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02話.流れて消えゆく初めての会話

眠くて、文章がおかしいかもしれません。

気になる部分があれば、修正致します。

ここは、大陸アルーファの外れにある小さな村。

ある時を境に、村に面した海には魔物たちが現れました。

村の外の平原では、魔物たちが徘徊し、村人たちを襲ってくる事もあり、人々は怯える日々を余儀無くされた村。

魔物たちに襲われるうちに、どんどんと人は減り、村は小さくなっていきました。

かといって、王都から離れたこの村は、魔物たちが出現する前からも、村の住人以外の出入りは少なかったのです。

平凡で、これといった特産品も無いこの村は、ローシャ村と呼ばれ、痩せた畑で芋類を育てて、のんびりと過ごす村人たちの憩いの空間でした。

元から住んでいた者の他には、残り短くなった余生を、のんびりと過ごそうとやって来る老人たちが、僅かに住んでいる程度で、学校すらありません。


そんなローシャ村は、大陸アルーファの中でも小さな村で、其々の家と畑がある程度の村でした。

ローシャ村の人々は、大自然の中で細々と畑を耕して、日々を過ごす毎日。

自然が豊かといっても、畑は痩せていて、育てられるものといったら大抵が芋類でした。

王都までには山があり、山まである平原は、昔は綺麗な花々が咲き乱れていましたが、今では花々の代わりに、一種異様な魔物たちが群れを成して、その面影は残ってはいません。




こんな辺境の村には、勇者なんてやって来るわけもなく、誰かの喋る声が聞こえることは皆無でした。

皆が皆、何を考えてどう行動を起こすのか…そんなのは、もうずっと前から決まっていて、今更それをどうとか言い出す事が出来る人も居ません。

でも、今日は違ったのです。


(今日もとってもつまらない…。)


ぽそりと小さく呟いたその言葉は、心で思っただけなのか、口に出してちゃんと喋っていたのか、本人にすらわからないほど弱々しい。

だが、よく分からないながらも、ハッキリと今までではあり得ないことが起こったことは確かだった。


そう呟いた少女の名は、ミリー。

このローシャ村の村娘だ。

胸下までの、綺麗なストレートの銀髪をしており、光を浴びるたびに、心地の良い光が溢れる。

前髪は綺麗に片目の目尻から、もう一方の目尻までを線を描く様に整えており、その下から覗く瞳は、真っ赤なシャンパンの様に潤んで弾ける様に光り輝いてている。

そんな溢れる綺麗な瞳を、ぷっくりとした涙袋が支えていて愛くるしい。

鼻筋も整っていて、小さいながらも、ツンっと尖っていてる鼻を、艶やかな桃色に染め上げた頬が押さえ込んでいる。

そして、瞳と三角形を描く様にしてある唇は、まるで熟れた果実の様にみずみずしく、ぷっくりとしていた。

其々のパーツが主張しているのにも関わらず、それは相乗効果のように整っていて、とても可愛らしい少女の顔をしていた。

年齢は12才くらいだろうか、小柄で華奢でありながらも、所々についた肉はマシュマロの様に滑らかで、ずっと触っていたくなる様な肌をしている。


「やっと…」


ミリーは嬉しさとも悔しさともわからない思いがこみ上げてきて、思わず言葉をもらしていた。

心が高揚したのを表すかの様に、頬は薄っすらと火照りだしている。


自ら喋る事を許された少女は、自分の今いるローシャ村を見渡した。

誰か他にも、ミリーの様に自分の意思を取り戻した人がいるかもしれない。

そんな淡い期待を胸に、一歩一歩思いを込めて歩き出した。

それは、ミリーの家から一番近い、隣のフェリーシャとアーサの家へと進んで行く事になる。




自分の畑で農作業をしていたミリーが、まず最初に訪れたのは隣のフェリーシャとアーサの家だった。

毎日を決まった時間で行動しているミリーにとって、たまに見かける事のある隣人は、唯一知りうる人物である。


(この時間なら、お家の中にいるはず…)


握りしめた拳を、優しく包み込む形の良い胸の上にのせて、ミリーは祈る様に目を閉じた。

そして、一息呼吸を整えると、右手で隣人であるフェリーシャとアーサの家の扉をノックした。

その音はリズムよく、木で出来た扉を響かせた。

少し待つと、奥さんのフェリーシャが扉を開けて、外で待つミリーを出迎えでくれた。


フェリーシャは30代前半くらいの女性で、アーサの奥さんである。

ふんわりとカールした髪が、きっちりおでこの真ん中で分けられていて、フェイスラインを隠している。

綺麗な頭の形を描く様に、首筋辺りまである髪の毛は、黄金に輝いていた。

切れ長の瞳とサッと通った鼻筋が魅力的で、知的な雰囲気を醸し出す翡翠色の瞳と、真っ赤な唇の色合いが、大人の女性を思わせる。


そんな切れ長の瞳が一瞬、ミリーを見た瞬間に軽く見開かれた気がした…が、もしかしたら気のせいだったのかもしれないと思わせる様に、フェリーシャは唇を動かせた。


「こんにちは、私はフェリーシャよ。

今は夫であるアーサの、帰りを待っているの。」


そう言いながら、フェリーシャのミリーを見る瞳には、心が篭っていない。

喋りかけてきた声も、台本を音読しているようで、ミリーの頭の中には入って来なかった。

でも、

希望を胸に、ミリーはフェリーシャの瞳を見つめながら、期待を込めて、その美声を響かせた。


「ミリーって言います。

フェリーシャさんたちのお隣の家に住んで居るの。

私の事を知っていますか?」


喋りかけながらジッと見つめるフェリーシャは、話を聞いているのか、いないのかわからない。

それを喋りかけながら見ていたミリーは、段々と首を傾げていく。


(…やっぱり皆が元に戻った訳じゃないのね…)


ミリーがそう決断したのを、肯定するかの様にまた、フェリーシャが喋りだした。


「こんにちは、私はフェリーシャよ。

今は夫であるアーサの、帰りを待っているの。」


その言葉はまるで、同じ言葉を返してくる人形に向かって、喋りかけている様で、期待で火照っていたミリーの頬は、だんだんとその熱を無くし、元の白さへと戻っていく。

足元を見ながら、両手を強く握りしめる。

ミリーの瞳には涙が溢れ出て、瞳の輝きをより一層際立ていた。


そうして、立ち尽くして言葉の出ないミリーを残して、開かれた木の扉が、ゆっくりと音を鳴らさない様に閉じていった。

音も無く閉じていく扉を、ミリーは雫で歪んだ視界にも関わらず、ひたすら眺め続けていた。

虹色の天災から初めての人との会話は、こうして涙と一緒に、流されていったのです。


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