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第一章 わたし、異世界転生しました!

お母さん視点です


「今日もアリアは村の広場か?」

「ええ、新しく考えた遊びを教えるんだーって、ウキウキして出ていったわ」


 今日も元気に飛び出していく娘を見送り、夫の問いにそう答える。

 娘のアリアは産まれて一年程は他の子に比べてとても大人しく、どこか体が悪いのかと酷く心配したものだ。しかし今では、村のどの子よりも元気いっぱいでしかもこんな小さいうちから魔力まで扱えるのだ。

 村長もこの村からはじめて魔術師が産まれるのではないかと期待して自分の子供のように可愛がっている


「しかし、三つであれほど聡明に育つというのは、やはり魔力が多いことと関係があるのか?」

「うーん、どうなのかしら?でも、悪いことではないのだし」

「それはそうだが…しかしこのままではアリアは首都に…」


 夫はそう言ってため息をつきながらうな垂れてしまった。まあ、夫言うことも分かる。このままいけばアリアは首都にあるフランメル学園に入ることになるだろう。

 村長曰く、子供ながらにあれ程の魔力持ち主は貴族様だってそうはいない。推薦状を送れば間違いなく通る。国から補助金だって出るのだと。しかしそうなればアリアとは離ればなれになってしまう。首都からこの村までの往復にかかる月日を考えると卒業までは帰ってくることはできないだろう。しかし、


「入学するのは十五歳よ?それにまだ確実にそうなるとは決まってないのだから。今からそんなんじゃ先が思いやられるわね」

「わかっている…わかっているんだ。それに、学園に入って魔術師になれれば、あの子の人生はぐっと広がる」

「なんだ、そこまでわかってるんじゃない」

「頭ではわかってるんだ。でも、でもなぁ…あの子と少なくとも四年以上会えなくなると考えただけで…うぅ」


 またこの調子だ。確かに私だって寂しい気持ちはある。でも、このまま村に閉じ込めておくにはあの子の才能は大きすぎる。それに国からの補助金もある。

 

「今から少しでも寂しくないように楽しい思い出をアリアと作っていきましょう?」

「…そうだな、それにアリアだって学園を嫌がるかもしれないんだし!」


 アリアが十五になるまでにこの人が子離れできる日は来るのかしら?


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