裏のしるし
頭のすみに澱が溜まっている。ひとの、いやなところを見たときに特有の淀み、傍に流れてくれない妄想のかたまり。
鋭く、「いやなところ」だけをぴんと刺し感知する感性が、発達せずただ膨張を続けていく。
赤い風船がふうと膨らみ、なかには汚泥が詰まっている。
きれいに見せたいもの、きれいに見たかったもの、きれいに見てほしかったもの、きれいに感じてほしかったもの。
変わらなかった自分の世界と、その真因を自分以外の身近な名前をもつ人に求めて、拒否され、怒り、八つ当たりをし、
いやな部分を共通して見つけることで、見たくないものから逃げること。
目を向けるべき先があやまっていること。目を向けないことが怠惰であること。
本当に見たくないものを見ないこと。
そこには、本当に何もないこと。
ものを見なかった先、見なかった結果は生まれようがないこと。
淀みは、なにも生まない。
判断は誰にもできない。
なにも、出てこない。
淀みは捨てるしかない。
もしくは、それが淀みでなく。
淀みに見えた君の形であったりとか。
前をみる君、外を見ずに。
惹かれるものを見つける君。
表裏がはげしく、空洞を持たないから、
誰かに刺されても気づくことがない。
背中に血まみれの刃物が突き刺さっていても、痛覚がなく後ろを見なければ、
ないこととして処理することができる。
無意識の切り捨て、無自覚で無邪気な放漫さが人を弾き飛ばし、君は君の前に進んでいく。