ノーでゲームなノーのライフのあのシーン
チェスは適当なのでありえねえよという感想は受け付けません。悪しからず。
あと、刀の名前も架空のものです。真剣なんてリアルで使っちゃ、メッだよ!!!
「さて、始めようか?きみの性別が男だと分かったところで…。」
はあ、やっと始める。今度こそ、始まる。
え?どうやって分からしたんだって?脱いだ。もちろん上だけな?
下も脱いだと思った奴、ちょっと出てこい。俺が変態だと言いたいのか?全裸になってそれを見せて喜ぶ変態だといいてえのか?あ゛あ゛?
「【戦争ごっこ】スタート!!!先手は……僕からだ。簡単には負けないでね?」
ドクリと胸が高鳴る。勝負事は案外嫌いじゃない。チェスは得意なんだ。負けたことなんて一回もない。初めてやった時だって負けなかった。はは、俺のことをしっかりと楽しませてくれよ?
「ナイトf3へ。」
「ポーンd5」
「ポーンd4へ。」
「ポーンc6」
「ポーンe3へ。」
「ビショップf5」
「ビショップd3へ。」
「ポーンf6」
「…ナイトc3へ。」
応酬が続く。どちらも引けを取らない。さて、ここでこのゲームを盛り上げていこうか?このゲームの本当の意味を理解しねえとな。
「ポーンe5」
…動かねえ。捨て駒は使えねえっつーことだな。演技でもしてみるか…、暇だし…。
「……は?…んで、なんで動かねえんだよ!?バグか!?」
迫真の演技だろ?伊達に何年も、続けてねえんだよ。
「チッチッチ、言ったじゃないかこれはもう戦争だって!!!進んで捨て駒になる奴なんていないでしょ?」
こいつうぜえな。つか、ニヤニヤすんな。これが演技だとも知らずにバカなことだ。
「……クイーンe7」
「ふふふ、クイーンg1へ。」
………決まったマスしか動けねえのかどうか見極めねえと。後はどこまで自由が利くかだが…。
「……ビショップよ。貴様は簡単に倒れる奴ではないだろう?斜め一列に並んだ敵のビショップどもを倒して、戻れ。できるだろう?貴様はこの俺の誇り高き兵なのだから。が、無理ならばやめておけ。絶対に死ぬな。生きて我がもとへ来い!!!」
「了解しました!!!」
へえ、反応ありか。じゃあ、いっちょ戦争を始めましょうか!!!
「全軍!!!誇り高き僧侶に続け!!!後衛でありながら前に出て戦っている、勇気ある僧侶に!!!誇り高き我が軍のビショップに続くのだ!!!敵を切って、斬って、伐りまくれ!!!わが誇り高き軍の強さを見せつけるのだ!!!我らは最強なり!!!」
「我らは最強なりぃぃぃぃぃぃ!!!うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
うんうん、いい感じに士気が上がってきた。このまま押していく!!!
「うそ!?もう、見つけちゃったの!?じゃあ僕だって!!!全軍!!!彼の敵を討ち滅ぼせ!!!」
……バカだな。精神掌握術を知らないのか?まあ、俺もそんなには知らないけど…。
キィン!!!ガキン!!!バキッ!!!
「クイーン!!!ビショップを連れ戻せ!!!前に出過ぎている!!!ポーンよ!!!諦めるな!!!確かに相手は強いかもしれない!!!でも、1人が無理なら2人。2人で無理なら3人で!!!数の利で押し通すのだ!!!」
「ナイトはキングのもとへ!!!クイーンよ、敵のクイーンを打ってこい!!!ビショップ!!!敵は弱き兵である!!!さっさと討ち滅ぼせ!!!」
ふん、まだまだだな。俺も戦えるのか?まあ、やってみるか。これでも家では真剣をつかってたんだぜ?
