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街の外に出てみれば、一面の緑が広がり、まばらにプレイヤーアイコンが見えた。奥には確かに小さくしか見えないが森がある。


「一瞬だけやってたVRの箱庭ゲーで、最初こんな感じのステージに放り出されたなぁ」

「もうちょっと別の感想無いの??」


せっかくVRMMOに連れて来てあげられたのに、と小声で言う妹の、いつもより少し高い位置にある頭に手を伸ばしてぐしゃっとする。


「ありがとね、歩くの困らないしすごい快適」

「えへへ、じゃあ行こ!あ、あのスライムでとりあえず試そうよ!」


と、スライムを指差す。


「やり方って、普通のソシャゲと同じで良いんだよね?」

「うん、魔法の唱え方はキーボードじゃないけどね」


と、いたずらっぽく言われてはいはいと返す。


早速スライムを二人で囲めば、妹は意気揚々と呪文を唱えた。


「アトラクト!」


私も杖をかざす動作をしてハイドを使う。

ノンアクティブなのでいきなり魔法を打つこともできるのだが、スキルのレベル上げの為に敢えてだ。


スライムがノンアクティブからアクティブになったのを確認すると、妹は私に視線を送った。


私は頷いて、杖を前に突き出して火魔法lv.1であるファイアボールを放った。

勝手に動いて的まであててくれるからとても楽である。


数値の暴力を食らったスライムは、一瞬で蒸発した。


「よし!初戦闘勝利!」


と、妹が手のひらをこちらに向けて空中で止めた。

私はその手にあわせて、ハイタッチじみたものをした。

…どっちかが停止した状態じゃないとハイタッチ1つもできないのだよ悪かったな。


「てかさ、思ったよりも人少ないね、フィールドが広いから?」


「うーんそれもあるけど、βテストの段階だとこっちの先にある森よりも反対側の先にある荒野の方が、ドロップする素材が良いんだよね。

平原自体のモブは同じだから、レベル上げた後そのままそっち向かうつもりなんじゃないかなぁ」


フィールドを見回しながら思ったことを言えば、流れるように言葉が帰って来た。


「何かクッカ、かなりこのゲーム詳しいね?」

「あれ、言ってなかったっけ。私βテスターしてたんだよこれ」


道理で色々とスムーズな訳だ。いつも通り私がどんくさいだけかと思ってたけど、妹が素早かったのか。


「じゃあ何で森に行くことにしたの?」

「隠れる場所多い方が私達には良いでしょ、荒野とか一瞬で死んじゃうよムイが」

「なるほど」


などと会話を行いつつ、レベル上げをしているうちに森が近付いて来た。

途中でレベルは3に上がり、現時点でも一撃必殺なのに更に魔力が上がった。火属性魔法の方も2に上がってファイアアローを覚えた。


「どう?凄いでしょ、ちゃんと植生とかも考えて細かく設定されてるらしいよ」


と、妹がドヤ顔をする。曰く、森の始まりが極めて自然で、日光が当たりやすい位置には低木があり、奥に行くと陰樹が生えているそうだ。


「ゲーム内時間で1000年くらい放置してたシュミレーションもこんな感じになってたなぁ」

「もう、お姉ちゃん他に言うことないの?」

「ごめんごめん」


基本無限に何かを生み出すゲームか無限に何かを集めるゲームしかしないもので。

私は頬を膨らませる妹に助言を求めることで話題を替えた。


「あ、違うフィールド行くなら、さっきレベル上がった時に貰ったポイント振った方が良いよね?何に振れば良い?」


「えっとねー地属性取っといて。」


言われるままにポイントを振る。

アースバインドという地属性魔法を覚えた。どうやら土が隆起して足止めさせる魔法のようだ。

基本的にスキルポイントは取得と進化にのみ用い、スキルレベルは戦闘でしか上がらないらしい。


「あ、ほらあそこ、フォレストスライム」


指差した先を見れば、先程まで倒したスライムと変わらないように見えるスライムがいた。


「微妙に緑なんだよ」


横に並べてみないと分からないな、と思いながら頷く。


「えっとねーβ通りなら、途中に採取スポットがあって更に奥の方にゴブリンの集落があるから、あんまり奥まで入らない場所でひと狩り行こうぜ!」

「やめてよー」

「戦ってる最中に上手に武器研げましたって感じだったよね」


100年以上続いてる名作だから買ってみたけど全然出来なくて投げたシリーズの話はやめてください。


それはそうと妹が引きつけ、私が隠れて、ファイアボールで倒す。

散々やってきたルーチンをすれば、あっけなくフォレストスライムは倒れた。

緑の触媒Iというものがドロップする。


「言うの忘れてたけど、次からアースバインド使ってからファイアボールしてー」


「りょーかいー」


私達は森の中へと進んだ。

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