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傲慢薬剤師の好奇心  作者: 駄々 駄駄々
第一章 様々な出会い
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第一話 怠惰な生活 〜 第二話 なんだこの世界

初投稿です!誤字、脱字などがある場合はコメントで報告してくださるとありがたいです!それと2話ごとにキャラクターの設定や小話を書くつもりです!


追記、1話と2話の文字数が少なかったためフュージョンしました!



ジリジリジリ……ジリジリジリ……




 目覚まし時計が朝のいつも通りの時間に鳴っている。うるさいしとても耳障りだ。僕はすぐさま目覚まし時計の音を止めた。


 また新しい1日が始まってしまった。本当に最悪だ、正直新しい1日なんて始まってほしくもない、なんなら一生止まっててほしいくらいだ。


 なぜかって?新しい1日、しかも今日は平日だ。他の人は仕事や学校、小さい子は幼稚園や保育園に行くだろう?みんなそれぞれ頑張って自分の行くべき場所に行くというわけだ。つまり自分の責務を全うする1日ってことだ。


 でも、残念ながら僕は自分の責務を全うすることができない。理由は簡単だ、僕は今高校生なのに今から学校にも行かず飯食ってゲームするだけのニートのような1日を過ごすからだ。周りから見たら僕の姿は滑稽で無様に見えているだろう。


「はぁ……」


 朝起きて今の現実と向き合っているうちに無意識にため息が出てしまった。僕だって分かっている、こんな生活をずっと送っていたらダメだということをね。


「ご飯できたから早くきなさーい」


 一階から親の声が聞こえてきた。すると左の部屋から「はーい」と朝とは思えないくらい元気な声が聞こえてきた。実は僕には姉がいる、僕の一つ上で今年で18歳だ。


 おっと、自己紹介をするのを忘れていたよ、僕の名前は八草十(やくさつなし)、一応高校二年生だ。高校一年までは辛うじて学校に行けてたけど、さっきも話したとおり今は学校には行けてない。姉の名前は八草波(やくさなみ)、僕のことを多分軽蔑してるやつだ。まぁ、こんな生活してるんだし当たり前か。僕もご飯を食べに一階に降りよう。


 僕が一階に降りたときには母と姉はもうご飯を食べていた。父親がいない?父なら5年前に交通事故で命を落としてしまった。まぁ、この話は置いといて僕も朝ごはんを食べようかな。僕は母と姉とは反対の椅子に座った。


「波ちゃん、この前のテスト5教科90点以上だったんでしょ?凄いわね〜」


「当たり前じゃん、私は天才なんだし」


 姉はかなり傲慢な性格で自分より下の人って決めつけた人を馬鹿にしてるから正直苦手だ。でも、姉は努力家で勉強は毎日しっかりやってる。だから嫌いではなくて苦手ってだけだ。


 姉と母は大抵は僕には目もくれないで朝二人で話しながら楽しそうに朝ごはんを食べてる。少し不満はあるけどまぁ、一応僕の分のご飯は用意してくれてるから文句は言わない。それに正直僕は話すのがあんまり得意じゃない。


「ほんと、どこかの弟も見習ってほしいわね」


 母はそう言うと一瞬僕に向かって軽蔑の眼差しを向けてきた。珍しく僕に話を振ってきて少しびっくりした。でもこういう嫌味は聞き慣れてる、僕は母が言ったことを無視して無言でご飯を食べ続けた。


 僕は二人よりも早くご飯を食べ終えて、食器を台所で洗ってすぐに2階の自分の部屋に行った。自分の部屋に行った数分後玄関辺りから親と姉の声が聞こえてガチャリと音がした。姉が学校に登校したのだろう。


 ここからは親も仕事に行くし夜までずっと一人で家にいることになる。さて、いつもどおりゲームしようと思ったけど今日は気分じゃない、最近は少し自分がおかしくなってるか心配になっている。僕はスマホを開いてgookleの検索欄を開いた。


[電車自殺、損害賠償]

[迷惑をかけない自殺のやり方]

[痛くない自殺のやり方]

[薬、作り方]


 僕はもうおかしくなってるのだろうか?いや、まだ僕は、正常のはずだ。僕はgookleの検索履歴を消した。でも一つだけ僕は履歴を残した。[薬、作り方]、薬剤師でもない僕がこんな履歴を残すなんておかしいって思われるかもしれない、でも僕はただ薬に興味があるってだけだ。


