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52 状況を整理しましょう

僕「当面は、桜井先生が来れそうなときはドライブデートを優先的に考えましょう。来れないときはまた何か考えます。一対一でおうちデートするのは時期尚早に感じますけど、たとえば、3人くらいで誰かの家に集まってホームパーティー的なことしたりしても良いですし。家で映画でも見て、ゲームしたりして、まったりするのも良さそうです」

桜井先生「そして最後には、一線を越えるのだな」

僕「越えません!」


 一対一ならそういう発想も分からなくはないけど、3人くらいでデートしてる状態で事に及ぶってどういうことだよ。僕には到底理解できない境地だ。AVじゃないんだから。

 かくして、今後のデートは遠出やホームパーティーも視野に入れて臨むことが決定したのだった。



「しかし、デートの行き先がネタ切れしかけてきたってことは、僕もそろそろ態度をはっきりさせるべきなのかな……」


 会話が一段落したところでスマホを机に放置し、僕は自室のベッドへ横になった。

 さほど行きたい場所もないのに、ダラダラと関係を長引かせ、ヒロインたちを連れてあちこちへ出かけるのは正しいことなのか。いまひとつ、自信が持てない。

 ここで僕の、各ヒロインに対する現在の印象を整理してみよう。

 出会った順番でいこう。まず、立花先生。彼女は可愛い。小柄でいちいち愛くるしい。可憐すぎて、何なら少し前までは「立花先生しか勝たん」と思っていたまである。


 ただ、重大な問題が一つ。海水浴のときの日焼け止め然り、シースルーゴンドラ然り、立花先生と一緒にいてもそういうムードに全くならないのだ。桜井先生じゃないけれど、いつまでも一線を越えない、プラトニックな関係のまま終わってしまいそうな気配がそこはかとなくある。本人は悪意なくやっているだけに、惜しい。ヒモにしようとしてくる桜井先生や、不意打ちでキスしてきた星加さんも困りものだけど、逆に全くアプローチがないのもそれはそれで困るのだ。この問題さえ解決できればほとんど言うことなしだが、なかなか前途多難である。

 加えて、これは些細な問題かもしれないが、めちゃくちゃ天然なのも玉に瑕だ。……いや、最初の頃は純粋に「天然で可愛い! やばい、好きかも!」としか思わなかったんだよ。けど、天然すぎてツッコミ役が必須になり、コミュニケーションに若干の支障が出るレベルだとまた別問題だろ? さっきの、ホテル関連のトークみたく。

 デートの度に内面的なことを教えてもらおうと試みてはいるものの、正直あまり踏み込んだことは聞けていないのが現状だ。分かったのは、好物と寝るときの習慣くらいか。



 次に、湯川栞。彼女は人間関係の構築に秀で、機転も利く。僕も何度も助けられた。今でこそアプリのトークルーム内で他のヒロインとバチバチにやり合っているし、星加さんを玩具にしているけれど、湯川さんが本気を出せば大抵のトラブルは解決できる。あれはあれで優しいところもあるのだ。

 だけど、何と言っても性格が悪すぎる。本当にこれに尽きる。性格さえ良ければ、立花先生に勝るとも劣らない絶世の美女になり得るのに。いや冗談抜きで。

 あと、ここだけの話、4人のヒロインの中で一番スタイルが良いのは湯川さんなんじゃないかと睨んでいる。なんか全体的にめちゃくちゃムチムチしてて、出るとこ出てるし。湯川さんの体操服姿はかなりの破壊力で、体育の授業のたびに目のやり場に困るほどだ。


 そして、桜井先生。凛々しくてクールで、自分の軸をしっかりと持っている女性だ。松浦城デートのときは人生の先輩としてアドバイスをくれたりと、僕自身、桜井先生にはとてもお世話になっている。頼れるお姉さんって感じ。

 クセが強いヒロインたちの中ではかなり良識がある方で、桜井先生がいなければあのトークルームはまともに機能しないんじゃないかと思うときもある。

 地味に誘惑してくるのと、隙あらばヒモにしようとしてくるところだけが減点ポイントかな……。積み立ておっぱいとかいうパワーワードを生み出したのは忘れられない。まあ、星加さんのように実際の行為に及ぼうとはしてこないし、本人にそういう経験が豊富なわけでもないのが救いか。

 エロキャラだけどエロ経験がないのは、割と斬新なキャラ設定かもしれない。何そのギャップ萌え。いざエロいことをするとなったら、超絶恥じらうやつじゃん――いや、しないけども。



 最後に、星加さん。派手な髪色のせいで色物キャラっぽく見えがちだけど、顔立ちは普通に可愛いし、もし黒髪だったらすごく清楚な印象になるんじゃないかと思う。言動もゆるふわ系で、正直、結構癒される。笑うと目が細くなるのも良い。湯川さんにいじめられて(?)いるところを眺めていると、薄幸の美人という言葉がよく似合う。押しに弱そうなタイプ。

 でも、急にキスして迫ってきたときは戸惑った。何考えてるんだこの人、とも思った。また、25歳独身実家暮らしフリーターなのがステータス的にかなり残念だったりもする。もし星加さんとお付き合いすることになったとして、僕の両親が交際を認めてくれるかどうか際どいラインだ。

 まあ、そうした諸々の要素が男性の庇護欲を煽ってくるので、あながちマイナス面ばかりでもない。現に、僕も「養ってほしい」みたいなこと言われたし。

 たまにグイグイくることはあるものの基本的には受け身なので、肉食系女子が多い女性陣の中では割と大人しい方なんじゃなかろうか。とりあえずは、いじめに負けずたくましく生きてほしい。7歳下に言い負かされていたら、人としての尊厳を保てない可能性がある。


 うん。こうして整理してみると、どのヒロインも魅力的だけれど、必ず一つは残念なポイントがあるな。普通に考えれば「初志貫徹で立花先生一択!」となりそうだが、本当にそれでいいのかと悩む自分もいる。

 桜井先生の教育実習は終わった。うちの高校も文化祭などの主だった行事を終えて、僕たち三年生はいよいよ受験シーズン真っ只中へと突入していく。それに伴って、僕とヒロインたちとの物語もより一層加速していくのだった。


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