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47 オンラインデート

星加さん「え~? でも、井上君が口臭が気になるって言うのなら、無理に会わなくても良くない?」

栞「何でよ。ラーメンでニンニク臭くなるからって、そんなしょうもない理由でデートをなしにされたらたまったもんじゃないわよ。もしそれがまかり通るなら、『美容室に行ったけどなんか思ってたのと違う髪型になった』って理由で、デートすっぽかしてやるわ!」

僕「いや、それはむしろデートに来てほしいだろ。髪型がいまいち決まらなくて恥ずかしがってる女の子ほど、可愛らしいものはないぞ」

栞「そ、そう……? そうなのね。ふーん、良いことを聞いたわ!」


 照れ気味に返してくる栞。まさか湯川さん、わざと変な髪形で来るつもりじゃないだろうな。


星加さん「むむーん。そういうものなのかなあ。私はただ、キスするときに口臭が気になると問題アリかなって思っただけなんだけど。ほら、湯川ちゃんによると皆も井上君とキ……」

栞「星加先輩、そういうのをあえて言葉にするのは無粋ってものですよ」

星加さん「ご、ごめんなさいいいいいっ⁉」


 立花先生と桜井先生が既読を付ける前に、慌てて送信済みメッセージを削除する星加さん。ああ、危なかった。前回、栞と結託して星加さん相手に一芝居打った影響がモロに出てしまっている。

 少しして、立花先生と桜井先生もトークルームを見に来た。



立花先生「じゃあさ、リモートデートしようよっ!」

僕「リモートワークみたいに言わないで下さいよ。第一、楽しいんですかそれ」


 そもそも、どうやってリモートでデートするのかも想像がつかない。VRゴーグルとか装着してするんだろうか。


桜井先生「しかし、私もデート中止には反対だな。来週の火曜には私の教育実習期間も終わってしまうというのに、直前のデートを放棄とは何事だ。デートの順番的にも、次は貴様と立花先生と私でどこか出かける感じになりそうだったろう。何なら、私がラーメン屋に同行しても構わんが」

僕「え、先生も来るんですか? 結構ボリュームありますし、うちの学校の生徒もたまに来てるので、僕と一緒に行ってるのを見つかると若干面倒くさそうですけど……」

桜井先生「そうか。ならば仕方ない。貴様にラーメンをテイクアウトしてきてもらうまでだ」

僕「それがテイクアウトやってない店なんですよね……」


 仮に持ち帰りOKだったとしても、あの山盛りトッピングをどうやってテイクアウトするのか、という問題はある。


星加さん「ん~。ではでは、皆でオンラインゲームをするのはいかがでしょうか?」


 議論が行き詰まりかけたそのとき、彼女が名案を出した。


星加さん「5人チームで戦うFPSゲームを、ちょっと齧ってるんですけどねえ。これを皆で一緒に、それぞれのご自宅から参加していただいてプレイするのはどうでしょう。個人的には、皆で楽しめて、私のゲーム実況配信のネタにもなって一石二鳥って感じなんですけど~」



 誰も反対しなかったので、採用。

 土曜日の午後、僕たちはFPSゲームにログインし、星加さんからの招待を受けて同じチームに所属した。僕は午前中に久々の二郎系ラーメンを堪能していたので、満腹感で少し眠い。

 各々、適当にアバターの見た目をカスタマイズする。栞が一番胸の大きいモデルを選んだのを見て、桜井先生も対抗して同じのを選んでいた。お願いだからゲームの中でまで張り合わないでほしい。

星加さん「それじゃ、ルールを説明しま~す」

 チームのチャットルームで、一応リーダーを務めている星加さんからレクチャーがあった。プレイ中もこうしてボイスチャットできるので、迅速な意思疎通が可能になっている。


星加さん「このゲームは5人チーム×20組、合計100名のプレイヤーが、最後の1チームになるまで戦うというものですねえ。プレイヤーはゲームエリアの好きな場所ににパラシュートで降下し、そこに落ちている武器を拾って相手を倒します。落ちているのは武器だけではなく、防具や回復アイテムもあるので、上手く使いましょう~」

桜井先生「……? なぜ、ゲームエリア内に武器やら防具やらがばら撒かれているのだ?最初から各プレイヤーに配布しておいた方が、すぐにバトルの準備が整えられて効率的ではないか」

星加さん「分かってませんね~。散らばったアイテムをプレイヤーたちが競って奪い合う方が、エキサイティングじゃないですか」

桜井先生「なるほど。つまり、社会主義よりも資本主義の方が優れているということだな」

僕「絶対違うと思います!」

星加さん「で、武器は銃が主ですねえ。種類が色々あるんですけど、とりあえず射程距離が長いものを選んでおけば間違いはないです! 中距離射撃用の銃を一つ、長距離射撃用の狙撃銃を一つ持っておくのがベストかなあ」

栞「銃以外の武器はないの? 剣とか」

星加さん「あるにはあるけど、射程距離がめちゃくちゃ短いから、屋内での超接近戦とかにならない限り、まず使うことはないですねえ」

栞「そう言われると、逆に使いたくなってくるわね……あっ、調べたらこのゲーム、日本刀を装備できるじゃない! 決めたわ、私は令和の侍になる!」

僕「一応チーム戦なんだから、一人だけ変な武器で特攻するなよ! 人数が欠けると、単純に数的不利になる」


 この手のゲームは少しやったことがあるけれど、序盤で仲間の半数がやられたりすると、その後の逆転はかなり絶望的だった。簡単な話で、4対2になれば4の方がどう考えても有利だからである。 

 星加さんから基本操作を教えてもらい、皆が一通り射撃ができそうになったところで、マッチング開始。1分ほどで100名のプレイヤーが集まり、試合が始まった。


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