 別にマリ◯ナとかコ◯インとか違法な薬物を調べてるわけではない、あの白い粉や液体を飲んだら体の調子が良くなったり痛みが緩和したりする。本当に凄い発明品だと思ってる。一体誰が発明したのか?どうやって作るのか?いろんな疑問が湧き出てくる。


 でも、僕が見てるアニメは何にはもっと凄い薬が沢山ある。どんなに傷を負っても一瞬で治ってしまう薬、飲むだけで超人的な運動神経を得ることができる薬、飲んだらどんなに早い攻撃でも避けることができるようになるくらいの反射神経を得れる薬、とんでもない薬がある。逆に口にするのも恐ろしいくらい悪影響を与える薬も何十個もある。


 それに驚くことにこのアニメの主人公の名前が僕と同じヤクサって名前だ。でもこの主人公はかなりイカれていて傲慢で頭がかなり冴えている。いつも自分が作った薬品で敵を倒したら「ギャッハー!実験成ッ功」と言う。


「…僕も作ってみたいな」


 しかし、僕には薬を作る知識も能力も場所もない、こんなのは僕のただの願望に過ぎない、こんな考えをしていたらとても虚しくなってきた、もうこのことを考えるのはやめて気分じゃないけどゲームでもしよう。


〜〜〜


 ふと、自分の部屋にある時計を見てみたらなんともう午後の5時になっていた。やっぱりゲームをしてるとすぐに時間が溶けていってしまう。母は仕事で6時まで帰ってこないし姉も部活があるから母と同じくらいに帰ってくる。しかし、今日は違った。


ガチャン、ガチャン


 一瞬泥棒でも来たのかと思ったけど、「ただいまー」という声が聞こえてその心配はなくなった。これは姉の声だ、なぜこんなに早く帰ってきたのだろうか?僕は少し考えた。するとあることを思い出した。今は7月の中旬、姉が通ってる学校はもう少しで夏休みだし、この時期になると三年生は部活を引退するらしい。まぁ、帰ってきたとこで別に話すわけでもないしどうでもいい。


 数分するとリビングから2階に上がってくる音が聞こえた。リビングが空いてるのになんで姉の部屋に行くのか?少し疑問に思っていたら自分の部屋の扉が開いた。正直かなり驚いた。姉が自分の部屋に入ってくるなんて高二になって初めてだからだ。僕が呆気に取られてると姉が話しかけてきた。


「十さ、いつまでこんな生活するつもり?」


「…」


 いきなりこんな質問をされて僕は答えることができずに沈黙してしまった。母も僕が不登校になったばかりの頃はよく言っていたが最近はもう言ってこない。しかし、今回は姉が話してきた。不登校になる前からあんまり話したりしていなかったから本当にびっくりした。


「あのさ、黙っててもわかんないんだけど」


 なんでいきなりこんなことを聞いてきたのだろうか、正直全く分からない。このまま黙ってるわけにもいかないし、僕は話した。


「学校に行けないんだし、仕方ないだろ、」


「仕方ない?十さぁ、家でゲームばかりして将来自立できると思ってるの?」


 ここから僕と姉の口論が始まった。でも凄く不思議だ、親はもう僕のことなんて見放してるのになんで姉は今更必死にこんなことを言うのだろうか?ストレス発散?それだけならもっと早く言っているはずだ。それに、姉も母同様に僕に期待せず軽蔑的にみていると思ってた。


「単位絶対ヤバいんだし少しだけでも学校行きなよ」


「嫌だよ、てかなんで今更僕にそなこと言うんだよ、今まで話しかけてこなかったのに、」


 僕は気になることをそのまま言葉にして姉に問いかけた。まぁ、でも少し考えれば答えは大体想像がつく、どうせ僕には話しかけるなって言ったんだろう。すると、姉は少し暗い顔をして僕の問いに答えた。


「母さんに、あんたとは話すなって言われたのよ」


「じゃあ、なんで話しかけてきたんだよ、」 


 案の定想像していたとおりの答えが返ってきたので、更に疑問を姉に向かって言った。この疑問の答えは考えても全く分からないから早く答えを聞きたいが、今度は逆に姉が黙り込んでしまった。正直なんで黙り込んだのか全く理解できない。僕は姉なぜ黙ってるか聞こうとしたとき、