「『命令だ:月夜時雨』」
チリン
ああ、この手に吸い付くような感じ。間違いない。すごいな、ここまで再現できるのか…。
「王!!!」
ナイトがここまで来てたのか…、でも、
「おせえ。この俺に敵うわけねえだろ?命令を聞くしか能のない犬なんざには、負けねえよ。俺も前線へ行こう!!!俺に続け!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
戦いは最高潮、クライマックスってな?そろそろ決着をつけますか。
「勝って!狩って!刈りまくれ!!!我らに敵う者などいないことを証明しようぞ!!!」
ってか、今思ったんだけど……なんか強くね?この兵士たち。たぶんポーンでさえレイドいけるぞ。そして勝てるぞ…。なんつー兵を作ってんだよ……。
「くぅ!!!クイーン!!!ナイト!!!ビショップ!!!僕を守れ!!!」
「……愚かな。」
ほんっとーにバカだ。こいつ。その行為が自らの首を絞めることが分からないのか?
「なっ!?何を言って…。」
「愚かだといったのだ。愚王よ。守られているだけで戦わず、兵を見捨てる愚かな王よ。玉砕だろうがあきらめずに立ち向かうのが、賢き選択だ。」
兵が揺れ動いているのが分からないのか?愚かな王になど誰も仕えない。
「……ふ、ふっははははははは!!!馬鹿だね!!!僕の罠とも知らずに!!!行け!!!」
……囲みか…。そんな程度、簡単なものだ。準備運動にもなりそうにねえな。
「馬鹿馬鹿しい。こんなものが罠だというのか?生温い。もっとしっかり考えろ。」
「なっ!?……もう、いいや。自分の考えだけで勝とうとしたけど無理みたい。『強制勝利』!!!」
――っ!?敵の強さが変わった!?クソッ!!!みんな混乱してやがる…。
「いったん引くぞ!!!戦略的撤退!!!」
チッッ、3倍は強くなってるな。
負ける未来しかねえ。詰みだ…。でも、そっから巻き返してくのが俺だよな?
胸が熱くなる。体が震える。絶望的状況、絶体絶命。絶対に勝てやしない状況。
「震えて声も出ないの?」
「ふっ…。くっ…。」
「もしかして、泣いちゃった?」
ニヤニヤとうぜえな。このガキは!!!
「ふっくっははははははははははははははははは!!!」
滾る!!!血が滾る!!!疼く!!!体が疼く!!!絶望的?敗北確定?知ったこっちゃねえ!!!ひっくり返してやるよ。全部……な。
「『反転』!!!」
クルリとひっくり返る。ドーピングしているものは、ないものに。してないものは、いるものに。数が減る。数が増える。さあ、白黒変わった。そっくり『ひっくり返した』。
今度は俺が攻め手だぜ?
「なっ!?何を……!?」
「ひっくり返しただけさ。ただそれだけ…。さあ、声を上げろ!!!足を鳴らせ!!!全軍突撃!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ふっ、これがホントの形勢逆転ってな?
「クフフフ!!!『朱に交われば赤くなる』!!!」
最悪だ。こんなんあるのかよ……。触れるだけで色が変わるなんて……。クソッ!!!どうしたら…。
「クフフフフフフ!!!あれあれ?さっきまでの威勢はどうしたの?」
「……最低な愚王だな。…全軍下がれ。俺がやる。」
「王!?」
やるしかねえ、まだ、まだだ、終わっちゃいねえんだ。やってやる。やってやる。俺は最強の王なのだから!!!
「ヒュー♪かっくいぃ!!!でもでも!!!流石に一人は無理じゃない?」
キン!!!キンキンキン!!!
「もうそろそろ、諦めちゃえば…?」
「………。」
キィン!!!カン!!!ドカン!!!
「頑張るねえ?バカみた……カハッ!?なんで……!!!」
「ふ、後方注意ってな?」
悲しいねえ?戦争ってもんにゃあ、必ず裏切りっつーもんがあるんだよ…。
それが、どんなに賢王同士だったとしたって、どっかで恨みは買ってしまってんだよ…。
「この勝負、我らの勝利だあああああああああ!!!皆の者!!!勝鬨を上げろおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!我らが勝者だあああああああああああああああ!!!」
やっぱりかっこいいよね「 」。
お気に入りは「知らねえぞです。」みたいに最後に「です。」を必ずつける子。
まじカワユス。




