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傲慢薬剤師の好奇心  作者: 駄々 駄駄々
第一章 様々な出会い
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第九話 良い実験体


「てか普通は詠唱なしじゃ魔法を放てないんだなァ、いいことを教えてくれてありがとなァ」


「キミに感謝されても全く嬉しくないネェ」


 一体どうするかネェ、こいつは先程"真似"と言ってあの謎の液体を三種類飲んだ後に攻撃系の魔法(マジア)を使えるようになったネェ、あの謎の液体は一体何なんだネェ?


「これじゃあ生半可な攻撃じゃ全く効かないみたいだなァ、ならこれはどうだァ?」


 あいつがそう言った瞬間、上空からとんでもない数の雷が降り注いできたネェ、


「なんだネェ!?この数は!」


 普通の雷雨(トロボアダシューヴァ)じゃ考えられない数の雷が降り注いできたネェ、この数は魔法壁じゃ完全には防ぎきれないネェ、我は魔法壁を展開しながら移動して避けたネェ、しかしあまりにも雷の数が多すぎるネェ、流石の我も避け切ることができないネェ。


「雷が当たっても一瞬で回復しちまうなァ、これじゃあ拉致があかねェなァ」


「あまり我をなめるんじゃないネェ!」


 我は雷の間を潜り抜けて手の爪をナイフのように変形させ、あいつに急接近したネェ。そして手を振りかざしたがあいつは当たり前のように我の攻撃を回避したネェ、我は更に連続で手の爪で攻撃したネェ。しかしやはり掠りもしないネェ、能力(キャパシティ)上昇(クレシェンテ)で反応速度をバカみたいに上げているみたいだネェ、


「すごいスピードだなァ、そこそこ反応速度を上げてるのにギリギリだなァ!」


「余裕にしていられるのも今のうちだネェ!」


 我は急に速度を上げて攻撃したネェ、そうしたらあいつの頬を少しだけ掠ったネェ、一瞬だけだがかなり速度を上げたはずなんだけどネェ、まさか頬を掠るだけで済まされるとはネェ。そして更に攻撃をしようとした次の瞬間、


「そろそろ飽きてきたなァ、」


 そう言うとやつは攻撃をしていた我の手首を掴んだネェ、我は嫌な予感がして手首をちぎってすぐさま離れようとしたが間に合わなかったネェ。やつは我の腹に手を当てて豪雷(トロボアダ)を放ったネェ、次の瞬間今まで感じたことのないような痛みが体の中に走ったネェ、


「アバァ…」


「どんなに早く再生しようが痛みは消えないよなァ?なら地獄みたいな痛みを何回でも与えることだって可能だァ」


 そしてあいつが魔法を放った後我を殴り飛ばしたネェ、とんでもないパワーだネェ、また肋骨が粉々になってしまったネェ。まぁ我の超能力(ソブレナチュラル)で一瞬で回復するけどネェ、しかし少しまずいネェ、確かにあいつの言うとおり一瞬で回復はするが痛みがないわけではないネェ。このままじゃ拷問じみた攻撃をされてしまうネェ、


「さぁ、もっと楽しもうぜェ?魔王四天王直属配下の一人、ジン=マコモさんよォ?」


「はぁ…仕方ないネェ、我も誇り高き魔法師(フェイチセイロ)の一人だからこの魔法は使いたくなかったんだけどネェ」


 そう、今から放とうとしている魔法は魔法師にとってタブーとされている魔法の一つだからネェ、だけどもう今は誇りなんてどうでもいいネェ!我は今このクソ野郎をぶっ殺すことにしか興味ないネェ!


「閉じ込めろ、閉鎖空間(エスパソフェチャード)


「ん…?」


 我がこの魔法を唱えた瞬間、我とあいつは別の空間に強制的に移動したネェ


〜〜〜


 気がつくと俺の目の前にはやつと真っ白な空間が広がっていた。一体何なんだァ?範囲は大体50m×50mくらいの空間だなァ、


「閉鎖空間にようこそだネェ」


「なんだァ?ここは」


「一人の魔法師としてこの魔法は使いたくなかったんだけどネェ、キミにはこの魔法を使わないと勝てそうにないからネェ」


「閉鎖空間ねェ、こんなところに連れてきたって俺には勝てると思っていたのかァ?」


 俺はやつに向けて魔法を放とうとした。しかし魔法を放つことができない、なんだ?一体全体どうなっているんだァ?


