「酒呑み三銃士を連れてきたよ」「酒呑み三銃士?」
あとがきにて大事なお知らせがありますのでぜひともご覧下さいませー
そもそもS級探査者数名にWSO統括理事、そうでなくとも偉丈夫やら美少女だらけのこのメンツ。考えなくても目立たないはずもないのだ。
一度人々の目に付けばあっという間に好奇の視線に晒され始めて、俺達は戻ってきた大人組も併せて参ったなあと顔を見合わせていた。
「S級はそもそもそんなに目立つことはないのだが、先生や統括理事は普通にメディアにもその名、その姿が知れ渡っている。加えて巷で噂のシャイニング山形までいるとなればこうもなるか」
「ハッハッハー、何を仰るやらサウダーデさん。あなたやベナウィさんももちろん有名ですとも。と言いますかマリーの弟子筋は大体名が売れてるんじゃないかな?」
「マリアベール・フランソワの弟子って括りだけでも、探査者業界の中ではそれなりの派閥ができていますからねえ」
サウダーデさんやエリスさん、ベナウィさんが呑気に話しているけど、その手にはお酒の入った紙コップ。
もう普通に呑んでるねこの人達……同行していたヴァールはペットボトルの水を飲んでいるけど、呆れ気味に3人や俺達を見ている。もうあとちょっとで宴会なのに飲み食いし始めているのが、やはり気になるみたいだね。
「ほどほどにしているようには見えんが、まあ良い……そろそろ件の店に行くぞ。どのみちこうまで注目されては、落ち着いて観光もできまい」
「おうヴァール、オメーも食うか牛串。これマジウメーぜほら、アーン」
「するか馬鹿者、いいから行くぞ皆のもの」
「っていうか結局追加で買ったんですねー。あ、じゃあ私が一口、あーん!」
いつの間にやらもう一本、牛串を買っていたシャーリヒッタがにこやかに差し出してくる串を遠慮してヴァールが号令をかける。
代わりにリーベが一口頬張るのを見て、仲良いなーって微笑ましさを覚えながらも俺達は移動し始めた。そろそろ頃合いだしね、というわけで市場の中、予約していた居酒屋に辿り着く。
日本料理風の居酒屋さんって感じで、いかにも格式高い感じのする木造の家屋なんだけど、入口前には割とカジュアルな感じでいろいろ謳い文句を書いた看板が置かれている。
やれ当日飲み放題やら昼呑み可やら。うちの県の駅前にある居酒屋さんともこういうところは一緒で、いわゆる営業努力的なものを感じさせてすごいなーってなるね。
特に日本酒? らしい銘がびっしり書かれているメニューが張り出されていたりして、それを見たベナウィさんが目を輝かせているのが印象的だ。
「ほほう、ジャパニーズ・サケ! いやはや楽しみですねえ。ビールもワインも焼酎もウイスキーもブランデーも紹興酒もウォッカもジンもたいてい嗜むこの私、当然日本酒とて大いに嗜みますとも」
「日本酒は俺も好きだな。年に一度この季節になると来日しているが、本場日本で飲むのが楽しみなところは確実にある」
「ファファファ! 私ゃアルコールならなんでも良いんだが、たしかに日本酒は独特の味わいがあってうまいねえ」
「前二人はともかくマリアベール、お前は少し待て。アルコールならなんでも良いはおかしかろう、明らかに」
すっかり酒飲み三銃士と化した師弟が頬を緩め、これから始まる宴というか、これから出てくる酒に思いを馳せているけれども。
マリーさんのヤケクソみたいなアルコールへのラブコールに思わずヴァールもツッコミを入れた。隣でエリスさんもさすがにいやそれはないわ、みたいな顔をして後輩をじっとり見ている。
怖ぁ……もはや消毒液でも喜びそうな勢いじゃん。そんなにアルコールって良いものなのかな? わかんないや。
でもうちの父ちゃんもよく飲むし、なんならそれでWSOのお偉いさんとマブダチになっちゃってるほどだし。俺も成人して酒の味を覚えたらよく飲むようになるんだろうか?
香苗さんや宥さん、ベナウィさんやマリーさん達と飲んでみたい思いはあるけれども、さすがにここまでのことにはなりたくないよなー。
「酒は飲めども飲まれるな。いつか大人になった時には忘れないようにしよう……」
「そうですね公平くん、それはいい心掛けですよ」
「はっはっはー! そう言いながらもいざ飲み始めると、割と止まらなくなっちゃうのがアルコールの怖さですけどねー」
「そうなんですか……って、ありゃ?」
偉大なる先達がツッコまれてまた誤魔化し笑いをファファファとしているのを遠い目で見つつ呟いていると、後ろからヌルっとした自然さで会話に入ってくる声2つ。
振り向くとそこにいたのは香苗さんと葵さん。揃ってこちらに近づいてきていた──無事に合流成功か。
昼頃と違って二人ともカジュアルな夏服に身を包んでいて、涼やかな美人お姉さんって感じで非常に素晴らしい。
その上で二人並んで歩いていたわけだから相当な視線を二人じめしていたみたいで、中にはあからさまに声かけたいな〜みたいな感じのグループもいたようだ。
ただ、そういう人達も個性豊かな俺達と合流するなりウッ……となって引き下がったのが見えた。
去り際、ブツブツと小さな声で話すのを耳に拾う。
「うおっ、国際色豊かかよ……声かけなくてよかったぁ」
「かけても無視されてたろうよ、ありゃ御堂香苗だぜ、今度S級になる」
「あ、マジかよどっかで見たことあんな〜って思ってたら。てことはあっちの子供がシャイニングなんたら?」
「じゃね? 変に絡んでたら下手すると信者にされかねなかったぜ。あぶねーあぶねー」
何やら危機を回避できたんだろう、ハハハと笑って去っていく男の人達。
迂闊に話しかけてたら最悪伝道喰らってたまであるから見事な危機回避である。まあ、声かけるにせよ相手は見て選ぼうってことだね。
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