第八話 希望?
「……」
「さーて、イライラの元は死にましたネェ」
私のせいだ、私のせいだ、私が助けようと近づいたせいでお客さんは死んでしまった、本当に余計なことをしちゃった。どうしよう、どうしよう…なにか打開策は、
「後はアナタだけですネェ、あなたを残したのは理由があるんですネェ」
「…」
「我がここにきたのはあの邪魔なやつが死んだっていうのとネェ、とある物を探してるんだネェ」
今私は完全に絶望に苛まれていてやつの話が全く頭に入ってこなかった。
「ふむ、壊れてしまったのかネェ?ならあいつみたいに"道具"になってもらうとするかネェ」
やつがゆっくりと近づいてきた。道具になってもらう、多分戦意喪失した相手を強制的に支配下に置ける魔法、失戦支配だろう。戦意喪失…私が戦意喪失しちゃったらお兄ちゃんや集落のみんなが皆殺しにされてしまう、そんなの許せない、許せるわけがない。私は立ち上がってやつと向き合った。
「おや?まだ立ち向かう気かネェ?君も中々しつこいネェ?」
「みんなは…私が守る…」
「はぁ、君もめんどくさいタイプだネェ、言っておくゲド君にはもう希望なんてないんだネェ、燃えろ、炎」
やつは話終わりに炎を飛ばしてきた。傷だらけの私を倒すのは基礎魔法で十分ってことね、悔しいけどあながち間違ってはいない、私は即座に魔法壁を展開するけど防ぎきれなかった。私は反動で火傷を負いながら後ろに飛ばされた。私は立ち上がろうとした瞬間、なぜか手と足が動かない、私は腕と足を見てみると魔想でできた鎖に繋がれていた。まずい、この魔法は、
「この魔法は恐怖鎖、恐怖を感じた相手の手足を鎖で繋いで動けなくできるネェ」
やばい、これじゃあ動けない。やつはさっきと違って颯爽とこちらに近づいてきた。すぐに距離を潰してこの鎖をどうやって解くのかを考えさせてくれる時間すら与えないつもりだね、
「さーて早めに終わらせましょうかネェ」
やつの手の爪はナイフのように鋭くなった。魔法壁が意味をなさない近接の物理攻撃で確実に私を殺すつもりなんだろうね、もうこうなってしまったら私に打開策なんてあるわけない、
ごめんなさい、集落のみんな、お兄ちゃん、
そしてお客さん、結局守れなかった
私が気絶しそうになった次の瞬間、
「グハハハハハハハ!」
突然、お客さんが倒れている方向から笑い声が聞こえた。この声は…もしかしてお客さん?いや、流石にないよね、そして私は笑い声が聞こえる方向に目を向けた。
「お客…さん…?」
「はぁ?なんだネェ?」
なんとそこには立ち上がっているお客さんの姿があった。私は驚いて声を上げそうになったがあいにくそんな体力は残ってない。お客さんが生きていたのは凄く嬉しいけどなんだか様子がおかしい、髪は灰色になっちゃってるしさっきからずっと笑っている。
「五月蝿いやつだネェ、少し黙ってほしいネェ」
やつがこう言った瞬間、お客さん?の笑い声が止まった。笑い声は止まったけどお客さんはずっとニヤニヤ笑っている、本当にどうしたんだろう、正直言ってちょっと不気味に見える。そしてお客さんは急に何かの飲み物を飲んだ、あれ?あの飲み物、どこから出てきたんだろう。お客さんがあの飲み物を全て飲み終わった後口を開いた。
「すまんすまん、少し記憶が戻って嬉しすぎて笑ってたんだよ」
「てかキミは殺したはずだネェ、なんで生きているんだネェ」
「今から死ぬやつになんで説明しないとダメなんだァ?時間の無駄だろォ?w」
お客さんはやつを挑発しなからこう言った。今から死ぬやつ、もしかしてやつを倒すつもりなのかな?いや、復活したとは言ってもお客さんがやつに勝てるわけがない。そして挑発されたことによってやつが怒った。
「今から死ぬだとネェ?無能のくせに調子乗るんじゃないネェ!燃やし滅っしろ!炎大砲」