「この空間では魔法が一切使えなくなるんだネェ、もちろん我も含めてネェ、だから使いたくなかったんだだよネェ」


「なるほどなァ、でもそれじゃあお前のお得意の魔法も使えないじゃねェか」


「そうだネェ、でも魔法以外の攻撃なら使うことができるんだネェ」


 やつがそう言うとやつの手の爪がナイフのように鋭くなった。なるほどなァ、魔法が全く使えない空間だと俺が真似した魔法が一切使えなくなるってことだな、つまりあの便利な能力(キャパシティ)上昇(クレシェンテ)が使えなくなるってことかァ、


「さてこの状況、キミはどうするんだネェ?キミは今能力上昇や雷雨を使うことができないネェ」


「魔法師のくせに魔法を使わずに戦うんだなァお前は、魔王四天王直属配下の一人とほざいてるんだしもっと魔法に誇りとか持ってると思っていたがァ、お前が持ってるのは"埃"みたいだなァ、グアハハハハハハ!」


「やっぱりキミはイライラさせるのが得意だネェ?」


 とりあえず軽く煽ってみた。そうすると予想どおりやつは激昂してこちらに向かってきた。しかし今のままじゃ、まぁ一瞬で殺されてしまうなァ、でもこいつは運がねえなァ


「お前は面白くて良い実験体だなァ、わざわざ俺の有利な状況で戦ってくれるなんてなァ、ケッケッケッ」


「お前が有利だとネェ?確かに我も魔法を使うことができないが我は近接戦もできるんだネェ、それに比べて君はどうかネェ?そんな軟弱な体じゃ一撃で死んでも全くおかしくないネェ」


「あーでも魔法で実験できねェのはつまらねェなァ、それにあの方法だと絶対勝っちまうし戦いが戦いじゃなくなるんだよなァ」


 そう、俺は本来は魔法を使って戦うわけじゃねェ、俺は薬剤師だからなァもちろん薬を駆使して戦うんだよなァ、まぁでもこの薬を使った戦い方だと絶対勝っちまうから戦闘の面白みが無くなっちまうんだよなァ、それに今俺は魔法を研究したいんだよなァ。


 「ここじゃあ俺の攻撃手段は"毒"しかないじゃねェかァ」


「毒だとネェ?ここじゃ魔法は使えないと言ったネェ、毒系の魔法も使えるわけがないんだネェ」


「お前が想像してる毒じゃねェと思うが魔法の毒も気になるなァ」


「遺言はそれでいいのかネェ?」


 そう言ってやつは俺に向かって高速で突進してきた。俺は颯爽ととある薬を生成して地面に割った。薬が入った瓶が割れた音が響いた瞬間やつは地面に倒れた。


「ガバァ…(なんだネェ、頭が揺れているみたいだネェ、それに平衡感覚が狂って全く動けないねェ…)」


「この薬が一ミリでも体内に入ったり肌に触れたりすると平衡感覚が一瞬で狂って動けなくなるんだァ」


「なるほどネェ…だから魔法を使ってすらいないのにこんなことができるんだネェ…」


「俺が毒を使うのを躊躇(ためら)うか分かるかァ?理由は2つだァ、1つ目は単純にすぐ勝てるからつまらねェってこと、そんで2つ目は…まァここなら影響は出ねェが薬の範囲は俺でも制御できねェ、だから俺と敵以外の誰かがいたら使えねェんだよ」


 まァでも、ここは2つ目のデメリットを気にしなくていいってのがここのいいところだなァ、てかこのままずっと動けねェ状態にするのもつまらねェよなァ、俺は解毒剤が入っている瓶を割った。


「ん?…なにが起きたんだネェ?急に動けるようになったネェ、まさかこの毒を解除したのかネェ?」


「あァ、このまま動けないお前にトドメを刺してもつまらねェからなァ、それにもっといろんな薬も使いてェしァ」


「もっといろんな薬を使いたいとネェ?もうお前に薬を使わせるわけないネェ!」


 やつはそう言った瞬間一瞬で俺との距離を詰めた。これは避けられねェなァ、今は能力上昇も使えねェし避けることもできねェ、そしてやつは俺にナイフのように尖った爪で俺を切り裂いた。しかし切り裂こうとした爪で俺が傷つくことはなかった。