ガチャン、ガチャン


 玄関のドアが開く音が聞こえた。今の時刻は5時20分、まだ母が帰ってくる時間ではない。なら、今日は早く帰ってきたのか?その線もありえない、なぜなら母は朝必ず今日何時に帰るか姉に伝えるからだ。そして、今その姉はとても動揺している。つまりこの時間に帰るとは伝えられてないということだ。


「十、ちょっと下見てくるよ」


 そう言って姉は恐る恐る階段を降りてリビングに行った。僕は数秒恐怖で足が震えて歩けなかったがなんとか抑えて僕も階段を降りてリビングに向かった。そして一階に着いたとき廊下の奥の玄関の方向を見ると案の定ドアが開いていた。そして、廊下の真ん中にあるリビングの扉も開いている。僕は姉がいるであろうリビングに行こうとしたとき、



バタンッ


「…は?」


 僕は目の前の光景に言葉を失った。腹部が血まみれで明らかに致命傷を負っている姉がドアの向こうから倒れてきたからだ。まだ辛うじて生きてるけど命が長くないことは素人の僕でも分かる。僕が呆気に取られてるとドアの向こうから30代後半くらいの男が血まみれのナイフを持って出てきた。


「あァ?まだガキがいんのかよ、めんどくせぇ」


 そう言うとナイフを持った男はどんどん迫ってきている。僕は恐怖で足が全く動かず、この場から全く動けなかった。そして僕は、姉と同じように腹部にナイフを刺された。


「ゴフッ…」


 僕は今まで感じたことないくらいの痛みや熱さに襲われた。そして体感で僕ももう命は長くないことを悟った。僕は後ろに大の字に倒れてしまった。痛みで全く動けない、力を振り絞ってナイフを持った男の方を見ると目が合った。多分、先に僕のことを確実に殺すつもりだろう。僕が諦めて目を瞑りそうになったときナイフを持った男の足を姉が掴んでるのが見えた。


「弟だけは……殺さ……ない……で……」


「邪魔すんなクソガキが、」


 ナイフを持った男は姉の手を蹴って後ろを向いてしゃがんで倒れている姉の背中を更に刺した。僕はこの光景を見て頭の中でなにかが切れる音がした。


 僕はゆっくり立ち上がって音を立てずに背後まで歩いた。そして僕は背後から両手でナイフ男の頭を掴んで人差し指の伸びた爪で両目を刺した。すると男はナイフを落として痛みで絶叫している。そして僕は落としたナイフをすかさず取って男を刺した。そのナイフは運良く男の心臓を貫いていて男は即死した。僕はナイフを捨てて姉と話そうとしたとき糸が切れたパペットのように倒れてしまった。


 致命傷の体で無理して動いたせいでもう体が全く動かない、それに加えて目の前が暗くなってきた。俺は死を覚悟したとき、姉がとても小さな声で言った。


「ごめんね……本当は……優しく……して……あげた……かった……」


 そう言うと姉は目を閉じて全く動かなくなった。僕は命の鼓動が止まるまで憎しみと悲しみの感情で押しつぶされそうになっていた。そして、命の鼓動が止まったとき、水滴が水面に落ちたときの音がした。



ぽちゃん…ぽちゃん…



<あなたは死んだ、だけど絶対に死なせはしない>


誰かの声が聞こえる

でも僕の視界は真っ暗でなにも見えない

一体どうなっているんだ?

体も動かない

あれ?でもなんか風の音が聞こえる

どうやら、僕は今まぶたを閉じているみたいだ

目を開けてみよう


 目を開けると、木が周りに生い茂っていて、空が青く澄んでいる風景が目に入った。凄く綺麗な景色だが、なんだか頭の中に霧がかかってる感じがする。一体ここはどこなんだ?なんで僕はこんなところにいるのだろうか?僕は、誰なんだ?様々な疑問が頭をよぎっている。僕はなにも思い出せなかった。


 僕は立ち上がり僕以外の人がいないか探索することにした。しかしどこまで行っても周りは木や茂みばかりだ、特に生き物も見当たらない。歩いている途中、転んだり木にぶつかったりして正直うんざりしていた。数十分歩いていたら緑色が嫌いになってきた。そして、休憩するために近くにあった大きな石に座ってたとき、


