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相棒のプライド

 元から、ここは静かだった。他人をいたわれる守護天使たちが働き場とするここは、優しさのある静けさにいつも包まれていた。



 そのはずなのに、今は張り詰めた、厳かな裁判所のような静寂がここら一体を襲っているようだ。



 そうなった理由も、私の肩を力ませる要因のひとつだった。私の相棒が、たった今目の前で神に問い詰められている。そして、投げかけられる言葉の数々にいたたまれなくなったのか、ついには思いの丈を吐いたのだ。



 天界にいるわけではない神は、平然とした顔を続行していた。しかし、ずっと私の相棒と関わってきたこの場の天使や相棒たちは、驚くのは必然だ。



 私の隣では、まるでなにかに耐えるかのように、拳を握りしめているルイズちゃんがいる。



 空気が流れるくらいの小音が聞こえる。



「どうしたんだよ……ラフィー」



 私もみんなと同じ思いだ。



 一番ラフィーの近くにいるといえば、胸を張って私だと言える。けれども、穏やかでのほほんとしていて、直向きだけれども間の抜けた能天気な天使。そんな印象は全員一貫していたのだ。



 一体ラフィーに何があったと言うんだろう。私も知らないことがあるとでも言うのか。



 見かけから明らかに動揺している。それくらい驚いたらしいアークが、やっとの思いという感じで問う。



「本当に、ラフィーがぼくを?」


「そうだよ」



 初めて聞くかもしれない、一言ながらも真剣な声色。覚悟を決めたようにも思える。



 本当に、なんてわかりきってることを聞くのは、それが混乱状況を表してるんだろう。



「そんなに意外だった? 初めボクにここで話しかけた時、なんとなく気づいてるのかなって、思ってたんだけど……」



 なんでもないラフィーの言葉一つ一つが、紡がれるたび物悲しい雰囲気を漂わせる。



「なにしたかはわかってたけどさ。いざ直面するとショックっていうか……本当にしてたって知ったら、どうしてそんなことしたのかって、疑問が一気に降ってきて」



 相当なストレスとかが、疑問と一緒に降りかかっているようだ。さっきから深呼吸が多い。



 私にアークの心情はわからないが、予想外だったのだろうか。認めたくない現実だったのだろうか。急な展開についていけないのだろうか。



「どうして……」



 ぽつん、とラフィーが一言を落とす。


「ラフィーが人が好きで優しいっていうのは理解してるんだけど。なのになんで隠したのかなって」


「……」



 双方黙り込む。でも、ラフィーが考えるように手を当てており、そして話した。



「……君を少しでも延命しようとしたら、死からも救ってしまった。それは、天使としての終わりなんだ。そういう違反行為で、ボクたちは初めて死ぬ。

 だからね、ボクは怖かったのさ。行ったことが知られるのが。だから隠してた。ハインさんとかゼルさん、ヒールに知られないように。それだけだよ」


「怖かった……?」



 これまで黙りこくっていた理由を、淡々と話した。いつもより元気が無く、ボソボソした喋り方だった。



 でも、私はそんなことはどうでもいいのだ。



 隠してごめんね、とか謝っているが、そんなことは知ったこっちゃない。



「ラフィー」


「ん? ヒール……」



 私はもう我慢できない。叫ぶまではいかないけれど、言いたいことを言ってやることにした。



「そんなしょうもない嘘つくんじゃないわよ」


「嘘? ついてない――」


「いっつもハインさんの忠告を無視して、好き勝手にして。そのくせ殺されるのが怖い? 食い違いにもほどがあるわ。

 少しでも延命なんてのも嘘っぱちよ。あんたは最初から助けようとしていた。そして自分の死も厭わない。自分の不利のためにまどろっこしい真似をするなんて、絶対しないわ」


「ヒール……」



 一瞬にして空気が変わったのを、私自身も肌で感じた。



 こんなもんじゃない。言いたいことは山以上にあるんだ。

お読みいただきありがとうございます。

今回は視点を変えて書いてみました。自白してからも回りくどいことをするラフィーに、ヒールが切り込むのは書いてても楽しいです。次回もちょっとそれが入ると思います。

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