舞台裏
(舞台は教室ではなく、謎のホワイトルーム。中央に円卓とソファ、軽食と飲み物。全員が制服姿でリラックスした様子で座っている)
有翔「みんな〜!第1章、おつかれさまでした〜!」
零士「おーっす!いや〜最後どうなるかと思ったけど、何とか完走したな!」
晴臣「うん、でも“何とか”って感じではなかったよね。結局、誰も救えてないしね!」
源氏「何で嬉しそうなんですかそれで」
大河「というか、古が“消える”演出とかマジでトラウマレベルだったんだが?」
レナ「すごい演技だった……。わたしも、消される役、頑張ったけれど……」
景國「ほほう……レナよ、我が魂が震えたぞ……貴様の“静寂なる死”こそ、真なる美であった……」
明臣「サタナエルくん、落ち着いて。でも今回のお話は本当に……切なかったですね」
鎌実「……なあ、有翔。お前、本当に“あいつ”が見えてたのか?」
有翔「う、うん……古くん、ずっと“いた”んだよ。でも、最後には……」
棗「存在していなかったのだろう。あくまで、幻想。だがそれでも、君にとっては“真実”だった。そういうことだ」
有翔「棗くん……ありがと……」
古「……おう、みんな。お疲れ様」
全員「って、うわぁぁああああ!? 古くん!? 幻想だったんじゃないの!?」
古「うん、俺も実は来られるとは思ってなかった。けど……“お疲れ様会”だけは別枠らしいな」
源氏「ずるくないですか?俺1章殆ど台詞無かったんですが」
景國「何を言う!我の方がずっと少なかったのだぞ!?」
源氏「アンタはその代わり一言一言にインパクトがあったじゃないですか」
鎌実「……ああ。なら代わりに“消えたかった”ってのか、お前」
源氏「それは丁重にお断りさせて頂きます」
宵子「あの……あたし、なんか出番多くてごめんなさい……」
将吾「そうだよね。アンタのメインシナリオじゃないのに多かったよね。無駄に。だからここではもう喋んないで」
宵子「ええ……!そんなあ……!」
全員「(笑い声をあげる)」
古「けどさ、結局俺は“本当にいなかった”んだよな。誰の名簿にもいない。記憶にもいない。
でも……有翔とレナが、俺を“いた”って思ってくれた。それだけで、ちょっとは報われた気がする」
レナ「……本当は、もっと話したかった」
有翔「ぼくも……ほんとは、もっと“いっしょ”にいたかった」
(ちょっと静まり返る雰囲気)
晴臣(拍手)「はいっ、それでは空気が重くなってきたのでここで切り替えて〜! “第1章 名演技賞”を発表しようじゃないか!」
将吾「え、何それ。僕聞いてないよ」
晴臣「はい、第1章名演技賞は……楪 有翔くん! 感情を込めた泣き演技と、幻想を信じ続けた心で見事受賞だよ!」
有翔「ええええ!? ぼく!? や、やったぁ……けど、うぅ……ぼく泣いてただけだったような……」
古「でもその泣き顔、俺は何度も救われたよ。ありがとな」
レナ「……有翔の泣き顔、好き」
有翔「レナちゃん!? 恥ずかしいってば〜〜〜!!」
黎一郎(※映像越しに登場)「……第1章、おつかれェ」
全員「うわ、出たああああああ!? 黎一郎!? いやてか今回、いなかったよね!?」
黎一郎「いや“いた”けどな。空席に。ま、出番は第2章からだ。震えて待ってろ」
レナ(ぽつり)「……“存在しない誰か”は、まだ教室にいる」
全員「意味深ーーー!!」
皆さん、お疲れ様でした!!
第2章「壊れたヘッドフォン」に続く……