■第八章■
「よっー!桜岡ー!」
「お邪魔しまーす。」
「翼〜!」
勢いよくドアが開いた。とたんにぞろぞろと見知った顔が病室に入ってくる。
「・・・いろいろ突っ込みたいとこなんだけどな。」
笑顔のメンツに俺ははぁとため息をついた。ほんと元気だなぁこいつら。
「おっ。桜岡お前なに読んでんのー?」
クラスでは学級委員長をしてて、男子のリーダー格である通称"馬鹿長"、桐山大樹。なぜあだ名が"馬鹿長"かと言うと・・・そのまんま、馬鹿な学級委員長だからだ。誰だよこんなあだ名つけたヤツ。ネーミングセンス皆無だな。
「れ・・・推理小説だ。」
恋愛小説と言うとして、先日の看護師さんの反応が気になって嘘をついた。
「マジ?見せて?」
「お前絶対本汚すからいや。」
なんでも人のものを知りたがる桐山が俺に飛びつこうとする。まぁ桐山が本汚すのは事実だけど。
「ちょっと"馬鹿長"、桜岡くん嫌がってるよ、やめなよ。」
桐山を止めてくれたのが、西原美咲。彼女は桐山と一緒に学級委員長をしている。
学級委員長らしくない桐山にくらべ、学級委員長らしいしっかり者の西原は、桐山の分までフォローしてクラスを円滑にしてくれているらしい。
らしいというのは、俺が入院した直後に学級委員長が決まったため、俺はまだ二人の学級委員長姿を見たことがなかったため、弥羽から聞いた話だからだった。
しかし二人とも学級委員長経験が小学校を含めあったらしいから、桐山はともかく、西原がいればうちのクラスも安泰なのだろう。俺は桐山を抑える西原を見ながら思った。
「で、何しに来たんだよ、お前ら。」
桐山が落ち着いたころに、俺はため息交じりに言った。
「うっわ、お前酷いこと言うなー。せっかく来てやったのに。」
「病室で騒がれたらうるさいだけだ。特にお前、ホントよく学級委員長やれるなぁ。」
「何をー?!」
「まぁまぁ。」
再び俺に飛びかかる桐山をなだめる西原の図。それをにこにこしながら弥羽は見ていた。
しかし、ふっとときどき伏せる睫毛には、一瞬陰りが見える。
これは・・・どうしたんだ?桐山以上にはしゃぐヤツが・・・。
弥羽の異変に気付いたのは俺だけじゃなかったらしい。鋭い女の感なのか、西原が桐山を抑えつつ、後ろの弥羽を振り返った。
「美影さん?」
「え?あぁ、どうしたの〜?学級委員長さん。」
西原の声にはっとする弥羽。普段から俺以外の人間と一歩距離を置いてる弥羽は、さっきのテンションはどうしたのか、少し攻撃的な口調に聞こえた。
「え、ううん。別になんでもないけど・・・」
「そうだ!ねぇねぇ翼、今日は苺持ってきたよ!」
いきなり明るくなる弥羽。せっせとスーパーの袋をぶら下げて流しへ向かっていった。
「なぁ、お前美影と喧嘩でもしたのか?」
弥羽が俺たちに背を向けて流しで苺を洗っていると、桐山が小声で言ってきた。
「なんか変だぜ?」
「私もそう思うんだけど。」
桐山にプラスして、西原まで言ってくる。
「いや・・・心当たりは全くないんだが・・・」
三人で弥羽の背中を見つめる。
弥羽はいつもと若干違うテンションで、アイネ・クライネ・ナハトムジークを鼻歌で歌っていた。
弥羽がヤンデレ気味です(ぇ
そして設定が主人公二人は白紙なくせに学級委員長の二人はカードいっぱいに書いてました。
なんでだ(´・ω・`)