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怪談

作者: yamakazura

一日中、雨が降っている日だった。

夕方になって、ようやく止んだ。

雨のせいか頭の奥が疼く、けだるい一日だった。

しかし、翌日から当分忙しく、今日のうちに買い物に行かないわけにはいかなかった。

自転車の鍵を持って僕は部屋を出た。


薄暗い道、自転車を漕ぎながら、翌日からの予定と、段々ひどくなる頭痛のことを考えた。


明るい店内。多くの人の気配と頭痛とに、買い物リストの文字が揺れる。

人参、ピーマン、ねぎ、豆腐。時間をかけて売り場を回る。


会計を済ませ、店の外に出た。もうずいぶん暗い。

荷物を自転車のかごに入れ、首をぐるりと回す。頭が痛い、肩も凝ってきた。


昼間は姿を隠していた虫達が、夜の闇に鳴いている。

このあたりでいちばん大きな木が黒いシルエットで見えてくると、ふいに、どこかで誰かから聞いた言葉が自然と浮かんできた。

『疲れているときや参っているとき、そんな魂が揺らいでいるときに、人は、ふだん見ないものまで見てしまうの』

外灯の少ない細道。まばらに点在する家は、なぜかどれも戸を閉ざし、暗く夜に沈んでいる。

……もう考えるのはよそう。想像するから、怖くなるのだ。


ざざざざざぁ


頭上で大樹が揺れる。木の葉が擦れる。雨の雫が落ちてきて、虫の声が途切れる。

……大丈夫だ、何も起こってはいない。

ほら、そろそろ下り道だ、気をつけないと。


ブレーキに指を掛けようとして、ぞっとする。

僕が触れなければならなかったのは、硬く冷たい金属だったはず。

今、僕の指先に触れているものは、柔らかくすべやかな、肌…?

異質。あってはならないもの。

しかし、触れてしまった。もう触れてしまった。

見るのでも、聞くのでもない。直接的に。


様々な思いが頭に浮かび、しかし考える間もなく反射的に目を向けてしまう。

僕が触れているものは、僕に触れているものは、








ねぎの青いところでしたwwwww

まさかの類似体験:


419 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/08(水) 00:22:28 ID:2uHb8TlJ

冬の夕方5時頃、夫から電話で「急だけど今日、会社の人5~6人連れて

帰るから、何か用意しといて」と留守電が入ってた。

「なによー!勝手に!」と頭に来たが「デキた嫁」を演じたい私は、速効

ママチャリにまたがりスーパーへ急いだ。7時には家に到着のはずだから、そんなに

手の込んだものはできないので、鍋にした。野菜やら肉やらビールやら酒やら

大量に袋に詰め、前のカゴと後ろのカゴが満載になった。時計は6時前…


少し焦っていた私はいつもは絶対に通らない近道に入った。そこはお寺の

脇のあぜ道で、墓地の横を通るコースで街灯もなく真っ暗。「怖い…」そんな

気持ちがペダルに伝わり、しゃかりきに自転車をこぐ。ふいに肩を叩かれた。


そんなはずはない!自転車に乗ってるんだ!後ろには誰も乗せてない!

「とん、とん…とん」…ぎゃーっと叫びたい気持ちを抑え、半泣きで

「南無阿弥陀仏」を唱えながら、肩にそーっと手をやるとひんやりした細い

ものが手に当たった!「南無阿弥陀仏ーーー!」絶叫と共に引き抜いたそれは

カゴから飛び出した「長ネギ」だった。勢いで転倒した私の目の前に崩れた

豆腐が白く浮かびあがっていた。

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