ガサガサ、ガサガサ


 近くの茂みから音が聞こえた。僕はすかさず臨戦体制になった。ここが一体どこなのかがさっぱり分からないし、ここでどんな生き物が出てくるかも分からない。もしかしたらとんでもない猛獣が潜んでいるかもしれない。そして、茂みから出てきたのは


「キュウ、キュウ」


「な、なんだ、この緑色の生き物は」


 僕は自分の目を疑った。緑の生き物なんで見たことないからだ。それに、この生き物の見た目も兎とリスを足して二で割ったような見た目だ。僕は警戒してこの生き物から目を離さずにいた。そして、この生き物から目を離さずにずっと警戒して見ていたらだんだんと頭がぼーっとしてきた。とても不思議な感覚で、しかも腕と足が動かなくなってきた。このままじゃやばいと分かっているけどどうしようもできない。


 そして、だんだんと体全体が動かせなくなってきたとき、目の前の生き物の額から鋭利な角が出てきて急に突進してきた。動きは直線的で横に避ければ大丈夫だと思うが体が全く言うことを聞かなくて動かせない、僕は死を覚悟したが次の瞬間、


シュウッ


 左から矢が放たれる音が聞こえた。そして、瞬きをした次の瞬間、謎の生き物の首がなくなっていた。そして、突進してきた謎の生き物は横に倒れた。なにが起きたか分からずにいたとき、


「おいあんた、大丈夫か?」


  左から声が聞こえて左を見てみると3mくらいガタイのいいの大男が近づいてくるのが見えた。見たこともないくらい大きな人で正直かなりビックリした。僕が呆気に取られてると大男の後ろから更に3人標準的な体型の人が歩いてきた。全員赤を基調とした布を着ていて、全員弓と矢を持っていて、カラフルなネックレスをかけている。


「あんた、ここは凶暴な化け物(モンストロ)が出る、近くに俺たちの集落があるからついてこい」


「あ、あぁ、分かった」


 僕は状況が全く分からないから、とりあえずここに詳しそうな大男たちについていくことにした。俺は大男に礼を言うついでに、気になることがあるから質問した。


「さっきは助けてくれてありがとう、一体ここはどこなんだ?」


「礼には及ばん、ここは獣の森(フォレスタダベスタ)、俺たちマーサ族が暮らしている森だ」


獣の森(フォレスタダベスタ)?聞いたことないな」


 僕は歩きながら他に様々な質問をしてみた。とりあえず、この人達はこの大男、ビルガンさんをリーダーに狩りをしているみたいだ。そして、たまたま襲われている僕を見かけて助けてくれたらしい。


 そして、さっき僕を襲ってきた生き物は化け物(モンストロ)の一種で緑欺兎(グリーンフェイカ)というやつらしい。あいつの目を見ていると脳の体を動かす機能が停止してしまうらしい。そして、足の力がとんでもなく強いらしくて人間の頭を蹴って首を折るらしい。恐ろしいやつだけど、ビルガンさんくらい鍛えていたら数発なら耐えれるらしい。ビルガンさんはマーサ族の中でも飛び抜けて強いらしくて、様々な逸話を残してるらしい、この人どうなってんだ?


「あの、ビルガンさん、さっき仕留めた化け物(モンストロ)、回収してましたけど、もしかして、食べるんですか?」


 僕はさっき後ろの人からビルガンさんの逸話を聞いて軽く恐怖を感じてしまった。内容は「4mくらいある化け物(モンストロ)を素手で倒した」だったり、「弓が壊れてしまったから矢を直接投げて狩りをした」とかいろんなゴリラエピソードを聞かされた。だからさっきまではタメ口だったのに自然と敬語で話すようになってしまった。それに、ビルガンさん達はさっき倒した化け物(モンストロ)以外も数体背中に担いでる籠に入っている。


「ん?もちろん食べるぞ、俺たちの貴重なタンパク源だからな」


「え、それ、美味しいんすか?」


「もちろん美味いぞ!後でお前にも食わせてやるよ」


 ビルガンさんは満面の笑みで答えた。僕は正直あんなのは食べたくなかったがビルガンさんは凄く純粋な善意で言ってくれたから、とても断れない。僕は「ワ、ワーイタノシミダナー」と返答するとビルガンさんは凄く嬉しそうだった。