やつは怒りを込めてお客さんに魔法を放った。私が放ったやつよりも格段に威力が高い。あんなのまともにくらっちゃったら生身の人間は灰になっちゃう。私はお客さんを守るために前に出ようとしたけどやっぱり鎖に繋がれていて動くことができない。
「お客さん!」
ドカーン
あの炎の弾丸は無慈悲にもお客さんに直撃して爆発音が響いた。結局私はただの臆病者だったってわけだね、この鎖がいまだに解けないってことは未だやつに恐怖してるってことになる、私はまたお客さんを守れなかった喪失感と恐怖でなにもできない自分が情けなくて涙が出てきた。
「所詮無能は無能…無様なもんだn……アババァッ」
急にやつがあさっての方向に吹っ飛んだ。すぐにやつがさっきまでいた方向を見てみると、なんとそこには無傷で立っているお客さんの姿があった。私はビックリしすぎて声すら出なかった。確かにやつの魔法はお客さんに直撃したはず、なのになんで無傷でいるの…?衝撃的なことが起こりすぎてもう訳が分からない
「これすげぇ便利だなァ、テーちゃん、この魔法見せてくれて感謝しかないぜェ」
「え…あ…」
私はビックリしすぎてまともな回答ができなかった。するとお客さんが「これ飲んでくれェ」とガラス瓶の中に緑色の液体が入ったものを渡してきた。
「え…なにこれ…」
「俺特製の回復薬だァ、めちゃくちゃ効くはずだぜェ」
これ回復薬なんだ。普通の回復薬はこんなに緑色じゃないんだけどなぁ、正直少し抵抗感はあったけど私は勢いに任せてこれを飲んだ。すると驚くべきことが起きた、なんと体の傷が一瞬で治った。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「どうだァ?めちゃくちゃ効くだろォ?」
私は驚きすぎて変な声が出た。回復薬って普通なら完治する時間は怪我によって変わるはず、あの怪我なら普通に45分以上かかってもおかしくない、なのにお客さんが渡してくれた薬は5秒足らずて体の傷が全て治ってしまった。わけがわからないよ。
「あァ、そうだ、この薬使ってあそこに倒れているマーサ族のみんなとビルガンさんを回復するといい」
お客さんがそう言うとさっきの緑色の回復薬を複数個渡してくれた。お兄ちゃんはともかく、あそこに倒れているみんなはもう…
「大丈夫だァ、この回復薬はなァ、心臓が止まってようが細胞が完全に死滅してないかぎり一瞬で回復できるからよォ、あー後回復したら全員避難所で待っててくれェ」
「わ、分かったよ」
心臓が止まっていても復活させることができるなんて無茶苦茶にも程がある。お客さんは一体何者なのかな?それに、全員避難所で待ってろってことは、もしかしてお客さんは一人でやつと戦う気なのかな、
「お客さん、一人で戦うなんて危険だよ!全員回復した後に私とお兄ちゃんも戦うよ!」
「何を言ってるんだテーちゃん?俺は戦いに行くわけじゃねェ、俺はただ実験しに行くだけだからよォ、危険なんてあるわけないじゃないかァ」
そう言ってお客さんは狂気じみた笑顔になった。さっきから思っていたけどやっぱりお客さんもなんだかおかしくなっている。私やみんなを心配してくれてるからいい人なのは分かっているんだけど、正直言って狂っているようにしか見えない、
「あァ、そうだ、言い忘れていたことがあるんだ」
「ん?言い忘れていたことって?」
「俺の名前はヤクサ、世界一最恐の薬剤師だァ」
急に名前を教えてくれて私はビックリした。名前は記憶喪失とかで忘れているのかな?って思っていたんだけど違ったのかな?そしてお客さん…いや、ヤクサ君はやつが吹き飛ばされた方向に向かって颯爽と走っていった。とんでもないスピードで一瞬で見えなくなってしまった。唖然としている暇はない、早くみんなを回復してあげないと、私はこうみんなを回復させるために各々倒れている場所に向かった。
〜〜〜
「…一体なにが起きたんだネェ?」