「なんだネェ!?なぜ我の爪がお前の体を通り抜k……」


 やつは目の前の光景を見て息が詰まっているように見える。まぁ無理もないかァ、今あいつの前に映っているのは俺が何百体も立っている光景が見えているんだろうなァ


「お前の目の前に映っている光景はなァ…」


 俺が優しく説明してやろうと思ったがァ、やつは次々と幻覚の俺に攻撃していっている。俺は大人しくさせるために軽い麻痺毒でやつの体を麻痺させた。体を動かせなくなったあいつの顔は実に滑稽だなァ、まぁ目の前に俺が何百体もいる光景が見えているなんて軽く頭おかしくなるよなァ


「まァお察しの通り今お前の目の前に映っている光景は薬の効果だァ、まぁ簡単に言うと幻覚作用がある薬だァ」


「おかしいネェ…いつ割ったんだネェ…


「さァなァ、いつ割ったんだろうなァ?ククク…」


 軽い麻痺毒程度なら手のひらより小さいサイズで生成して握って割ればいいだけだから分かるわけねェよなァ、まぁあくまでも軽い麻痺毒だからやつはすぐに立ち上がった。


「よく立ち上がったなァ、でも今俺は何人に見えているんだァ?」


「キミは本当にめんどくさいネェ…しかしキミは一体どうやって我を殺すんだネェ?我の回復速度は化け物(フェイチセイロ)内でもトップだネェ、キミなんかが我を殺せるのかネェ?」


「まァ、このままじゃァお前を殺すことはできねェなァ」

 

 確かに今使ってる毒じゃァ殺せるわけねェ、まぁ"今使ってる毒"に限りだけどなァ、やつは先程のように幻覚の俺を次々と切り裂いている。こいつはしらみ潰しに攻撃するしか脳がねェのかァ?正直今すぐにでも殺そうと思えば殺せるが、それじゃあつまらねェ。俺はやつから少し距離を取ってとある薬を生成した、まぁ薬を生成したら本物だってすぐバレちまう、だから距離を取ったんだよなァ。そして俺はすぐさま薬を割った。 


「早く死ぬn…」


 やつは何か言おうとした瞬間地面に転がった。俺に向けてなにか言おうとしているみたいだが話さずに地面をジタバタしている。


「その姿滑稽だなァ、ギャハハハハハ!まぁ無理もねェかァ、その薬はなァ体のさまざまな部分を動かすときの脳信号を狂わせる薬だァ、右手を動かそうとすれば首が動いたり、右足を動かそうとしても瞼が動いたりなァ」


 そして俺はやつに近づいた。しかしやはり俺の作る薬は最高だなァ、今の所成功ばかりだなァ


「クックック…グアハハハハハハハハハハハハハ!」


 俺は高笑いした。なにもできずに這いつくばっているあいつは悔しそうだなァ、しかしこの空間からは一体どうやって出ればいいんだろうなァ、やっぱりこいつを殺さないとダメなのかァ?俺が考えているとき右足に痛みが走った。俺は咄嗟に足の方を見てみるとなんとやつが鋭い爪で俺のふくらはぎを抉っていた


「痛ェなァ、クソ野郎」


 俺はすぐさま離れようとしたが右足の腱も切れているせいで中々離れることができない、こいつこの短時間で体の動きの狂いに慣れやがったなァ、そしてやつはすかさず俺の右足を切り落とした。俺は手を駆使して離れることはできた。


「酷いやつだなァ、足を切り落とすなんてよォ」


「…(ざまぁみろだネェ、早く他の部位の動かし方も理解してあいつを更にズタズタに切り裂かないとネェ」


 こいつのことだしなァ、後3分もしたら慣れるだろうなァ、てか右足がクソ痛ェなァ、まぁ足が切り落とされたってくらいならすぐ回復するけどなァ。俺は即座に回復薬を生成して飲んだ、無論一瞬で左足が完治した。