 そして、数分歩いていると小さな集落が見えてきた。ビルガンさん言わくここがマーサ族が住んでいる集落のようだ。見た感じそこまで文明が発達している場所ではないようだ。周りを見てみるとビルガンさんのような衣服を着る人ばかりだ。そして、周りを見ていると


「あ、ビルガン!お帰りなさい」


 近くで花の世話をしていた女の子がビルガンさんに近づいてきた。とても綺麗な人で身長はビルガンさんの2分の1以下だった。ビルガンさんが女の子と話していると後ろにいたビルガンさんの狩りチームの一人が話しかけてきた。


「あの女の子はビルガンさんの4つ下の妹だ。因みにビルガンさんは20歳だ」


「???」


 意味わからん情報が2つ入ってきて頭が混乱している。まず1つ目、ビルガンさんは20歳という若さでなんであんなゴリラみたいな体型になったのか、二つ目、なんでビルガンさんと同じ遺伝子のはずなのに妹はこんな可憐な女の子なのだろうか、マジで意味わからん。


「あれ?見たことない人がいるね、お客さんかな?」


 ビルガンさんとの話を終えてビルガンさんの妹が僕に話しかけてきた。


「あー、僕はビルガンさんに助けられてここに来たんだ、えっと、君の名前なんて言うの?」


「私?私の名前はテービン、気軽にテーちゃんって呼んでね〜、あなたの名前は?」


 なんか、めちゃくちゃぐいぐい来るなこの子、て言うか僕の名前……分からない、どんなに思考を巡らせてもやっぱり自分のことが一つも思い出すことができない、どうしたらいいのか、そして黙ってる僕を見てテーちゃんが話しかけてきた。


「んー、もしかして名前忘れちゃったの?忘れんぼさんだね〜」


 と、テーちゃんは純粋な笑みを浮かべて言ってきた。この笑み、ビルガンさんと全く同じ笑みだ。ビルガンさんの妹って言うのは嘘ではないみたいだ。他にもテーちゃんは「どこから来たの?」や「なんでこの森に来たの?」とかドンピシャで僕が分からない質問をしてきた。僕が返答に困っているときテーちゃんの後ろから声がした


「こらテービン、お客さんを困らせちゃダメでしょ、それとビルガン、お帰りなさい」


「あぁ、ただいま」


 見た感じ大体40代くらいの人で、この口ぶりからしてテーちゃんとビルガンさんのお母さんだろう。そして、テーちゃんとビルガンさん、そしてこの2人の母親が3人で楽しそうに話し始めた。内容はビルガンさんの狩りの成果やテーちゃんは育てている花の調子などを話している。別になにも変哲のない家族の会話だった。でもなぜだろうか、僕は凄く羨ましく感じた。妬ましいくらいに羨ましく感じた。そういえば、僕の母は今どこにいるのだろうか?


「あ、ごめんなさいね、3人でずっとはなしちゃって」


 僕が考えていると二人の母親が気を利かせて僕に話しかけてくれた。僕は「あ、いや、大丈夫です」と少しぎこちなさそうに答えた。僕の母の行方はまた後で考えるとしよう。


「そうだ母ちゃん、こいつが泊まれる場所ってあるか?」


 ビルガンさんがそう言うと2人の母親は少し悩んでいるようだった。泊まれる場所がないのだろうか?あまり贅沢を言える立場ではないが、地べたで寝ることになるのだけは勘弁だ。僕は「泊まることができるなら、なんでもいいですよ」と言った。そしたら2人の母親は「一応、一つだけならあるわよ」と言った。


 そしてその泊まる場所を教えてくれた。場所は集落の入り口から少し離れたどこにありそこそこ大きい所だった。あんな良さそうな所によそ者の僕が泊まってもいいのかと思ったが、実はガーテルンという人が前まで住んでいたけど、ちょうど先日、何者かに殺されてしまったらしい。そして、その人の私物などがまだ部屋に残っているようだ。この話をしているときビルガンさんやテーちゃんは凄く悲しそうだった。


「あの人は優秀な魔法師(フェイチセイロ)だったのよね、惜しい人が亡くなってしまったわ、」


魔法師(フェイチセイロ)?」


 また僕の知らない単語が出てきた。ここはほんとによく分からない単語ばかり出てくる。このままだと僕だけ話についていけなくなってしまうかもしれない。僕が考えていると、なんとテーちゃんが魔法師(フェイチセイロ)について説明してくれるようだ。


