ペアの合流
「おーいー、ゼルはー?」
「多分もうすぐ来るよ。もうちょっと待ってて」
「さっきからずっとそれじゃん!」
立ち疲れたらしいルイズは、浮くこともせずに地べたに座り込んでいる。清潔感とかはそれほど気にしない性格なのは、重々承知している。
守護天使たちの仕事場の近くで、ぼくとルイズのふたりは暫く待っていた。誰かと言えば、手分けをする為に分かれたゼルだ。
さっきから随分時間は経ったはずだから、2人や3人くらいは話せているだろう。ルイズに言った通り、後もう少しのんびりしていればやってくるはずなんだけど。
「ヒールも来るんだろ?」
「まぁ、多分ね……」
息を吐きながら小さく呟く。それにルイズは勢いよく掴みかかってきた。
「多分!? それは聞いてねぇぞ!」
「え、ぼくちゃんと言ったよ。さっき言ったのに……何故か上の空でルイズが聞いてたからじゃないの」
「だって暇すぎるからさぁ」
ルイズはずっと、定期的に欠伸を繰り返している。足を伸ばしてそして全体で伸びをする。本当に眠そうだ。
「なぁ……気にしなくていいから、ここで寝ていいかぁ?」
「え、それは流石に……」
とうとう限界突破を始めようとしている。頭にかぶっている分厚い着ぐるみのような服が、丁度枕みたいになっているし。
そこまでは、と心配した時。後ろで声が響いた。
「おーい、アーク!」
聞き覚えのない声で、一瞬誰を呼んでいるのかわからなかった。それでも反射的に振り返ると、ゼルがいた。
きっと、彼が普段から叫ぶなんてことはないから違う声に聞こえたんだろう。
ゼルの横にはもう1人いた。真っ先にルイズに近づいたヒールだ。
「ルイズちゃん。居たんだ」
「ヒール! そっちこそ居てくれたんだー。安心安心」
女子組はそれとして盛り上がってるみたい。
ゼルと目が合う。どっちも笑っていて、計画がうまくいったことがわかる。
ぼくたちは少し話し込む。
「ルイズは機嫌いいみたいだね」
先行はゼルだ。
「うん。ぼくが説明してなかったからね。頑固じゃなくて助かったよ」
「ははは、そうかい。リザレイも大丈夫だったかい。ツンツンしてたりとかさ」
「大丈夫。なんだか案外すんなり受け入れてくれてさ。なんでだろうな」
「ふーん。まだ僕も知らないところがあったんだね。彼女って一途だと思ってたからさ」
「うん……その辺りはよくわかんないけど。今頃神と話でもしてるんじゃないかな」
ぼくは考えながら言ったので、若干俯いていた。顔を上げるとゼルがニコニコとしていた。
「なんで笑ってるの?」
「いや、別に。うまくいったみたいでよかったなって」
ゼルは本当にいつも楽しそうにしている。たまにタイミングがわからなくて、訳が分からなくなる。
「これでラフィーから話を聞けて、アークもけじめがつけられるんだろう?」
「そうだね」
それで嬉しそうにするのは、ぼくの方かもしれない。今の霧靄がかかった状態がもうすぐ晴れるには、間違い無いんだから。
「あとちょっとで、ラフィーを説得してくれる神は訪れるよね?」
「時間は経った。きっと来るさ」
今さっきゼルたちが来た方向を見つめる。早く神が来ないかと、緊張してきた。
お読みいただきありがとうございます。
繋ぎ回みたいになってしまいましたが、全員集合の第一歩ですのでご了承を。次回はやっと集まるはずです。




