 

 同じく隣でホッとしている感じの松田くんが不意に、だらしないニヤニヤした笑みを浮かべてきた。

 俺を肘で軽く小突いて、なあなあと半笑いの声で尋ねてくる。

 

「片岡と遠野、一緒ってばアヤシクね?」

「へ?」

「二人で待ち合わせとかしてさ、軽いデート気分で来てんじゃないかって! ほらぶっちゃけさ、遠野って片岡にホの字だろ?」

「ホの字て」

 

 あなたおいくつ? 15歳だよね松田くん、ホの字は大分古めかしい表現なんですけど。

 ニシシと笑う松田くんはいたずらっぽくて面白味あるけど、言ってることはちょっぴり興味深くて俺の気もつい惹かれてしまう。


 片岡くんと遠野さん、というか特に遠野さんだね。片岡くんをどうも好きっぽい彼女は、もしかしたらこの夏にも負けない熱さで彼にアタックしているのかもしれない。

 青春してますね、実に……実に青春してますね。大切なことなので2度言いましたが3度目言いましょう。青春してますね。

 

「二学期始まったらこう、イチャイチャしだすのかなあの二人……」

「するかもなあ……片岡も案外満更でもないだろうし。あーあ、俺もなーそういう相手がいりゃあなー」

「……………………そ、そうだねー」

 

 なんか不貞腐れたみたいにぼやく松田くんだけど俺知ってるよ、君も木下さん相手に案外満更じゃないでしょ。

 先月末の夏祭りの時も仲良く二人でやって来てたし、お互いそんなんじゃねーし! みたいな空気出してたけど意識し合ってたのは一目瞭然だったし。

 

 よっぽどツッコんでやろうかとも思ったけど、ことはデリケートな話だ。

 お互いツンデレチックなこの二人を変にからかったりすると話が拗れてしまいかねないし、そもそも外野が余計な口をきくもんじゃないとも思うからね。

 ここは一つ生ぬるい目で温かく見守るとしようか。

 

「……………………」

「なんだよその目、怖いよ! っていうか山形は山形で、ええとー」

「うん? 俺ェ?」

「…………いや、なんでもない。ノーコメントで」

「何が!?」

 

 そこまで言ったら何にせよ言ってよ! 気になるでしょ!?

 いかにも思わせぶりに、意味深な瞳を俺に向けてから黙りこくる松田くんに思わず抗議する。その何やら生ぬるい目は何さ。

 問いかける俺に、彼は目を逸らして冷や汗さえ垂らしながらも言うのだった。

 

「いやー、その、なんだ。意外に派手な女性関係してるよなお前もって言おうと思ったけど、お前の場合は女性関係というかほぼ宗教関係だからむしろ若干気の毒だよなって思っちまって、うん……なんかごめん」

「えぇ……?」

「尊敬するぜ救世主! あ、あーそう言えばまたお前テレビに出たけど、二学期とかになったらいよいよ学校でも話題になるかもよ? こないだ会った関口くんもしきりにお前のこと褒めてたし」

「露骨に話を逸らした! あと何話してるのさ関口くんってば」

 

 クラスメイトの中でも一際仲のいい友達にさえ引き気味で語られる俺の周囲の女性とは……

 何やら気になることを仄めかす松田くんや関口くんも気になるし、二学期に入ったら俺の学生生活はまた一段、いろいろ起きそうな気配がしてきたよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 出会いは宗教関係なかったんだけどなー?
[一言] うん まあ美人には囲まれてるね一応…………(探査者関係の女性陣が端的に狂信者、ファザコン、コミュ障聖女、大食い格闘家と若干コメントに困るよね………羨ましくない部類という意味で) そういえば…
[一言] 美女に囲まれている、となると羨ましいけど、その美女の後ろに「(宗教関係者)」ってつくと、途端に羨ましさが半減する不思議
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