あいつの動き全く見えなかったネェ、それに一撃の蹴りでこんなところまで吹き飛ばされるとはネェ、とりあえず体をすぐ治して体勢を立て直すネェ、まさか1発の蹴りで肋骨が粉々になるとは予想外だネェ。まぁ我の超能力で一瞬で回復できるけどネェ、しかしやつは一体何者なんだネェ?さっきまでは無能のクズだったはずなのにネェ、
「けっこう吹き飛んだんだなァ、お前」
やつが集落の方向から颯爽と現れたネェ。この異常なまでのスピード、まさか能力上昇でスピードを上げているのかネェ?いや、そんなの普通はありえないネェ。なにも鍛えていない人間があんなスピードを出すと普通は体が負荷に耐えられなくなるネェ、それにあいつは魔法師の才能はないはずだネェ、才能がないやつが魔法を使うのは珍しくはないけどネェ、やつはさっきまでは魔法を使えなかったはずだネェ、
「キミ、なんでいきなり魔法を使えるようになったんだネェ?」
「なんで俺がお前みたいな雑魚に教えないとダメなんだァ?」
「我を雑魚と言ったのかネェ?魔王四天王直属配下の一人のこの我が雑魚だとネェ?」
この無能、我に一撃当てれたからって調子を乗ってるネェ、こんなに気分が悪くなったのは久しぶりだネェ
「貫かれ死せよ、槍雷」
我はやつに向けて槍雷を放ったネェ。無論一本のみ飛ばすわけではないネェ、我は即座に「複製」をして槍雷の数を50本に複製したネェ、しかしあいつは槍雷が飛んできてるというのに全く避けるそぶりすら見せないネェ。さっきの我の魔法も避けなかったしまさかこいつ、そして案の定槍は全て弾かれてしまったネェ。
「キミ、能力上昇で基礎防御力を上げてるんだネェ?」
「よく分かったなァお前、クックックッ…グアハハハハハハハ!」
「なに笑ってるんだネェ?」
「あーすまんすまん、お前はマジで良い実験体だから嬉しくて笑っちまったんだよォ」
こいつはなにを言ってるんだネェ?この我が実験体だと?こいつは本当に我をイライラさせるのが得意だネェ、
「あまり調子を乗るんじゃないネェ?一つ言っておくけどネェ、我は全く本気を出していないんだネェ」
「そうなのかァ、ならまだまだ楽しめそうだなァ!」
「本当にイライラさせるネェ、」
こいつとことん調子に乗っているネェ、少し格の違いを教えてやるとするかネェ。
「雨の如く降り注げ雷雨」
我は本気で魔法を放ったネェ、雨のように降り注ぐ雷は全てあいつに直撃したネェ、今はなった魔法はあのゴリラみたいなやつに放った時の威力の5倍だネェ。これならあいつも傷くらいは負うネェ。
「お前さァ、雷系の魔法は見飽きたんだよ、そろそろビルガンさんに放ったあの魔法を俺に放てよなァ」
やつは傷一つ負っていなかったネェ、こいつ一体どれだけ基礎防御力を上げているんだネェ。しかし、やはりこいつに生半可な魔法は全く効かないだろうネェ
「分かったネェ、ならお望み通り灰にしてやるネェ!」
あのゴリラみたいなやつに放った撃滅炎火の5倍、いいや10倍にして放ってやるネェ!なんならいっそのことあの集落ごと全て灰にしてやるネェ!
「$£*%>~~\%*+$+€€$£+>|^%#+=£$%}**€%%#*}*#%%*€^**>^%*€^#*+€%+$!**#*€*」
「その呪文のような言葉、とんでもない魔法がきそうな予感がするなァ!いいぞ!その強大な魔法を俺に放って俺を殺してみろォ!ギャハハハハ!」
「余裕ぶっているのも今のうちだネェ!お前もあの集落も全て灰にしてやるネェ!」
「あァ?あの集落が倍になったら困るなァ、ふーむ、あぁそうだ、なァお前、その後ろに出てきた5個のバカでかい火の玉を全て俺の手に向けて放てェ」
そう言うとあいつは我に手を向けたネェ、あいつはバカなのかネェ?この火の玉一つはあのゴリラに放った全ての火の玉の威力以上だネェ、それを全て手に向けて放て、だと?
