エジプト留学編Ⅰ
エジプト留学編
翌年、エッセネ派の青年講師と、エジプトに一年間留学した。
エジプトでは、古代の神々の文献、古文書を学んだ。
特にイエスは、クラリオ神に魅かれたようだ。
『クラリオは ユートピアを造り、多くの人々に愛を説いた ・ ・ ・
愛を説いた・・・・多くの人を平等に愛し・・・分け隔てなく与え続けた・・・・
ん?でも・・王国1年目のお祝い祭りの時、独裁的支配の他国の王たちが結束し
国の外ににおびき出され、四方八方から大軍によってクラリオ軍は
全滅する・・・ 国に残った人々も皆殺しに・・・・
人類は いつの時代も 救世主を滅ぼすのか ・・・ 』
この頃のエジプトは、世界の中心的役割を担っており、ギリシャ哲学を始め
今では神話となっているオリンポスの神々の文献も、実在の人物として記載され残されていた。
イエスは文献を読んでいると、その書かれている人物の生涯を読み取ることが出来た
『 太陽神と言われる アモン・ラーは、シャチに似た飛行船に乗ってエジプトの地に降り立った
その飛行船は、ピラミッドの力で動いている この地にあるピラミッドの原型か・・・・ 』
イエスを覗き込むように少女が尋ねた
「随分と熱心に読んでおみえですね?」
優しい声に顔を上げると
真っ赤なカチューシャをした 愛くるしい少女が微笑んだ
彼女の胸には イエスとは違う アモン・ラーの文献を抱えていた
「あなたは?」
「私は ここの神官の娘で サリアといいます。」
「私は、イスラエルのナザレから来たインマニエルです。」
まあ~イスラエルから? ギリシャ語がお上手ですね
随分長い時間 考え込んでおられましたが?
アモン・ラー神はこのエジプトに文明をもたらした神様です
わたしの一番大好きな神様です
サリアはにっこりほほ笑んだ
一番大好きな神様・・・ですか・・・ エジプトの神々について、詳しいのですね。
いいえ、まだまだ、知らないことばかりです
少し聞いても宜しいですか?
はい?
エジプトの宗教の基本は、一神教ですか?多神教ですか?
そうですね~基本的には一神教です
宇宙を司る太陽神アモン・ラーを頂天として
様々な神々が役割を分担しているのです。トート神、ヘルメス神、オフェアリス神、イシス神・・・
なるほど アモン・ラーが頂天の神 ・ ・ ・
しかし、全てをお創りになった・・創造主という存在ではないのでは?
創造主?
イスラエルでは 創造主をヤハウェと呼んでいますが
エジプトでは、やはり・・・・アモン・ラーなのですか?
いいえ、創造主は至高神セオスです
至高神セオス?
確かそちらの地方での呼び名があったような ・ ・
確か ・ ・ ・
そう!エロヒムです!愛の神、創造主エロヒムです!
『エロヒム・・・・エローヒム・・』
イエスはエロヒムを心の中で呼んでみた
巨大な光りがイエスの心の中に顕れた
なんてパワーだ!魂が弾け出しそうだ!
あまりの光の強さにイエスは気を失いかけた
インマニエル!インマニエル?
青年講師が倒れそうなイエスを支えた。
我に戻ったイエスは、その場に座り込み、右手で大丈夫と手を振った
『なんて素晴らしい感覚、全てを包み込む愛の神・・エロヒム・・・』
深く呼吸をして、正気を取り戻したイエスは、辺りを見渡しサリアを探したが、
彼女の姿はなかった。
『彼女は?・・いないようだ・・・それとも初めからいなかったのか?・・・』
イエスは、後ろ髪を惹かれながら、この図書館を去った
イエス達に課せられた期限は一年であった
この間に、エジプトにある全ての図書館を訪問し古文書、
文献等の教学をクリアしなければいけなかった。
しかし、一年の月日は早くも過ぎ去った。
クムランでは長老達が出迎え、イエスの悟りの成果を確認した
「今回の教学の旅は、まだまだ初歩の初歩じゃ
これからが本当の修行に入っていくから心しておくように。」
エッセネ派の長老にイエスは釘を指された。