「……は……あ……?」


「お、もう生後10ヶ月くらいの赤さんくらい話せるくらいになったのかァ、中々やるじゃねェかァ」


 流石魔王四天王直属配下の一人と褒めてやりたいところだが、てか魔王四天王直属配下の一人って地味に長げェな、安直だが魔四直って呼ぶとするかァ。


「な……ん………が……(なんだネェあの再生能力は、足を欠損したのに一瞬で回復するとはネェ、我と同等レベルの再生能力だネェ)」


「なに驚いてんだァ?お前と同じくらいの再生能力ってだけだろォ?」


「ク………ソ………が……(これはまずいネェ、腕は動かせるけどまだ足が動かないネェ…)」


「そろそろお前にも飽きてきたなァ、それじゃァフィナーレといくとするかァ」


 俺はそう言って黒みがかった紫色の液体が入っている薬を生成した。さて、こいつはこれを耐えれるのかどうか見ものだなァ、クックック


「な………ん………だ………」


「なんだ?かァ、自分の身で確かめたらどうだァ?」


 そして俺はこの瓶を地面に向けて投げつけた。すると次の瞬間やつの体がみるみる黒ずんでいき苦しみの声を上げながらまともに動かせない体をジタバタ動かしている。


「ギャハハハハハハハハww!なんだよその動き方はァ!お前は陸に打ち上げられた魚かなにがなのかァw!」


「ガァァァァァァァァァ…(なんだネェこの薬は、体全身が一気に黒く蝕まれていくネェ、再生のおかげで死にはしないけど再生のせいでこの地獄のような痛みがずっと続くネェ…)」


「お前は一瞬で再生しちまうからなァ、なんならその再生能力を利用させてもらったぜェ?」


 この薬は身体中の細胞をじわじわと壊死させる薬だァ、まぁ本来なら壊死させる速度はあんまり早くないんだけどなァこいつの再生力は中々えげつないからなァ、一瞬で壊死させずに更にはギリギリ再生しきれないくらいの配合にしたからなァ、しかも壊死した部分は地獄みたいな痛みに襲われるんだよなァ


「配合するの地味に苦労したんだぜェ?感謝してこの毒を味わってくれよォ?ギャハハハハハハ!」


「うがァァァァァァァァ」


「お前なァ、ジタバタ動くのは面白れぇこどよォ、叫ぶのはウルセェからやめてくれねェかァ?キシキシキシw」


 さァて、このままじわじわと死んでく姿を見るのも悪くねェがァ、せっかくだし他の薬も試してみるかァ、俺は更に薬を生成した。そして俺は即座にこの薬を割った。


「ぐがァァァァァァ…ガッ…」


「お前痛いからって暴れすぎだろォ、ほら自分の腕を見てみろォ、真逆に曲がっちまってるぜェ?」


 この薬は体内の骨の骨密度を極度に下げる薬だァ、この薬を吸っちまったら少し動くだけでも骨が容易に折れちまうからなァ、あんなに激しく動いたら一瞬で全身の骨がバラバラになっちまうなァ


「こ……う……さ……だ………」


「あァ?降参だァ?」


「たす………け…て……くれ……」


「クックック、仕方ねェなァ」


「ガッ………(もしかして助かるのかネェ?こいつ思った以上に甘いやつなのかネェ?)」


 この言葉に対しての答えはもちろん決まっている。俺はできるだけ優しい顔でこいつに近づいた。そうするとあいつはだんだんと希望が見えているような顔になっている、マジで滑稽だけなァ。そしてもがき苦しんでいるやつの横でしゃがんだ。そして俺は薬を生成して悪魔のような笑顔でこう言った。


「助けるかよヴァァァカがァ!グアハハハハハ!」


「え…………」


 俺はやつの頭を掴んで手に持っている薬を無理矢理口に流し込んだ。やつは抵抗しようとしているがそんな体で抵抗できるわけねェよなァ?


「ギャハハハハハハハハハハ!」


 やつが薬を飲み込んだ瞬間、やつの体の中でブチっという音がした瞬間やつは動かなくなった。この薬は直接飲ませないといけないのが面倒だがこの薬を飲み込んだら最後、飲んだ対象の生命活動で必要な部位を一瞬で滅することができる。この薬も成功だなァ、やはり俺の薬の調合には1ミクロも狂いがねェなァ


「ギャハハハハハハ!実験成ッ功ッ!」



 


 


 




 

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