「流石に調子に乗りすぎだネェ、キミはアホなのかネェ?この威力の撃滅炎火を全て受けるなんて我上司のアルベスト=ガーデン様さえ耐えれるか分からないネェ」
「そうなのかァ、ならそのネルベスト=ガーデンってやつも大したことなさそうだなァ」
「我上司を侮辱するのかネェ?あぁそうかネェ、キミは我の逆鱗に触れたネェ!もうあんなクソみたいな集落なんてどうでもいいネェ!さっさとテメェは灰になるネェ!」
我は怒りに任せてやつに撃滅炎火を放ったネェ。もちろんやつのお望み通り一点に集中してやつに放ったネェ。そして全ての炎の玉がやつに当たった瞬間、とんでもない爆発音が響いたネェ
ド カ ー ン
とんでもない爆破音が響き渡って辺りが煙で満たされたネェ、数十秒経って煙が晴れた後目の前を見てみると、目の前には爆破によってできた巨大な大穴ができていたネェ、こんなに威力を上げて撃滅炎火を放ったのは200年ぶりだネェ、見た感じ目の前には巨大な大穴だけであいつの姿はないネェ。残念ながら塵すら残っていないみたいだネェ。少し我も本気を出しすぎてしまったみたいだネェ、さて早くあの集落を壊滅させるとするネェ、しかし急に誰かが肩に手を置いてきたネェ
「とんでもない威力だったぜ、ほら見てみろォ、右腕が火傷でこんな色になっちまったぜェ」
「…は?」
我はすぐその場から離れたネェ、ありえない、ありえないありえないありえないネェ!なぜやつは生きているんだネェ、しかも右手が少し焼け爛れているだけでそれ以外は傷を負っていないネェ、
「一体どんな手を使ったんだネェ!いくら基礎防御力を上げれるからって魔法壁なしで耐え切るなんでありえないネェ!」
「ありえない?残念ながらありえるんだよなァ、しかし予想外だぜ、一応かなり基礎防御力はあげたはずなんだけどまさか火傷するとはなァ、やはりお前はいい実験体だぜェ」
仕方ない、ならもう一度撃滅炎火を放って次こそこいつを灰にしてやるネェ!我はまた唱えようとするが
「悪いけどよォ、もう攻撃系の魔法は十分だ。次はお前の防御力がきになってきたなァ、かといってまた蹴り飛ばすのはつまらねェなァ」
「なんだと?蹴り飛ばす以外にキミの攻撃方法なんてあるのかネェ?」
「あァ、もちろん、少し".真似"させてもらうとしよう」
そう言うとやつは手に何か液体が入った瓶を三つ出したネェ、なんだネェあの液体が入った瓶は、あいつは一瞬で瓶の中に入った液体を飲んだ。
「なんだネェ?それは飲み物なのかネェ?」
「説明なんでめんどくせェ、見て考えやがれェ」
するとやつは両手を我の方に向けてきたネェ、まさかあの構えは、いやいやありえないネェ、やつがあの魔法を使えるわけないネェ、そう思ったのも束の間、いきなり大砲炎を放ってきたネェ、我は即座に魔法壁を展開しようとしたが驚きもあり少し展開が遅れてしまったネェ、我に大砲炎が直撃したネェ、
「ありえないネェ、詠唱なしで魔法を放つなんて本来不可能だネェ…」
「なるほどなァ、その異常な再生能力がお前の超能力かァ、通りで蹴り飛ばしたとき肋骨折った感触あったのに平然としていたんだなァ、クックックッ…本当に面白いなァ!」
〜〜〜
「さっきの爆発音…お兄ちゃんのときの比じゃなかったね…」
「あぁそうだな、俺がくらったやつの10倍以上はあるな、お客さん大丈夫だろうか、」
「お客さん…いやヤクサ君ならきっと大丈夫だよ」
今ここにいる私たちはヤクサ君が勝利するのを祈ることしかできない、心配だけどきっとヤクサ君なら勝ってくれるって信じてる。集落の危機なのにお客さんであるヤクサ君に任せっきりっていうのは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだね、多分お兄ちゃんも他のみんなも同じ気持ちのはず、だけど今はヤクサ君に頼るしかない、
「お願いヤクサ君、この集落を救ってください、」
私はヤクサ君が戦っているであろう方向に向けてこう言った。
ジン=マコモ
年齢???
身長 150cm
体重 40kg
好き 魚介類 戦闘 我が主人
嫌い 魚介類以外全般 弱き者 人間
小話
実はけっこう自分の身長を気にしていて陰で自分を小さいと言ったやつらは消し炭にしている。主人の命令でこの森に滞在しているが実は身長を伸ばすことができる魔法がないか探ったりもしている。