第3話 しゃもじ侍、爆誕
ね
神界に来て数日。
市川真は、ゼウスのもとで“神器”の扱いを教わっていた。
だが――
真「いや無理だろこれ!!」
ドゴォン!!
放った攻撃は明後日の方向へ吹き飛び、神殿の壁に激突する。
ゼウス「センスはあるが、制御が雑すぎじゃな」
真「感覚でやれって言ったのそっちだろ!?」
うまく扱えない。
力はあるのに、使いこなせない。
真(……俺、ほんとにやっていけんのか?)
その時だった。
空に黒く破片が飛び散る。
――ズガァァァァァン!!!
空が裂けた。
黒い雷と共に、巨大な影が神界へと降り立つ。
「ぐわははははッ!!天界どもォ!!ぬるすぎんだよォ!!」
現れたのは、黒い翼を持つ異形の存在。
試験用の雑魚ではない。
“本物の敵”。
堕天兵――カイロス。
⸻
◆ 圧倒的な力
神界兵たちが応戦する。
だが――
ドゴォッ!!
一撃で吹き飛ばされる。
「うわああああ!!」
「くっ……強すぎる……!」
真(嘘だろ……レベルが違いすぎる……!)
ゼウスは動かない。
ただ、静かに見ている。
真「おいゼウス!!なんで助けねぇんだよ!!」
ゼウス「……見ておれ」
真「は!?」
その一言で、真は戦場の中心に取り残された。
⸻
◆ 逃げるか、戦うか
カイロスの視線が、真を捉える。
「ほぉ……雑魚が一匹、残ってるじゃねぇか」
真「っ……!」
足が震える。
逃げたい。
でも――
真(ここで逃げたら……一生モブだろ……!)
拳を握る。
真「……やってやるよ」
カイロス「ははッ!!いいねぇ!!」
突っ込んでくる。
ドンッ!!
一瞬で吹き飛ばされる真。
真「がっ……!」
地面に叩きつけられ、息が詰まる。
何もできない。
真(くそっ……強すぎる……!)
カイロス「終わりだ」
振り下ろされる一撃。
その時――
視界の端に、転がる“それ”が映る。
――しゃもじ。
真「……は?」
なんでこんなもんがあるんだよ。
でも――
真
⸻
◆ 神器真型
ギュッと握る。
ドクン――
何かが“繋がる”感覚。
キィィィィン!!
しゃもじが、黄金に輝く。
形が歪み、伸び、鋭く変わる。
刀。
いや――それ以上の何か。
真「……いける」
立ち上がる。
カイロス「は?それで戦う気か?」
真「うるせぇ」
一歩踏み出す。
真「――神器真型」
空気が震える。
真「しゃもじ刀・一閃」
⸻
◆ 一瞬の決着
ズバァッ――!!
光が走る。
一瞬。
本当に一瞬で。
カイロスの身体が、静かにズレた。
「……なに……?」
次の瞬間。
ドサッ――
真っ二つに崩れ落ちる。
静寂。
⸻
◆ ざわめき
「……は?」
「今の……なんだ?」
「しゃもじ……だよな?」
神界がざわつく。
そして――
「おおおおおおお!!!」
歓声が爆発する。
「やべぇ!!あいつ何者だ!!」
「しゃもじで斬ったぞ!?」
「意味わかんねぇ!!」
誰かが叫んだ。
「しゃもじ侍だあああああ!!」
真「……は?」
「しゃもじ侍!!」
「しゃもじ侍!!」
コールが広がる。
真「ちょっ……待て待て待て!!」
顔が一気に赤くなる。
真「ダサすぎだろその名前!!やめろって!!」
だが止まらない。
「しゃもじ侍!!」
「救世主だ!!」
真「誰が救世主だ!!俺はただの一般人だぞ!!」
⸻
◆ ゼウスの一言
その様子を見ていたゼウスが、小さく笑う。
ゼウス「……やはり、面白いのう」
真はしゃもじ――いや刀を見つめる。
真(……俺、やれたのか?)
まだ震えている手。
でも確かに、“敵を倒した”感覚が残っていた。
⸻
◆ ラスト
その頃――
神界の上空。
黒い雲の奥で、何者かが呟く。
「……見つけた」
「“創神型”……そして“黒き鍵の兆し”」
不気味な笑みが浮かぶ。
「面白い。遊んでやろう」
⸻
その日――
神界に、新たな“異物”が誕生した。
名は――
しゃもじ侍。
本人の意思とは関係なく。
ね




