驚くべき事実
なんでも答えてやろうと言われた。
私の質問は。
たぶん、何を聞いても、怒らないだろう。
ただ、何から聞くか。
私は、何を聞くか決めて、聞くことに。
「村長さんですが、光目様が操ってるんですか、それとも、村長さんの意志ですか、あれは。」
「あれはとは、どういうことじゃ、もっと詳しく言ってくれんか。」
「あの夕方までに帰れってやつです。わざわざ、洞窟の話までして、ルールを守らない、人を殺す気ですよね。」
「ああ、村長か、では、村長の話をしようかのう。」
「お願いします。」
「村長、熊、あれは、10年前に亡くなったんじゃ。」
「亡くなった、えー、死んでるんですか。」
「ああ、もういないんじゃ。」
「一緒にいた人は、二人いましたよね。」
「ああ、山中と、山下か、あいつらももういない。」
「あの、それじゃ、私に試練のルールを教えた人は。」
「ああ、佐江か、佐江ももういないんじゃ。」
何がなんだか、わからなくなってきた。
どうなってるの。
この村は。
ここで村を、見た時は、村人は、たくさんいるように見えたけど。
私は、震える声で聞いた。
「では、今この村にいる人は。」
「ああ、おまえだけじゃ。」
私は、光目様を、問い詰めた。
「ど、どういう事ですか。それは。」
「どういう事とわしに言われてもな。」
ダメだ、冷静にならなくては、光目様も困ってる。
「説明を、お願いします。」
「んん、この村はな、死んだ村なのじゃ。」
私の頭に、死んだ村、死んだ村、死んだ村、死んだ村、声が鳴り響いた。
「死んだ村。」
「そうじゃ、人がどんどんいなくなり、最後に残ったのが熊じゃったが、熊は自分がいなくなれば、わしが寂しがると言ってな、最後まで残ってくれて、この村で死んでいったのじゃ。優しいやつじゃった。」
何それ、どういう事、それって。
「え、それじゃ。」
「ああ、熊の死体は、この村にわしが埋めた。」
熊さん、熊さん、死んだんだ。
誰もいない村。
何、何なの。
でも、それがこの村なんだ。
では、なんの為にこんな事をするの。
わからない。
私は質問した。
実は知りたかったのだ。
「さっきの試練で入る家を、間違えた場合は、どうなるんですか。」
「間違えたらか、それは。」
「それは。」
「両目が無くなって、この村から、どこかに飛ばされるな。」
簡単に言った。
本当に簡単に言った。
それは、その人の死を意味するのに。
目が見えない状態で、どこかわからない場所に飛ばされるのだ。
都会じゃない、こんな場所でだ。
死ぬだろう確実に。
やはり違う。
人間とは。
「ああ、安心しろ。」
「何を、ですか。」
この会話の内容で、何を、安心しろというんですか。
「家に入るまで、進んだものは、お前以外、おらんからな。」
みんな、みんな逃げて、死んだのか。
ありうる話だ。
私だって、キーを、落とさなければ。
それだけ、あれは強烈だった。
色々な意味で。
だが、私が聞いてる話じゃ、死んだのは、14人だが、実はまだいるの。
あのガードレールが無い場所に、まさか、そんな。
それと見てないが、反対方向、あっちも、どうか、わからない。
どうなってるのか。
見たくない、知りたくない。
現実に恐ろしい事が、ここで行われている。
常に人が死ぬかもしれない罠が発動してる。
それは、通常じゃ考えられない事だ。
光目様は人間とは、違う、考える基準が違う。
私だって、あの時、電気ショッカーを、使わなければ、ただの肉の塊になっていた。
あんな試練、誰にも無理だ。
眼帯の模様だって、たまたま興味があってメモをしていただけだ。
だが、それこそが、強運こそが、私の力だ。
常に、死神がなんども私を横切ってるが。
私は、助かってる。
だが、私は、ある人が言った事は、守ってる。
それは、常に警戒する事。
注意を払う事。
それを、やったものにだけ、強運の女神がほほ笑むのだと。
だが、この村で、わからない事がある。
私は勇気を出して聞いてみることに。
「何で人を殺すんですか。」
これは、光目様とは、価値観が違うので、どんな答えが返ってくるか、わからない。
だが、一つ言えるのは、光目様は、まじめに答えてくれるって事だ。
もちろん光目様の基準でだが。
「人を殺すか、おまえは、勘違いを、しておるぞ。」
勘違い、私は意味がわからないので聞くことに。
「な、何を、勘違いしてるんですか、詳しくお願いします。」
「わしを、悪いものに、変えたのは、人間じゃ。」
どういう事、人間が、どういう事かわからない。