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閑話・盲信脱却

 アークが天界に訪れてから、色々とおかしくなった。それはもう様々な意味で。



 いつもフラフラとしていたゼルは、アークの世話という仕事をし始めた。


 余裕飄々としていて大人っぽかったリィさんは、楽しみを見つけたみたいで無邪気にしていた。


 どこかすれ違っていたルイズとヒールは、アークを仲介として互いを認め合った。ルイズの方は特に、表情豊かになった気がする。


 真面目な方のハインさんとグリウは、幾分か感情を露わにするようになったと思う。



 私も、不思議な子だなぁと思ってただけさったのに、「神は大事じゃない」と指摘されてから随分と意識するようになった。こんなに真剣に誰かと向き合うのも、久しぶりというか始めてかもしれない。



 ……そう考えてみたら、ラフィーはアークの影響をそれほど受けていない。



 私自身も、ヒールから話を聞くくらいでラフィーとは特別仲が良いとかじゃない。合って話したことはあるけどまあまあ、という感じ。



「というか、あの2人って関わったことあるのかしら?」



 そんな独り言を呟く。と、部屋の出口側から声がして、足音が近づいてくる。



「なにか言ったか?」


「あぁ、グリウ……別になんでもない」


「……」



 グリウはテーブルに黙って座った。



「なに?」


「いや、特になにも言うことはないがな。アークとの仲を拗らせたんだろ」



 遠回しに、私の思想に触れてきているのだろうか。神様を信じる私の考え方を。



「拗らせたって、さっき仲は直したわよ。グリウもいたんじゃなかったっけ? Gホールでさ」


「確かに形ではな。しかしお前の顔は浮かれていない」


「……それが、グリウに影響するの? 私のこととかいいからさ」


「大いに影響するな。お前は私の相棒なのだ。お前がへばっているようでは、私の面汚しだ」



 窓の奥をぼんやり見つめながら、グリウはぶつぶつとした感じで言う。



「あのさ……」



 声をかけようとした時。遠くのドアが鈍く低い音を立てた。



「客か?」



 グリウは来客に対応しようと立ち上がる。もともと何かあった訳じゃないけど、なんだか物足りない感じがした。



 少し、足をぶらつかせながら待っていると、グリウが戻ってきた。といっても声だけで、「アークだ」と聞こえた。



「……入れて」



 私の言葉を聞いたグリウは、客人を招き入れた。



 現れたのは、さっきGホールで話した時とは違う、なにかを決心した少年だった。

お読みいただきありがとうございます。

閑話=どうでもいい回です。時系列はちょっと前ですね。場面が分かりづらいかもしれませんが、リザレイの思いが分かることには変わりありませんので。土曜は投稿ありません。

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