魔法師(フェイチセイロ)っていうのはね、主にこの世に存在する魔想を利用して攻撃とか回復とか他にもいろーんなことができる人のことだよ。あ、因みにこれにはいろいろ名前があるんだけど全部一区切りに魔法(マジア)っていうんだ。あ、後ね魔法師(フェイチセイロ)じゃなくても努力すれば魔想(ペンサメント)を利用して魔法(マジア)を使うことができるんだよ!」


 テーちゃんは目を輝かせながらとてもとても熱心に説明してくれた。でも大体は分かった。もしかしたら僕も練習とかしたら攻撃とか回復とかもできるのだろうか?


「まぁ、俺みたいに魔法師(フェイチセイロ)の才能がないやつが魔法(マジック)を一つ普通に使えるようにするには2、3年普通にかかるけどな」


 とビルガンさんが釘を指すように言ってきた。そして、ビルガンさんは続けて「俺は才能がなかったからな、一つ使えるようになるまで3年かかったぜ」と言った。3年かけて入手できた魔法(マジア)、正直めちゃくちゃ気になる。


「一体どんな魔法(マジア)を入手したんすか?」


「俺が入手したのは加速(アクセラ)だ。まぁ、簡単に言うと動かす物の速さを上げることができる魔法(マジア)だ。因みに、これを矢に適応させるととんでもない速さになるぜ」


 なるほど、物体の速さを上げる魔法(マジア)か。確かにビルガンさんが放っていた矢は正直全く見えなかった。ビルガンさんに放つ矢はどのくらいのスピードになるか聞いてみると、ビルガンさんは「普通に音速は超えてると思うぞ」と言ってきた。なんだそれ、誰が避けれんだよ。


 そして、話をしていたらいつの間にか空が少しずつ暗くなってきたように見える。いつの間にか暗くなるくらいの時間が経ってたのか。暗くなるのを見て2人の母親が焦り出した。


「あら、もう暗くなってきたのね、夕飯の準備しないと。それじゃあお客さん、宿でゆっくりしてくださいね」


「あ!じゃあ私も手伝う!」


 そう言うと2人は早歩きで少し遠くにある大きめの建物に行ってしまった。「それじゃあ、俺は夕食の食材を渡しにいくとしよう」ビルガンさんはこう言うと近くに置いてあった化け物(モンストロ)が入ってる箱を担いで2人の後をついて行った。


 3人が行ってしまって僕1人になってしまった。とりあえず僕はさっき教えてもらった宿に行くとしよう。宿までの行く道のりでいろんな人に話しかけられた。まぁ、服装が全く違うし気になるのは当たり前か。そしてこの人たちはテーちゃんみたいに「どこから来たんだ?」とか「名前はなんて言うんだ?」と質問してきた。でも、僕はどっちも分からないから適当にはぐらかすしかなかった。


 そして、ここの人たちと話しているうちに分かったことが一つあった。それは、ここの人たちはみんなとでも親切な人ばかりだということだ。僕が質問をはぐらかすとみんな察してくれてこれ以上は追及しないでくれた。


 一通り集落の人たちとの会話を終えて泊まる宿についた。やっぱり他の家よりも少し大きい気がする。生前住んでいたガーテルンという人はとても偉大な人だったのだろう。本当に僕はこんな立派な所に泊まってもいいのだろうか?正直、少し申し訳ないとおもってしまう。


 そして僕はガーテルンという人が住んでいた家に入った。


「す、すげぇ、なんだこれ、」


 僕は家の中を見て驚愕した。




 


 





 





 

 


八草十

年齢 16歳

誕生日 4月1日

身長 158.2cm

体重 46.2kg

好き 揚げ豆腐 ゲーム 薬 優しい人

嫌い 魚介類全般(特に貝類) 悪口 運動


小話

ずっと家に引き籠りっぱなしで全く運動をしてなかったため流石に危機感を持っていた。なので軽く筋トレでもしようと思ってストレッチなしで全力で腕立てをした瞬間、肩からポキっという音がしたと同時に両腕に電撃が走った感覚になった後、二週間ほど腕の痛みがひかなかったらしい。(実話)

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今後の話の発展性に期待です。 頑張って下さい!
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