表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/41

攻防2(2024年編集)

 ~ 都内 池袋 ~


 十八時を回った。


 逃走中のバイクは、新板橋、板橋本町を経由して、首都高速五号池袋線を、北上している。


 速度のリミッターを、解除しているのか、山川たちは、中々、追いつけない。


(何て、速さだ。一般車両が邪魔で、離される)


 山川は、無線で、中間報告を入れる。


「こちら、三号車。通信指令室どうぞ」


「こちら、通信指令室(本部)、三号車、どうした?」


「逃走中のバイクは、戸田方面に移動中。進路によって、東北自動車道、関越道に分かれる。分岐点で判断し、改めて要請する」


「通信指令室、了解。各班は、続報を待て。浦和、和光、大泉インター各所で、交通機動隊が待機している。号令で、追跡を開始する」


 逃走バイクは、嘲笑うように、疾走していく。



 ~ 一方その頃、都内 高井戸 ~


 山川が、首都高速道路の北ルートで、逃走中のバイクを追跡している頃、佐久間たちは、中央自動車道で、国立府中、八王子経由で、昭島市を目指していた。


「根本くん、少しは、妨害出来ているか?」


「一進一退です。向こうも、反撃してきているので、隙を見せれば、悪意のあるプログラム(破壊ウイルス)で、お陀仏です」


 揺れる車内で、根本は、必死に、田中大輔と闘っている。


「警部さん、何故、田中大輔は、昭島市に目をつけたんでしょうか?」


「送電線を担っている地区は、昭島市、川崎区、鶴見区と、分かれるが、昭島市は、八王子・府中・相模原に隣接していて、送電範囲が広い。地理的には、神奈川県・埼玉県・山梨県に移動しやすい。一番は、送電施設が、人目につきにくい点だろう」


「なるほど、合点がいきます」


(昭島市は、府中市の隣。菊池と関係があるのかも、しれないな)


 パソコンの画面上で、田中の位置は、国立府中を示している。


「こちら、四号車、全捜査官へ。現在、田中大輔を乗せた車は、国立府中にいる。このままでは、追いつけない。高速機動隊の白バイで、先回りしてくれ」


「通信指令室より、府中警察署に指令。直ちに、国立府中より合流し、捜索を開始せよ」


「こちら、府中警察署。了解した」


「どの車両で移動しているかは、不明。捜査二課より、田中大輔の顔写真が、一斉配信されているはずだ。困難を極めるが、確認作業を頼む」


「府中警察署、了解した。捜索を開始する」


(ピンポイントで分かれば、早いのだが)



 ~ 十八時四十分 埼玉県川越市 ~


「こちら三号車、山川。逃走中のバイクは、現在、川越から圏央鶴ヶ島に、向かっている。南下して、八王子方面に、向かう模様。四号車で追っている田中大輔と、合流する可能性あり。黙視は出来るが、渋滞で、追いつけない」


「通信指令室より、八王子警察署、第三機動捜査隊に指令。挟山日高インター、挟山PA、青梅インターより合流し、確保されたい」


「八王子警察署、了解。第三機動捜査隊と連携し、捜索を開始する」


 待機中のパトカーが、一斉に出動し、挟み討ちを、試みる。


(良し、これで、袋の鼠だ)


 応援部隊が動いた事で、山川は安堵したが、それを見透かしたかの様に、逃走中のバイクは、圏央鶴ヶ島のバスレーンに入ると、意外な行動を見せた。


 バイクを降り、高速バス出入口から、素早く脱出し、姿を消したのである。


(------!)


「おい、あのバスレーンに、入るんだ」


「この渋滞で、急な進路変更は、危険です。少し、過ぎたところに、停車します」


 虚をつかれた山川は、第二走行帯から、バスレーンに入ろうとしたが、通り過ぎてしまう。


(やられた、第一走行帯にいたら、間に合ったのに。こうなる事を見越して、ずっと、第二走行帯を、走っていたのか)


 バス停から、三百メートル過ぎた路側帯に、何とか停車し、辿り着いた時には、後の祭りであった。


 逃走したバイクが、乗り捨てられ、足取りが追えない。山川は、息を切らせて、車内に戻ると、無線を入れた。


「はあはあ、三号車、山川だ。犯人は、高速バス乗り場より、外へ逃走。走って逃げたのか、別の交通手段で、逃げたのか不明。消息が消えた!」


「通信指令室より、四号車へ確認を取る。三号車は、そのまま待機せよ。八王子警察署、第三機動捜査隊も、最寄りの、安全な場所で待機せよ」


「八王子警察署、了解」


「第三機動捜査隊、了解」


「通信指令室より、四号車へ」


「こちら、四号車どうぞ」


「三号車より、報告あり。逃走中のバイクが、圏央鶴ヶ島付近で、高速道路上から消えて、一般道で逃走した模様」


「警部さん?」


(………)


(…圏央鶴ヶ島という事は、あきる野経由で、合流する気だな)


「こちら、四号車、佐久間だ。三号車、八王子警察署は、最短ルートで、昭島市を目指してくれ。高速道路と、一般道、両方でだ。私の推理が正しければ、田中大輔と、逃走中の男は合流する」


「通信指令室、了解。各班へ、指令を回す」


 通信指令室より、各所へ指示がいく。


(まだ、何かあると、考えるべきだ)


「根本くん、気をつけてくれ。向こうは、後手に回った。逃走経路に、替えの交通手段を、準備していたのだろう。こちらにも、何か、仕掛けてくるぞ」


(………)


「…気をつけます、としか言えないです。既に、集中砲火されている、状況なんで」


「それは、済まないな。更なる攻撃を受けるとして、最悪の想定は、何が、脳裏に浮かぶ?」


(………)


 根本は、力無く、笑った。


「…物理的な攻撃ですかね。現在、電波で闘っていて、一進一退なんで。車が飛んでくるか、爆弾が降ってくるか、これが、一番嫌です」


(………)


「それは、確かに、嫌だな」


 田中大輔の位置は、昭島市に入ろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